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#24 「誰」と仕事をするか - ポジティブ心理学 -

この記事では、「仕事を ”天職“ だと捉えている人がどのように ”天職” を見つけたのか」について、数回に分けて一緒にみていきたいと思います。前回の記事では、仕事を「天職」と捉える人たちは、天職を「見つけた」のではなく、「作り変えていた」ことを学んできました。(これをジョブクラフティングと呼びます)

また、その作り変え方として、自分の業務内容を拡げたり、フォーカスを変えながら自分なりの味付けをしていくということでした。今回の記事では、2つ目の方法について、一緒にみていきたいと思います。何を作り変えるのかというと職場における「人間関係」です。


「仕事」を最高にするのも最悪にするのも「人間関係」

自分の仕事を「天職」だと捉えている人たちは、職場における「人間関係」も自分なりに作り変えていることが明らかになりました。確かに職場における人間関係って、仕事を進める上でも、こころの健康面においても大事ですよね。せっかく好きな仕事やしたい仕事に就けたとしても、一緒に働くメンバーが最悪だったら、その体験も最悪なものになってしまいます。米国GALLUP社の調査でも、職場にベストフレンドと呼べる人がいるかどうかで生産性やエンゲージメントが変わると報告されており、また、離職理由も直属の上司との関係性に起因するケースが多いことも報告されています。一方、これまでの経験の中で、自分にとって「最高の仕事」って何だったかなと振り返ってみると、そこには信頼関係があるチームメンバーがいたり、一人ではできないことも「仲間意識」をもって皆で成し遂げたことだったりと、やっぱり、「人間関係」が絡んでいるケースが多いんじゃないでしょうか。自分の「仕事」を最高にするのも最悪にするのも「人間関係」ですよね。

「何」をするかよりも「誰」とするか

面白いことに、仕事を「天職」だと捉えている人の中では、最初、そこまで仕事内容自体には思い入れが無かったものの、「このメンバーだから今の仕事を ”天職” だと感じてきた」という人たちがいました。つまり、「何」をやるかよりも「誰」とやるかで自分の仕事が「天職」にもなり得るってことなんです。

例えば、某メーカーのマネジメント職で働くマルオさん。今は本社で働く時間がほとんどなんですが、会議・会議で昔のように工場の現場に行ったり、お客さんに直接会って話すという機会がめっきり無くなり、「自分は一体、何のために働いているんだろう」と思ってしまうことがたまにありました。

会議で忙殺されながら、日々に追われていたある日、社長から工場内で問題が起きているため急いで現場に向かうよう指示を受けたのです。スーツ姿のまま車を走らせ、急いで現場に行ってみると、そこでは毎日、泥臭い作業をチームでこなすメンバーたちが一丸となって、緊急事態に対応しようと駆け回っていたのです。マルオさんは彼らの行動を見ながら、今、何が起きているのかを把握し、その場で自分ができることを行い、事態が収まるのを見守っていました。

問題が落ち着き、しばらくして、マルオさんは各メンバーを労いながら、「最近の調子はどうか?」など、少し彼らのお話を伺っていきました。すると、現場の人たちから次々と工場内の問題に関する話が挙がってき、「本社の人たちにも知ってほしい」と言われたのです。この日を機会に、マルオさんは改めて「現場に足を運ぶことの大切さ」を認識し、時間をやりくりしながら、現場へと足を運ぶ回数を増やし、現場から挙がってくる声を本社に伝え始めました。そして、その機会が増えれば増えるごとに現場の人たちとの間に信頼関係が芽生え、「マルオさんのお陰で改善されました」と報告をもらったり、感謝されたり、親密な関係へとなっていったのです。元々、現場でチームとして働くことやお客さんに会って話すことが好きだったマルオさんは、忙しくはなったものの、自分の仕事に再び、やりがいを感じるようになり、「結構、自分はこの仕事が天職かも」と思うようになっていきました。(つづく)

普段、関わっていなかった現場の人たちと関わり始めることで、再び、自分の仕事にやりがいを持ちはじめた本社のマネージャー

普段、会う人を変えてみる

いかがでしょうか?この例のマルオさんは、本社のマネジメント職でありながら、会う人たちを変えていったことにより、「自分の仕事が ”天職” だ」と感じるようになっていきました。この他にも、製造現場で普段、お客さんと関わらない作業員の人が直接、お客さんと関わるようになったことで、仕事にやりがいを持ち始めたり、また、チームが変わり、新しく入ったチーム中で自分の得意なことをやる機会があり、それによって、周囲のメンバーの役に立ち、感謝されることでやりがいを感じ始めたりすることもあります。このように、会う人が変わることによって、自分の仕事を「天職」だと捉えることができるようになる可能性もあるんです。

皆さんの置かれた状況ではいかがでしょうか?もっとどんな人と会っていくと、自分の仕事にやりがいを感じられますか?どんな人と一緒に働いているとき、もっと「自分らしい」と思えますか?ぜひ、考えてみてください!

さて、ここでは、人間関係が変わることで自分の仕事を「天職」だと思うようになってきたというケースを一緒にみてきました。次回は3つ目の方法として、「自分の仕事をもっと高い次元から見ること」で「天職」にしていくという方法について、一緒に学んでいきたいと思います。(つづく)

【参考文献】
Wrzesniewski, A., and Dutton, J. E. (2001). Crafting a job: Revisioning employees as active crafters of their work. Academy of Management Review, 25, 179-201.

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