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退職&D進をキメました

2022年3月に会社を退職して4月から博士後期課程に進学しました。いわゆる退職D進というやつですが、当然情報が少ないのでTips的なものを書いておこうと思います。
ちなみに私は有機合成(反応開発)出身で、一度メーカーに就職しましたが、cheminformatics がやりたくて進学しました。
このnoteのせいでそっこう身バレしてハズかったので1年間は100円の活性化エネルギーを設けていましたが、最近どうでもよくなってきたので普通に公開しています。買ってくれた方と投げ銭してくれた方、ありがとうございました。



進学した理由

 1. ウェット出身だけどドライの研究(=計算・予測)に強い興味があった。
ドライには修士の学生の時から漠然とした興味がありました。面接時にドライの研究がしたいと猛アピールして内定をいただきましたが、入社してみると希望が通らなかったのでモンモンとしてた感じです。

2. PhDってなんかカッコいい

3. Dの意志を継いで嵐を呼びたい

4. 日本から出て行きたくなった時に、受け入れ先の国から評価してもらうのにPhDが役立つらしく、家族ごと永住権がとりやすくなるというウワサがある

5. そこそこレアな人材になれそうという打算的な考え
ウェットとドライの経験がある人材はかなり少ないけど需要はありそうなので、そのギャップを埋めるために私が供給されてやろうという事です。

転職でよくね?

ドライがやりたかったわけですが、中途で入ってきたどこの馬の骨かも分からない若造に対して未経験の仕事を教えるためのリソースをバンバン使ってくれるケースは少ないでしょう。あと、面接の時と話が違うジャン!!を経験してしまい、ドライをやるorやらないというザックリとしたキャリアパスだけは自分で決めたいと思ったので進学しました。

お金の話

支出と収入について、分けて書きます。

支出

支出については、詳しく書いてくださっている方がいます。

住民税と健康保険の任意継続料は各々の収入などによって変わってきますが、年収が500万円ちょいで上の記事とおおよそ同じ金額でした。
これらは前年度の収入に応じてかかってくる税金なので、計画的にキャッシュを残しておく必要があります。授業料は大学のフェローシップのおかげで0円でした。入学金は払いました。ありがたや。

ちなみに、国民年金や住民税については収入が大幅に減少した場合に減免制度が使える場合があります。自治体によって運用が違うと思いますが、私の場合は減免不可でした。自己都合の退職による収入の減少は対象外とのことです。当然の結果ですがダメもとで問い合わせてみました。
ただし、退職理由によっては会社都合の退職として取り扱ってくれる場合があるそうです。例えば、上司のパワハラを受けて病む→診断書を提出して休職→そのまま進学に伴って退職の場合だと、会社側の処理としては自己都合退職になりますが、ハローワークに行ってどうにかこうにかしたら税金の減免対象になる可能性があるそうです。私が住んでいた地域の受付の方が言っていただけなので、ワンチャンありそうな方は問い合わせてみてください。

(追記)
D2の支出について追記します。
年金:1年分前納で普通に払った(20万くらい)。
所得税:ほぼ0
住民税:ほぼ0
国民健康保険:2万円でお釣りがくる
なぜこのような内訳になったか:
後述の通り、開業して給付型の奨学金的な何かを事業所得として受け取りました。開業してなかったら雑所得として受け取るしかないです。個人事業主ですので、購入した備品や本などを経費としてぶち込みまくり(メチャクチャ本買いました)、1年目の課税所得を鬼のように下げることができました。青色確定申告サイコーです。1年目は1〜3月の給与所得がありましたが、ものいりな時期だったので経費で色々買い揃えてたら相殺されて課税所得は安くなった感じです。税金チューチューしてすみません。所得低いので許してください。
健康保険の任意継続は2年まで可能ですが、絶対に1年で国民健康保険に切り替えましょう。任意継続の保険料は退職前の収入に応じて計算しているようで、2年目も40万円ほど請求されました。一方で国保に切り替えると、所得にもよりますが私の場合は所得が超絶低くなったので1万円台でした。
以上

収入
給付型の奨学金を 15万円/月 をいただいています。今ではJST次世代や各大学のフェローシップがあるので、奨学金を全くもらっていない人は減ってきているようです。JST次世代は研究費が多めについてきたり、フェローシップは授業料が全額免除になったりします。

節税の方法
学振は給与所得になるのに対し、JST次世代やフェローシップは雑所得になるため、確定申告が必要です。
状況によっては、開業して家賃や書籍などを経費計上することで大幅に節税できる可能性があります。さらに、JASSOの貸与型奨学金も併用できるので、とりあえず借りておいて返還免除ガチャにトライすることもできます(学振研究員は無理です)
(追記)
財務省様のご意向で、返還免除ガチャは禁止になりました。JST次世代やフェローシップと、JASSOの奨学金返還免除の重複などは税金の無駄無駄ァ!!らしいです。

開業について詳しくまとめてくださっている方がいらっしゃるので、リンクを貼っておきます。私自身もこの記事に大変お世話になりましたので300ベリー投げさせていただきました(1ベリー=1円の固定為替相場らしい)。

インターン

文部科学省と経団連が共同で設置したジョブ型研究インターンシップ推進協議会が、2022年から本格的に稼働しているようです。博士後期課程の学生向けに、2ヶ月以上で有給のインターンシップが掲載されています。

学振

もといた研究室に戻る場合は、博士に進学する前に学振に申請することができます(研究室を変える場合は分からないです)。社会人やりながら学振を書いて、採用されてから進学した人を複数知っています。

(追記)
研究室を変える場合、多くの方は進学してからDC2に出すと思います。その中でも特に、私のように専門を変える場合は一発目のDC2を通すのは結構厳しいと思います(指導教員にめちゃくちゃ手伝ってもらえるなら話は別)。なんせテーマが決まっていないので、何を書いても抽象的でフワフワした感じになってしまいます。D2で書いた学振で、初めてバッターボックスに立てた感じがしました。

貯金はどのくらい必要?

必要な貯蓄額は、居住地域やどれくらいの収入を得る目処がついているか、授業料免除になる可能性が高そうか、などによって変わります。

私の場合は特に大きな買い物(車とか)もしなかったので会社員時代からぼちぼち貯めていました。結局、引越し費用、賃貸契約の初期費用、入学金、健康保険任意継続料の前納(1年分)などで吹き飛ばした後に、200万円程度のキャッシュを残せました。もとは300万弱くらいあったのかな?という感じです。最低限生活するための収入が得られるケースで、経済的に厳しくなったときはJASSOから借金する『覚悟』があれば、このくらいの金額で暗闇の荒野に進むべき道を切り開くことができると思います。

『貯金をする』『借金もする』「両方」やらなくっちゃあならないってのが「退職D進」のつらいところだな
覚悟はいいか? オレはできてる

Bruno Bucciarati

あと、授業料免除申請をする際に独立生計者として認めてもらうために、弊学では書類を提出する時点で貯蓄が130万円以上あることが必要条件です。預金口座の残高が確認できる資料の提出が求められます。
独立生計者として認められるにはその他諸々の条件があります。扶養に入ってない事とか、世帯主である事とか etc, 大学のHPで授業料減免に関する資料を探せば見つかると思います。
退職D進しようとしている人の貯蓄額が130万円以下というのは考えにくいので大丈夫だと思いますが、万が一独立生計者として認められなかった場合、親の収入によって生計を維持しているとみなされるので、学費免除に関しても親の収入で判断されます。そうなると多くの方は不利になってしまうかと思いますので、減免申請前に要項をチェックしておくことをおぬぬめします。


以上、退職D進したい人の参考になりそうな情報をまとめました。間違っているところとか、詳細を聞きたい場合はコメントかDMかなんかで教えてください。ツイッタしてます。https://twitter.com/Shoelife2022


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