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政治家のClubhouse活用について考えてみる


今日は、新しいSNSであるクラブハウスの政治家の活用について、この数週間の使用感とともにアウトプットしていこうと思います。

●Clubhouseとは

一言でいうならば音声配信をする・聞く・参加ができる仮想「ルーム」を通じた電話ラジオであり、インタラクティブなポッドキャストだと思ってください。

Clubhouseは、立ち上げから1年も経たないうちに、 シリコンバレーで有名になり、世界中で200万人のユーザーを魅了し、資本注入後の価値は10億ドルに上ると言われています。クラブハウスは、人々が互いに孤立したまま接続する方法を模索するにつれて、パンデミックで繁栄しました。このアプリは、ドイツ、イタリア、日本、トルコなどの国でApple AppStoreのランキングの上位に位置しています。最近の社内会議で、Davison氏とSeth氏は、Clubhouseには毎週200万人のユーザーがいると述べました。創設者のPaulDavisonとRohanSethによるとClubhouseが目指す目標は、「投稿する代わりに、他の人と集まって話すことができる、より人間味のあるソーシャルエクスペリエンスを構築することでした」と述べています。

他のソーシャルメディアサイトと区別する主な点としては、

・招待制のSNS(招待枠を使用せずに招待する方法もある)

・実名制が高いSNSのため偽アカウントの恐れが低い

・有名人の配信や対話をリアルタイムで聞ける

・アーカイブされない(基本的に録音禁止)

・コメント機能がないため炎上しにくい

・アプリのバックグラウンド再生(ながら再生)ができる

こうした特徴をもつクラブハウスのメディアの人気は、エリート主義の感覚を保ちながら、仲介者なしで直接人々と話すことができ、普段はなかなか会うことができない著名人の生の話を聴くことで貴重な学びや交流ができる側面が話題を呼んでいます。

カメラ機能のないメディアとして、声で伝えられるイントネーション、抑揚、感情により、ニュアンスを理解し、他の人と独自の人間関係を築くことができます。アプリにログインすると、人にぶつかり、立食パーティーのような、喫茶店で会話を始めたような気分になります。突然部屋に入ってきた人たち同士で雑談から、新しい交流が生まれ、顔を出しをしなくても時間帯を問わず使えることから、パネルやQ&Aが行われている会議室に足を踏み入れたようなもの、オンライン飲み会感覚のようなものとしても使用でき、とても便利です。


●日本の政治家の活用状況とは

実際に参入している政治家は、野党所属議員が目立つルームが多く、現状与党所属議員は少ない現状です。

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現在活用されているカテゴリーは、公開セミナー、公開収録取材、公開定例会議、公開社内交流会、公開活動報告、公開求人面談、公開オンライン飲み会、公開プレゼン発表、公開スキルシェア、公開相談室や趣味雑談部屋、ファンクラブ交流、基本的に配信者のライブを聞くケースが多く、比較的にコンテンツの自由度が高い状況です。

最近の活用事例ケースとしてこの数週間では以下のようなルームが開かれていました。

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その場でスピーカーにインバイトされて、パネルセッションとして登壇している議員も見かけることが多くなりました。

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ワード検索もできることながら、地方議員の参入も増えてきています。

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また日本だけでなく、

世界各国のルームや著名人ともつながることが可能です。

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こうしたクラブハウスを活用するメリットとして、政治家にとって時間とコストがかからない密度の高い付き合いができるでしょう。

ラグのストレスが少ないのも特徴です。ユーザーにとっても、生の一次情報で聞けるところは良く、マスメディアができないアジェンダが作れることから、クリエイティブのアイディアを雑談から拾ってくるなどの可能性も広がるでしょう。

また、FacebookやTwitterなどのより確立されたソーシャルネットワークを介して送信される数十の投稿やテキストメッセージよりも迅速に緊密な関係を構築できます。

●Clubhouseに向いてる政治家の情報発信とは

ではクラブハウスはどういった政治家の情報発信に向いているのか、各種メディアと政治家の情報発信のモデル(詳細は前記事を参照ください)をマトリクスにしてみると以下に要約できます。リアルタイムの音声メディアであるプラットフォームは政治家にとっては、主張型や実況型に適しているのではないかと考えられます。

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現時点では、iphoneユーザーのみしか利用できず、スマートフォン市場の半分だけにもたらされている状態であるため、拡散性には適していないことから、告知する場合に他のメディアミックスは欠かせません。(例えば、クラブハウスで話す告知をTwitterで呼び込むなど)政治家の活用として、拡散性には期待せず、あくまで情報収集の場や議論することを目的に使用することが良さそうです。

また、参加する際には、政治家としてのオフィシャルとした立場で入出ではなく、一個人のユーザーとして利用することで、いろんなルームに顔を出して、自然な流れで議論に参加する使い方の方が、よりフラットに親しみや密なる関係性やイメージが築けるのではないでしょうか。

(筆者としては、忙しい日常から離れて、多様な意見に耳を傾ける、現実逃避のためのツールにはちょうどいいと思います)

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では、具体的には、どういう立場の政治家が向いているのでしょうか。clubhouseは、内輪ノリを助長し、より内輪へ内輪へいく可能性が高いため、地元ネタなど興味を弾ける首長立場である政治家は生かしやすいのではないかと考えられます。

また、クラブハウスは自分がフォローした世界しか見えない特徴をもつため、地域性のつながりが高くなる可能性が高いでしょう。そのような実名性が高いフェイスブックの要素に近い部分を兼ね備えているので、民主主義を経ないとあまりフライング的な発言ができない国会議員よりは首長立場や、地方議員が活用しやすいのではないかと考えます。

この一週間では、現に市長の活用は目立ちました。

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国会議員よりも首長立場である政治家が数としても多く目立ちます。

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また、政治家全般に言えることとして、秘書の代用がきかないのでユーザーが増えると優先高い広報手段になってくると考えられますが、政治家としては、保存されないからと危ない話をしないこと、そして利用する時間帯も注意すべきでしょう。(夜中までずっと参加している議員に良いイメージをもつかどうかは見え方次第ですが)音声を使用したコミュニケーションのため政治家のスタンスは丸裸になるため、しゃべることで価値が上がる人、喋りすぎて価値を下げてしまう人も中にはいます。

zoomの表舞台に対してclubhouseは楽屋裏やオンライン飲み会の雰囲気をもつため、アジェンダの設定によっては、コンテンツの濃度が薄く感じられる可能性もあります。そのため、どんな話をすべきかについて、アジェンダの部屋のタイトルの設定が非常にユーザーを招くためには重要で、インタビュー対談形式もしくは、パネルセッション形式が適しているのではないかと考えます。

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●選挙には活用すべきなのか

浮動票獲得のためにネットどぶ板に流れる政治家にとってはとっておきのツールの一つになる可能性はありますが、実際の票に結びつく効果的なツールなのかは現時点では断定できません。例えば、選挙時の活用であれば、オンライン対話集会をクラブハウスで開くことや、ネット街頭演説のツールとして音声のみを流す方法は、有権者にとって疑似接触体験にはなるでしょう。しかし、Clubhouseは招待制度を保っている現状では、日本の選挙制度を捉えて考えると向いていないのではないかと筆者は考えますが、今後一般に公開されると、SNSを通じて間接的に接触し情報収集ツール、政治家としての好感度やイメージを補完ツールになり得る可能性はあります。

●利用における5つの懸念点ー世界各国の報道を元にー

では今後、政治家はクラブハウスとはどのように付き合って行くべきなのでしょうか。クラブハウスの利用上の懸念すべき点を以下にまとめていきます。

1、リアルタイムの音声は一瞬で、失言をしてしまった後の沈静化が困難

クラブハウス内でのユーザー規模が拡大するにつれて、プラットフォーム上で有害な言論や虐待を緩和するための設備がクラブハウス側に整っているかどうかについて直面しています。例えば、炎症性のスピーチをリアルタイムで取り締まる効果的な方法があることを示していないため、他国ではプラットフォーム上での反ユダヤ主義、誤った情報、嫌がらせ、ヘイトスピーチの例が公に共有されています。

中国では、政治的議論に使用されるアプリ、クラブハウスをブロックされた。中国の与党共産党は、Facebook、Twitter、その他のソーシャルメディアサービスへのアクセスをブロックしています。

トルコでも学生のでも運動にクラブハウスが使用され1時間足らずで、5,000人からなるチャットグループが集まり話題になり、元トルコ首相のアフメト・ダブトグルは今月初めに2,000人のクラブハウスユーザーのグループと関わり、質問に率直に答えました。野党の主要党CHPの大物の1人であるCananKaftanciogluは、積極的に政治的会話に参加しているとの報道。

ドイツ、ベルリン-ドイツの地域リーダーは、アンゲラ・メルケル首相とのオンラインパンデミック対応会議中に携帯電話でキャンディークラッシュをプレイしたことをclubhouseで認めた後、反発を引き起こし、報道ニュースになりました。

クラブハウスで議論を開くことの欠点としては、根本的に自由な性質は、明らかに平等主義的であったとしても、こうした論争を呼んでいる国が多々あります。 ニューヨークタイムズのジャーナリスト、テイラーロレンツは、特定のクラブハウスの部屋がどのようにミソジニー、反ユダヤ主義、人種差別の要塞であるかについて書いていました。ルームのモデレーターは問題を引き起こしている人を追い出し、報告することができます。部屋の記録がないため、独立したオブザーバーがこれらの告発のいずれかを調査する方法はほとんどありません。また、ClubhouseのWebサイトには、「部屋のライブ中に一時的な録音が行われる」と記載されており、ディスカッション中に参加者から「信頼と安全の違反」が報告された場合、音声は保持されます。しかし、誰かが自分のために部屋の録音を保持したい場合、またはヘイトスピーチや虐待の事件を後で報告したい場合は、できません。

結論として、テキストには言語のニュアンスによって多様な解釈の仕方がありますが、リアルタイムの音声は一瞬で、失言をしてしまった後の沈静化が困難ということです。また、退会する場合は現状運営に連絡しなければならない懸念も含まれます。クラブハウス内でのユーザー規模が拡大するにつれて、プラットフォーム上で有害な言論や虐待を緩和するための設備が必要でしょう。

2、絶対ないとは言い切れない公開炎上リスクの可能性

こうしたクラブハウスにはディスカッションにチャットしたり、「いいね」したり、コメントしたりする機能はありません。 コメント機能がないため反論ができないことから他のSNSよりも炎上リスクの可能性は低いです。ただ、非常識な人を登壇させた場合、公開炎上が起きるリスクはあります。質問を受け付ける登壇者側がユーザーを選択する際には慎重になる必要性はあるでしょう。また録音が禁止されていたとしても、リアルタイムの失言や情報をリスナーに抜き取られる可能性もあります。

3、極端な方へと意見が偏ってしまう現象を招く可能性

また、上記の通り、リスナー側のアクション機能が少なく、このクラブハウスの構造的に基本的に自分の意見を多くの人の前で主張できる強者しか会話に参加できないため、集団のなかで強い人がより強くなれる影響をもつ恐れがあります。または、こうした構造によって意見が偏る可能性がないとは言えません。うまく機能しているうちは良くても、集団のなかで極端な考え方が知らぬ間に力を持つみたいな方向にならないように、公的ルームの場合では弱い立場の人を大人たちが連帯して支えていく対応が求められるのではないでしょうか。

4、現状のシステム構造だと日本人ユーザーは飽きる可能性が高い

ルームを開く際には、気を使うモデレーションと時間が必要であり、スピーカーは自分のペースでコミュニケーションをコントロールできない。また、リスナーはリアルタイムで視聴しなければならない。ユーザーの定着率や継続性維持のためにも、クラブハウスのプラットフォームは、オンラインサロン、オンライン集会のような課金機会の可能性を今後提供する可能性があります。
先日、Clubhouseの共同創設者は、プラットフォームの作成者が今後数か月以内に「チップ、チケット、またはサブスクリプション」を通じて支払いを受ける方法のテストを開始すると発表しました。クラブハウスは、今後、大規模なパネルディスカッションのために部屋の入場料から手数料を受け取るシステムや、特定の関心に基づくクラブルームの月額サブスクリプションを提供するシステム、またはユーザーが独自のアニメーションのリアクション絵文字を購入して、スピーカーに視覚的なフィードバックを提供し、聴衆の他のメンバーと対話することも想像できます。

5、アプリがユーザーのデータにアクセスする方法についての懸念

アプリがユーザーのデータにアクセスする方法についても懸念が高まっています。Clubhouseアプリでは、ユーザーが連絡先リストへのアクセスを許可する必要があり、このデータのプライバシーを保証するものではありません。 利用するためには、実名登録制、携帯データ、専門音声データを個人情報を結構会社側に合法的に提供しているかつ、目に見えないソーシャルグラフを第三者に可視化されているのです。

●政治家の情報発信とClubhouseのこれから

このアプリは、人々が対面でのやり取りや野外活動を避けながら社交する方法を模索しているため、パンデミックの恩恵を受けています。しかし、クラブハウスの使用法は、日常生活が正常に戻った後、多くの人が信じているよりも耐久性があることがわかるかもしれません。これは、会話の親密さを通して新しい人々に会い、そうでなければ直接参加するのが難しいかもしれない会議のようなイベントを聞くための便利で摩擦のない方法です。また、Clubhouseは音声を検索する巨大なサービス企業として成長する可能性も十分にあるでしょう。

何より最も使用後の驚くべきことは、レベルの使用法とエンゲージメントでした。個人的なレベルでは、Clubhouseをインストールしてから、このアプリに費やす時間がスマートフォンの他のどのソーシャルネットワークよりも大幅に長いことに気付きました。TikTok、Twitter、Instagramよりも多い使用時間です。これは、オーディオベースのソーシャルネットワーキングがいかに魅力的であるかを示しています。現状Clubhouseは招待制度を持っていますが、今後一般に公開されると、そのユーザーベースは数千万にまで成長する可能性があることは間違いありません。そうなった場合には、日本でもTwitter議員が登場してきた当時と同じように、クラブハウスに向いている新しいスター性をもつ政治家が今後出てくるのではないかと考えられられます。

しかしながらも政治家にとっては、目的とメディアの特性に応じた使い分けが必要なので、clubhouseは国内ユーザーが増えない限りは、閉鎖的空間での対話になってしまうことから、最終的には、固定化されたユーザーのSNSコミュニティになりそうな展開も十分考えられるでしょう。

現状コロナ下のなかで世界中の人たちと直接繋がれるサービスなのは間違いないので、目的や局面次第では多様な可能性を秘めているながらも、政治家にとってはオフィシャルなSNSとしての運用よりプライベートで使用する方がおすすめです。

その中で、暖かい世界が生まれることを期待したいですね。

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