#41「希望」を育む - ポジティブ心理学 × 解決志向アプローチ -
ここでは「希望の育み方」について、一緒に学んでいきたいと思います。前回の記事では、ポジティブ心理学の研究を通して生まれた一つの理論を基に「希望」とは何かについて、一緒にみてきました。
「希望」は、「価値ある目標」「内的・外的の発動性」そして「経路」という要素から成り立っているというお話でしたね。今回の記事では、具体的な「希望」の育て方について学んでいきたいと思います。「希望」を育てる方法は色々あると思いますが、ここでは、1 on 1などの面談でとても役立つ、僕がお勧めしたい「希望」の育て方についてご紹介します。
「希望」の各要素をスケーリングする
さて、「希望の育て方」というのが今回のテーマですが、皆さんはどのように希望を育てることができると思いますか? 今回、僕がお勧めしたい「希望」の育て方は、解決志向アプローチのスケーリング・クエスチョンを用いる方法です。(スケーリング・クエスチョンの詳細について、こちらをご覧ください)
「希望」の要素である「価値ある目標」「自分自身の発動性」「重要な他者の発動性」「経路」に関して、各々を10点満点とした場合、今、何点の位置にいるのかを考え、そして、+1点の状態になるために具体的に何をすればいいかを考えていきます。以下、一つ一つの要素について、みていきたいと思います。ぜひ、皆さんもご自身のケースで考えてみてください。
「価値ある目標」がどのくらい明確か?
まずは「価値ある目標」です。今、皆さんはどのくらい自分にとって「価値がある」と思える目標が明確ですか?「これを達成するんだ!」とめちゃくちゃ目標が明確である場合を10点、真逆を1点としたとき、今、何点くらいでしょうか?
今の状態を点数で表すことができたら、その後は、以下のスケーリングの質問に従って答えていき、+1点、よりその目標が明確になるためのアクションプランを作っていきます。
その目標にどのくらいコミットしているか?
次に、自分自身の「発動性」について、どのくらいその目標に対して、モチベーションやコミットメントがあり、「絶対やるぞ!」「絶対やれる」と思えるかを点数化します。こちらも10点満点で点数をつけて、+1点、モチベーションやコミットメントが高まるために何ができるかを考えていきます。
以下のスケーリングの質問に従って、こちらもご自身のケースで考えてみてください。
その目標に到達する道筋はどのくらい明確か?
さらに、「経路」について、どのくらいその目標達成の道筋が明確に見えているかも点数化します。こちらも10点満点で10点が、その道筋がとても明確に見えている状態で、1点がさっぱりわからない状態だとすると、今の状態は何点くらいでしょうか? 点数化できたら、以下、同様に+1点のアクションプランを考えてみてください。
その目標達成を「重要な他者」はどれくらい支持しているか?
最後に「重要な他者」の発動性もスケーリングしましょう。「重要な他者」とは、家族や友人、信仰心がある方は神聖な存在のことを指しますが、ご自身のコンテクストに会う方を選んでみてください。その人が自分の目標達成を100%応援してくれている場合を10点、反対していたり、全くの非協力の場合を1点とし、こちらも今の状態を点数化して、+1点の応援をもらえるようなアクションプランを考えてみてください。
いかがでしょうか? 「希望」を各要素別にスケーリングしていくことで、「希望」を育てるための具体的なアクションプランが出てきたのではないでしょうか? よく「希望を持とう」というアドバイスを耳にすることがありますが、あまりにも漠然としすぎて何をすればいいかわからないという状態になると思うんです。一方、このようにスケーリングの質問に従って、各要素ごとに考えていくと具体的にやるべきことがでてきますよね。
このスケーリング・クエスチョンからも分かるように、ある意味、解決志向アプローチそのものが「希望」を育てるためのアプローチと言っても過言ではありません。解決志向アプローチの「小さな変化が大きな変化を生み出す」という哲学のもと、ぜひ「希望」を育てるために各要素ごとに+1点のアクションを考えてみてください。きっと、暗闇の中でも希望の光が少しずつ見えてくるキッカケになると思います。
さて、ここでは解決志向アプローチの「スケーリング」を用いた「希望」の育て方を一緒にみてきました。いきなり10点を目指すのではなく、ぜひ目の前の一歩に集中して、取り組んでみてください!次回は「希望」と似た概念である「楽観性」について、一緒にみていきたいと思います。(つづく)
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