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#62『十角館の殺人』(著:綾辻行人)を読んだ感想【読書日記】

綾辻行人さんの『十角館の殺人』
綾辻さんのデビュー作であり、日本のミステリー界に大きな影響を与えた作品です。


読んだきっかけ

綾辻行人さんは今年読みたい作家さんの一人。それは、僕の好きな作家である辻村深月さんが、綾辻さんから大きな影響を受けていたことが理由の1つです。また、日本のミステリー界に大きな影響を与えた作品ということで、どのような作品か以前から気になっていました。

このような方にオススメの本です

  • 本格ミステリーの名作を読みたい

  • ミステリー作品を読んだことがほとんどない

  • 小説を読み始めたいが、どの作品から読むか迷っている

あらすじ

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!’87年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。

Amazon商品紹介ページより

感想

  • ある一言から明かされる真相に、徐々に驚きと興奮がわき上がった

  • 登場人物や物語の流れが分かりやすくて読みやすく、かつ面白い


十角館がある孤島の角島で、登場人物が次々と殺されていく。残された者たちは、疑心暗鬼になる中で様々な説を立てる。どれが当たっていてもおかしくない。そんな中で読み進めていき、ある一言で頭の中が「?」に。そこから明かされる真相に、徐々に驚きと興奮がわき上がりました。

ある一言については、僕の好きな作家さんの作品をいくつか読んでいたこともあって予想を立てていました。最初から抱いていた違和感は間違ってはいなかったのですが、予想の遥か上をいく結末。終盤はとにかく頷くばかりでした。


日本における本格ミステリー、クローズドサークルの名作。まず思ったのが「読みやすい」ということです。登場人物の相関図が分かりやすく、文章も難解ではない。本編が約450ページと長編ですが、どんどん読み進められてページ数ほどの長さは感じませんでした。それでいて、緊張感やラストの展開の驚きが強く、物語に引き込まれていきました。さらに、各所に伏線が張られていて、読了後に読み返してしまう。ミステリー作品を読んだことがほとんどない方にも抵抗なく読める作品だと思います。そして、ミステリー小説の面白さに気づくはず。


個人的には、ある一言以上にラストシーンが見所かもしれないです。読了後も、このシーンについて考えを巡らせていました。

刊行から30年以上経っているにも関わらず、人気が冷めない理由が分かった気がします。まさに色褪せない名作ですね!

印象的なフレーズ

「僕にとって推理小説(ミステリ)とは、あくまでも知的な遊びの一つなんだ。小説という形式を使った読者対名探偵の、あるいは読者対作者の、刺激的な論理の遊び(ゲーム)。それ以上でも以下でもない。
だから、一時期日本でもてはやされた"社会派"式のリアリズム云々は、もうまっぴらなわけさ。1DKのマンションでOLが殺されて、靴底をすりへらした刑事が苦心の末、愛人だった上司を捕まえる。――やめてほしいね。汚職だの政界の内幕だの、現代社会のひずみが産んだ悲劇だの、その辺も願い下げだ。ミステリにふさわしいのは、時代遅れと云われようが何だろうがやっぱりね、名探偵、大邸宅、怪しげな住人たち、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒な大トリック……絵空事で大いけっこう。要はその世界の中で楽しめればいいのさ。ただし、あくまで知的に、ね」

『十角館の殺人』

「自分は犯人じゃないと確信できるのは自分だけだよ。つまるところ、自分の身は自分で守るしかないんだ」

『十角館の殺人』

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