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#93「とにかく笑えるエッセイ第二弾」【読書感想】

「とにかく笑えるエッセイを書いている作家といえば?」

相手と答えを合わせるゲームでこのお題が出たら、正答率はそれなりに?あるはず。
それが朝井リョウさんのエッセイです。

今回は、『時をかけるゆとり』の続編である「ゆとり」シリーズ第二弾の『風と共にゆとりぬ』を読みました。



読んだきっかけ

僕には、余韻が凄く、感動で涙する作品を読んだ後は小説が読めなくなる現象が起こります。『レーエンデ国物語』を読んだ時に発生しました。
そんなわけで力を抜いて読めるエッセイを読もうと思い、温めていた本作を手に取りました。

このような方にオススメの本です

  • とにかく笑える本が読みたい

  • 『時をかけるゆとり』を読んだことがある

  • 色んな比喩表現に触れたい

あらすじ

読んで得るもの特にナシ!
500枚超の楽しいことだけ詰まった大ボリュームエッセイ集。

対決!レンタル彼氏/ポンコツ!会社員日記/冒険!朝井家、ハワイへ/諦観!衣服と私
失態!初ホームステイ/本気!税理士の結婚式で余興/阿鼻叫喚!痔瘻手術、その全貌等

・ダヴィンチBOOK OF THE YEAR 2017 2位
・ブクログ大賞2018 ノミネート
・読書メーター OF THE YEAR 2018 3位

多くの読者に愛された、戦後最年少直木賞作家のユーモアあふれるエッセイ集が待望の文庫化。

日経新聞「プロムナード」連載エッセイや、壮絶な痔瘻手術の体験をつづった「肛門記」を収録。また、その顛末が読める「肛門記~Eternal~」書き下ろし!

文春文庫『風と共にゆとりぬ』朝井リョウ | 文庫 - 文藝春秋BOOKS より

感想

  • 今回も笑いのツボに刺さりまくった

  • 笑えるだけでなく色んな比喩表現が使われていて学べる?


朝井リョウさんといえば、心に突き刺さるメッセージ性のある作品。一方、エッセイでは笑いのツボに刺さりまくる。
前作の『時をかけるゆとり』と同じく、今回も心に、ではなく笑いのツボに刺さりまくりでした。第一部からいきなり飛ばしていると思ったら、第二部は少し真面目な感じの変則ワザ付きです。

どこか抜けていて隙がある著者の日常ですが、それを綴る文章には隙がありません。マジシャンのように言葉を自由自在に操っている。エッセイだとそれが際立つ印象があります。
ただ笑えるだけではなく、色んな比喩表現が使われていて、学べる。
帯には読んで得るものはないとありますが、いやいや!素敵な読書体験ができました。


印象的な話は「バレーボールと私」、そして第三部「肛門記」
特に「肛門記」の終盤で、あるワードが不意打ちで登場した時の余韻はまだ残っています。本当は残したくないです。思い出し笑いしそうで怖いからです(笑)

言うまでもなく?誰かがいる環境で読むのはオススメできません。台風の日に外に出るようなものです。そんな危険なことを僕は興味本位でやったのですが、危うく爆死しそうだったことを反省しています。

印象的なフレーズ

印象的なフレーズは、真面目な感じのものを選びました。
笑えるフレーズは、本作を読むまで取っておいた方が楽しめるでしょう。

出版業界の人間ということを明かさずにバレーボールチームに入って痛いほどわかったことは、いい意味で、生きていくうえで本を必要としていない人はたくさんいる、ということだ。作家として生活していると、周囲の人とは、どうしても本やマンガ、映画、ドラマなど架空の"物語"の話をすることが多い。仕事と関係ない飲み会をしていてもそうなるのだから、その中ばかりにいると、まるでこの世の全員が本をはじめとする"物語"に心を救われた過去があったり、今でも"物語"に救いを求めているかのように思い込んでしまうことがある。

『風と共にゆとりぬ』

好きなものが多い人はそれだけで、語るべき言葉をたくさん持ち合わせているような気がする。

『風と共にゆとりぬ』

言葉は時に、他の何よりも、私たちのことを助けてくれる。特に、財も力もない「子ども」という時代を生き抜く上で、本から授かる言葉そのものや、本の中の多くの言葉に触れるという経験は、自分を守る盾になりうると私は思っている。

『風と共にゆとりぬ』


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