20231210「日々の意味を探して」

日々の意味を探して
毎日を過ごす
意味なんてないようで
何かがあるかもって
仮定しつつ
安泰な怠惰を過ごす
たまに忙しくてもいい
師走だからといって
全部を賄えないから
空腹を待って
夕餉までは問いを並べ
解法を見つけに
彼方此方に出かける
途方もないけれど
誰かが既に標した道を進み
今の光景を目に焼き付けておこう
すぐに忘れてしまうから
記録して繁々と観ておこう
気づいていない物ごとさえも
そこにヒントがあるかもしれない

並べられた食物や器を囲って
その日の出来事を開く
どうにも解らないことが多いし
どうにもならないこともある
開いて包んで伸ばして丸める
料理の手順においしさが載る
そんなやり方を参照して
今日のことを柔らかくして
ふむふむとはむはむを交互に
解けない塊を細分化して
ひとまず飲み込む
消化の間に揉まれて
会話のどこかで
いい手が見つかるかもしれない
誰かのひとことで
気づくこともあるでしょう
引っかかった刺まで介抱できれば
丸く収まることもあって
平らげられたお皿の上に
さっき在ったものが別の場所に移っている

所変われば別の意味も被さるのだろう
あなたの場所からは見えずとも
わたしの所からは見えるから
交換っこして各々の角度を集め
乱雑な詳細で答えらしきものを
仮定しておこう
同じ所に同時にいることはできないけれど
皆がそこを探しているのなら
見出せるかもしれない
それぞれの問いかけ
答えのない意味付け
溢れる自然の総量
掬う網目の領土
強張った表情を宥め
とろとろのシチューでもいただいて
スプーンをひとくち頬張って
幸せの類いを飲み込んでもいいし
前後の順番で並べ替えてもいい
食卓に飛び交う言葉の音読
見えないメロディーが浮上している