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テレビの裏側

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テレビ制作・テレビ宣伝の裏側・思い出を綴ります。
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2023年12月の記事一覧

インターネットの無い時代の「興奮」

今までスタジオに建てたセットの中で、出来上がりに驚いたのは、「新幹線のトイレ前の通路」。美術部がJRに電話して、本物の素材を訊き、デザイン図を取り寄せ、それを元に見事、セットに仕上げた。

このスタジオ収録の前に、新幹線ロケがあった。秋田駅でのロケから始まり、途中二駅のホームでの撮影。最終的に上野駅のロケで終わるという強行軍。このロケは、行きつけのバーで顔馴染みになったJR関係の方が動いて下さり実

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大晦日は子供の楽しみ‼️

年に一度、子供が夜遅くまで起きててイイ日があった。大晦日である。普段はよる10時以降は大人の時間。フジテレビ「夜のヒットスタジオ」になったら、母親から寝る様にいつも言われていた。

大晦日には、日本レコード大賞があり、紅白歌合戦があった。レコ大に出た歌手たちは、2つの劇場の裏口を通って、紅白の会場へ駆けつける。そのことを知っていた僕はテレビを観ながら、間に合うかどうか、ドキドキしていた。

紅白が

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山田太一さんのシナリオ

山田太一さんのシナリオ

老後の楽しみです。
山田太一さんのシナリオ集の数々。

もうほとんど絶版になったものばかり。

「11PM」西村良雄さん

大先輩の西村良雄さんが80歳で亡くなった。愛称はおニイ。僕が入社した時に付いた「11PM」(大阪イレブン)の木曜のプロデューサーでディレクター。

新入社員の僕と諏訪道彦(スワっち・・・アニメプロデューサー、「名探偵コナン」などをプロデュース)は火曜と木曜でADをする事になる。諏訪が火曜、僕が木曜と担当が分かれるようになっていった。

西村さんは寡黙でオシャレ。ディレクター席に座っても最低限必要な

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最初のテレビの記憶

最初に観たというテレビ番組を記憶の中で遡って行くと、NHK「おかあさんといっしょ ブーフーウー」(1960年〜)にたどり着く。いわゆる「3匹の子豚」である。

長男ブーの声を「ドラえもん」の大山のぶ代さんほか、フーは三輪勝恵(パーマン1号)さん、三男ウーの声を黒柳徹子さんがやっていた。

番組の最初、お姉さんがアイスボックスの様な箱から、3匹の豚の人形を取り出す。そして、ネジを巻くと、3匹の豚が動

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緒形拳さん

僕の東京でのドラマプロデューサーデビュー作は、連続ドラマ「八月のラブソング」。

「ニューヨーク恋物語」「29歳のクリスマス」「さよなら李香蘭」「金(きむ)の戦争」等をプロデュースされた敬愛するプロデューサーの中山和記さんとのお仕事だった。とてもラッキーだ。

主演は葉月里緒奈さん。そして、あの緒形拳さんにも御出演頂いた。

緒形拳さんのお芝居はスタジオのモニターで見ていても、緒形さんにしか表現出

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芝居

「心療内科医涼子」(1997年10月〜12月)という連続ドラマをやった。

第一話の脚本は森下直さん、演出は国本雅広さん。

主演の涼子役は室井滋さん。

第一話のゲストは麻生祐未さんと藤田朋子さんだった。

麻生さんと藤田さんは姉妹の役で「共依存(共生関係)」という設定。

麻生さん演じる姉が「盗食癖」があるという「有名料理研究家」。

スタジオ収録をしている時、都心に居たプロデューサーの僕にス

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たとえあなたを忘れても

今日、ドラマ「たとえあなたを忘れても」の最終回を観た。

浅野妙子の脚本が素晴らしすぎる。音楽も身体に沁み渡って来るし、大谷健太郎の演出も優しい。

主演の堀田真由、萩原利久、畑芽育、風間俊介、岡田結実、みんな良い。

ドラマって、「キャラクター」がしっかり書けていれば、その「キャラクター」が自然と動き出し、「キャラクター達」が「新鮮な台詞」を紡ぎ出す。

ユニークな「キャラクター達」が思いもしな

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EXテレビosaka 最終回

1994年3月31日(木)、「EXテレビosaka」は終わった。

実は、この日の放送は事前に収録したもの。

本当の最後は、3月29日(火)の「生放送」だった。内容は、「EXテレビosaka」の火曜日でやって来た様々な企画を買いませんか?というもの。

ここから生まれたのが、今もテレビ東京で放送している「開運!なんでも鑑定団」である。

僕は3月31日の「EXテレビosaka」の最終回のディレク

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山田太一と「弱者の反抗」

脚本家・山田太一がテレビドラマに遺した大きなもの。

山田太一の師匠である映画監督・木下惠介は「二十四の瞳」始め、様々な映画で「堪え忍ぶ弱者」を描いた。

「二十四の瞳」。高峰秀子演じる小豆島の分校の女教師・大石先生は、太平洋戦争に巻き込まれていく「自分の教え子達」に懸命に寄り添った。

自分達ではどうしようもない「戦争」という事象、「悲しすぎる運命に翻弄される教え子達」と共に泣いた。

黒澤明監

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花紀京さんとかしまし娘・正司花江さん

「花紀京兄さんは怒ってまへんか?」

間寛平さんは御自身で運転して来た車から飛び降りて来て、僕にそう言った。

大阪京橋・読売テレビ本社前での会話。

間寛平さんの入りが遅いので、僕は心配して待っていたのだ。

花紀京さんは、「吉本新喜劇」の「天皇」と称され、怖しい存在でもあり、尊敬される存在でもあった。

花紀京さんに「ギャグ」は無い。

いつもの「ニッカボッカ姿」で舞台に登場し、その「存在感」

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勝新太郎さん

ある日の午後、僕は千里中央の朝ドラのスタッフルームで仕事をしていた。スタジオ収録中でスタッフルームは僕一人だった。突然、入口の階段を駆け下りる大きな音と共に、二人の男が飛び込んで来た。一人はこの朝ドラでドラマデビューを果たした奥村雄大さん(のちの雁龍さん)。そしてもう一人は、そのお父さんで、大映の看板スター・勝新太郎さんである。勝さんは、スタッフルームに誰もいないかの如く、ドスの効いた声で息子に芝

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「オンリーユー愛されて」と「スマイル」

ドラマには「音楽」が必要だ。何度も御一緒したことのある男女音楽監督のKコンビ。

最初に仕事をしたのは、僕がAPだった、鈴木京香、大沢たかお主演のドラマ「オンリーユー 愛されて」。青山・骨董通りにある制作会社「イースト」の会議室。彼等がプロデューサーの前でかけたのがチャールズ・チャップリン作曲の「スマイル」だった。映画「モダン・タイムス」に使われている名曲だ。脚本を読んでのプレゼン。ドラマが動いた

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APの仕事

ドラマのAP(プロデューサー補)の仕事。台本が上がって来たら、撮影現場のキャスト・スタッフに配布。残りのキャストには東京の事務所に宅急便で送る。撮影前日の夜、俳優さんの控え室の部屋割りをし、ドアに名前を貼る。

撮影当日朝、俳優さんが次々とスタジオ入り。彼らがいる間に、次回分の新幹線チケットを手渡し、タクシー代の精算。俳優さんの撮影が終わったら、その度にタクシーを呼び、タクシーチケットを渡して送り

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