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#13 小さな変化が大きな変化を生み出す - 解決志向アプローチ -

この記事では「解決志向アプローチ」の考え方について、一緒に学んでいきたいと思います。この考え方を身につけるには、3つの力が必要であり、前回は「望む状態を描き、到達するための道筋を考え出す力」について、望む状態を描くために「問題を一旦、棚上げにすること」を学びました。

ここでは、描いた望む状態に到達するための道筋を考え出すプロセスについて、一緒に学んでいきたいと思います。キーワードは「小さな変化」です。

10段階でスケーリングする

自分が望む状態を鮮明に描ければ描けるほど、何をすべきかが明らかになってくることがあります。一方で現実と理想のギャップが大きく、何からすればいいかわからないというケースもあります。そんなときにお勧めするのがスケーリングです。スケーリングとは、10点満点で理想の望んでいる状態を10、1を真逆の状態としたとき、今、どの位置にいるのかを確認し、次の一歩を明確にしていく方法です。

まず1~10点満点で今の状態は何点かを考える

例えば、今、皆さんが「望んでいる理想の状態」を10点、真逆の「最悪の状態」を1点としたとき、何点くらいのところにいますか?

仮に今の状態を「4点」にしてみましょう。

まずは「既にあるもの」を大事にする

ここからの流れがめちゃくちゃ重要なんですが、「4点」と聞くと、僕たちはどうしてもすぐに「残りの6点」について考えたくなります。「残り6点を埋めるためには・・・」とすぐに「悪い部分を見つけて直す」という問題解決モードに入ってしまいます。この考え方、悪いわけではありませんが、ないものにフォーカスし続けると無力感を感じ、自信を失っていくというお話を別の記事でさせてもらいました。

そのため、望む状態に到達するためにはどんな状況でも、まずは「うまくいっていること」や「あるもの」にフォーカスし、「まだやれるかも」という士気を高めていくことが重要です。この自己効力感が自分自身を後押ししてくれる原動力になっていきます。ですから「残りの6点」を考える前に、まずは「なぜ2点や3点ではなく、4点といえるのか?」について考えていきます。そして「なぜうまくいっているのか」を分析することで、今後にも応用できる自分ならではの勝ちパターンがみえてきます。(勝因分析の大切さについてはコチラの記事をご覧ください!)

「+1点」の状態を明確にする

すでにあるものやうまくいっていることにフォーカスしたら、次に「どんなときに、+1点上がったといえるのか?」について考えていきます。次に何をやらないといけないかが分からないとき、いきなり大きなステップを考えるよりも、「+1点」という小さなステップの方が考えやすいですよね。

今の状態が「4点」であれば、「どんなときに自分は5点くらいかなあと言えるのか?」を考えます。その状況が思い浮かんだら、「何が起きたら、その状態になるのか?」を考えてみてください。それが自分のコントロールが及ばないようなことでしたら、「誰にサポートを求めればいいか?」も考えてみましょう。または「+0.5点」の状態を考えてみるのも有効かもしれません。

小さな変化にこだわる

大事なことは「小さな変化にこだわること」です。解決志向アプローチは「小さな変化が後に大きな変化を生み出す」という考えを大切にします。「雨垂れ石を穿つ」というように、小さな亀裂を生み続け、ある一定のところまできたら「パリッ!」と一気に決壊するようなイメージでしょうか。もしくは、こちらのドミノのように最初は小さい変化だけど、その小さな変化が最終的に大きな変化を生み出していくといったイメージでしょうか。

とにかく、徹底して「小さな変化」にこだわります。そのため、最初の一歩は「+0.5点」でも構いませんので、ぜひ、小さな変化を生み出すことを意識してみてください。

小さな変化を生み出す「スケーリング」の質問

今、皆さんの中で、漠然でも望む未来は見えている、だけど何をすればいいのかわからないといったような状況でしたら、ぜひ以下の問いを大切にしてみてください。次に何をしたらいいか、小さな一歩目がきっと見えやすくなると思います。

  • 10点満点で理想的な状態が10、真逆の最悪な状態が1だとしたら、今の状態は何点ですか?

  • (4点だとした場合)2点や3点ではなく、4点なのはなぜですか?何がうまくいっているんですか?

  • 他には何がうまくいっていますか?

  • (4点だとした場合)同じ質問をしたときに「5点くらいかなあ」と言えるのは、どのような状態になったときですか?

  • その状態になったとき、今とどんな違いがありますか?

  • 何が起きたら、その状態になりますか?

  • その状態になるためには、何が起きる必要がありますか?

  • それが起きるためには、さらに何が起きる必要がありますか?

  • それが起きるためには、さらに何が起きる必要がありますか?(2〜3回繰り返す)

  • 誰にサポートを求めますか?

  • 改めて、これからできそうな小さなことは何ですか?

ここでは、望む状態に到達するために「小さな変化を生み出していくこと」の重要さ、そして、それを具現化するための「スケーリング」という手法を一緒に学んでいきました。 

ここまで数回に分けて、「問題の原因に囚われずに、望む状態を描き、自分のリソースを活かしながら、小さな変化を生み出し続ける」という「解決志向アプローチ」の考え方をみてきましたが、いかがでしたでしょうか?この考え方が少しでも「面白い!」「やってみたい!」と思っていただけていたら嬉しいです。次回以降もさらにこの「解決志向アプローチ」が大事にしている基本指針について、一緒に学んでいきたいと思います。(つづく)

【参考文献】
De Jong, P. and Berg, I. K. (2012). Interviewing for Solutions. 4nd Edition, Brooks Cole, Pacific Grove, CA, 152.

Warner, R. E. (2013). Solution-focused interviewing: Applying positive psychology: A manual for practitioners. University of Toronto Press.

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