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#57『旅屋おかえり』(著:原田マハ)を読んだ感想【読書日記】

原田マハさんの『旅屋おかえり』
第12回エキナカ書店大賞受賞作で、2022年にはドラマ化もされました。

読んだきっかけ

原田マハさんは今年読みたい作家さんの一人で、本作で初めて読みました。本作のドラマは見ていなかったのですが、タイトルは知っていたこと、近いうちにどこかへ旅行へ行きたいと思っていたことがきっかけで手に取りました。

このような方にオススメの本です

  • 旅行が好き

  • 旅行に行きたいけどなかなか行けない

  • 感動する作品を読みたい

  • 秋田県の角舘、愛媛県の内子町に行きたいと考えている

あらすじ

売れないアラサータレント“おかえり"こと岡えりか。ひょんなきっかけで始めた「旅代理業」は依頼人や出会った人々を笑顔に変えていく。『楽園のカンヴァス』の著者が贈る感動の物語。(解説/吉田伸子)

Amazon商品紹介ページより

感想

  • 読むと思わず旅がしたくなる、だけではなかった

  • 人生という旅の新たな一歩を踏み出してくれる物語だと思った

  • 温かすぎるほどの登場人物たちと展開に、涙腺が緩みっぱなし


よろずやプロのただ一人の所属タレントである「おかえり」こと丘えりか。とにかく旅が好きな彼女は旅番組『ちょびっ旅』のレギュラーとして出演している。しかし、ある日のロケでスポンサーの名前を間違えて言ったことで番組が打ち切りに。仕事が無くなったおかえりだったが、彼女のファンだという鵜野という女性が「娘の代わりに旅をして欲しい」との依頼をする。そこから誰かのために代わりに旅をする「旅屋」としての仕事が始まった。


旅の素晴らしさがこれ以上ないくらい伝わってきました。読みながら旅をしている気分になり、おかえりさんの一言一言が響きました。読むと思わず旅がしたくなり、体がウズウズするのは僕だけではないでしょう。
本作で行った秋田県の角舘、愛媛県の内子町。僕はどちらにも行ったことはありませんが、不思議と以前行ったような懐かしさも感じました。


そして、本作は読むと思わず旅がしたくなる、だけではありません。人生という旅についての物語でもあると感じました。突然天気が悪くなるなど、旅はいつも予定通りにいくわけではありません。不運に見舞われることもあれぱ、思いがけない出会いもある。そしてそれは人生も同じ。本作は、温かすぎるほどの登場人物たちと展開に、感動で涙腺が緩みっぱなしでした。まだ旅に行く前の序盤から、萬鉄壁社長が素敵だなって思いましたからね。
時には目を背けたり、逃げ出したくなることもある。でも何だかんだなんとかなるし、無意味なことはない。人生という旅の新たな一歩を踏み出してくれるような気がしました。


作品自体が旅そのものなのかもしれません。「いってきます」で読み始めて、読了したら「おかえり」と帰ってくる。僕は帰ってきた時に、この本が忘れられない想い出になりました。

印象的なフレーズ

ほんと、旅って不思議ですよね。
出かけてみると、いろんな発見がある。新しい出会いがある。
出かけてみなくちゃ、何が起こるかわからない。
だから、とにかく出かけてみませんか。心の洗濯、ひと休み。
それでは皆さん、ご一緒に。
旅に出ようよ、明日から。
いいことあるよ、大丈夫!

『旅屋おかえり』

「無意味な旅なんて、ねえべさ」
「毎日、この宿で、いろんなところから、いろんな目的でくる旅人に会ってるス。無目的な人も多い。何しとるのかわからぬ人も。んだども、みんな必ずなんかどごみつけて帰っていかっしゃります」

『旅屋おかえり』

今回、旅をしてみて、気づいたことがあります。
なつかしくて美しい風景、ささやかだけどあったかい出会いがあるから、旅に出たいと思う。
そして、「いってらっしゃい」と送り出してくれて、「おかえり」と迎えてくれる誰かがいるから、旅は完結するんだ。そんなふうに思いました。

『旅屋おかえり』

「旅屋」を通じて、つくづくわかったことがある。それは、人の数だけ旅模様がある、ということ。
(中略)
たとえ同じ季節に同じ場所へ行ったとしても、旅する理由や目的が違えば、まったく違う旅になる。

『旅屋おかえり』

「私も和紙作りを通してみつけたものがある。それはね、時間が経過するほど、強く美しくなるものが、この世にはあるっていう真実。和紙、人との絆……それに思い出も」

『旅屋おかえり』

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