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がん患者遺族として

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2020年12月末、父が癌で亡くなった。 がん告知から永眠までの間、そしてその後の悲嘆など、これまでの心理的変化を辿る。
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#大学院生

悲しみに形を持たせること

悲しみに形を持たせること

父を亡くして1年。
今回は、私が愛する人を失った悲嘆を受け入れようとする中で考えたことをお話しする。

約3ヶ月前、重度訪問介護のアルバイトを始めるため、資格を取得した。その後紆余曲折あり、結局そこでは働かず、心理系オフィスでのアルバイトを開始することになった。

新しいバイトは、自分の目指す道筋と直接関わっている分野であるし、待遇もよく、とても充実している。そこで、重度訪問介護をやろうと思った当

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伝えたかったこと

伝えたかったこと

4月から大学院に入学した。
半年前、最愛の父の最期が近づき、卒論の提出にも追われる中、試験勉強をしなければならなかった。

チャンスは1年間に2度。
1度目は父のことで大変に混乱し、勉強が全く手につかなくなった。気管切開された父は、病床で私に「次は受かれよ」と、かすれる声で言った。

自分で言ってはなんだが、父にとって私は自慢の娘だったそう。私が何かを成し遂げることは、父の人生にも大いなる意味があ

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死と愛する者との別れを混同してはならない

死と愛する者との別れを混同してはならない

それは多くの人が知っている事実だが、大切な人を失うということが、どれほど悲しいのか、私は知らなかった。確実にこの世にあったはずの命が、本当はなかったんじゃないかと不安になるような気持ちを、私は知らなかった。

2020年12月28日午前9時12分、最愛の父が永眠した。

こんな歌があったことを、ふと数日前に思い出した。私は、最愛の父の墓の前で、泣かなかった。火葬前最後の別れの瞬間も、火葬中も、家に

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