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#08 あるものにフォーカスする - 解決志向アプローチ -

この記事では「解決志向アプローチ」の考え方について、一緒に学んでいきたいと思います。この考え方を身につけるには、3つの力が必要であり、前回はそのうちの1つ「問題の原因に囚われない力」についてみていきました。

今回は2つ目の力、「自分の強みやリソースに気づき、それを活かす力 (Resource Activation)」について一緒に学んでいきたいと思います。


問題を抱えているとき「全てうまくいっていない」と思いがち

僕たちは、大きな問題を抱えているとき、なんだか全てがうまくいっていないような気持ちになりがちです。特に悩んでいるときほど、「全てダメだ」と、ついつい極端な白黒思考の考えに陥ってしまうことがよくあります。

”全て” ダメなので、どうしても悪い部分しか目に入らず、「なんとか直さないと」と問題解決のために、どんどん「欠点を見つけては直す」という方向に進んでいきます。勿論、それで良くなっていくのであればいいんですが、多くの場合、「全てダメだ」と考えていると、その問題の大きさに圧倒され、途中であきらめたり、自信を失ってしまうことがあります。悪い部分ばかりに目を向けていると、無力感を感じてしまうのも無理もないですよね。

人間は「問題の塊」ではない

一方、いかなる問題でも、「全てダメ」といったような極端な頭の中のつぶやきには注意する必要があります。なぜなら、それがどんなに大きな問題であろうと、本当に「全てダメ」ということは極めて稀なことだからです。もう少し丁寧に現実を見ると、「全てダメ」と思うような状況でも、うまくいっていることや、まだマシなこともあるのではないでしょうか?

まずはあるものにフォーカスする

ポジティブ心理学や解決志向アプローチでは、問題を抱えているとき、悪い部分にフォーカスし、それを直していくのではなく、まずは自分の強みやその状況でうまくいっていること、まだマシなことからフォーカスしていきます。なぜなら、あるものにフォーカスをすると「まだやれるかも」という自己効力感や希望が湧いてくるからです。図で示すとこんな感じです。

人間は "問題の塊"(左)ではなく、問題もあれば、健全な部分もある(右)

あるものに目を向けていくことで、「まだ、やれるかも」という気持ちが湧いてきます。そして、この気持ちがあるからこそ、僕たちは現実に向き合って、解決した後の状態について描き始められるようになるんです。(これを「拡張ー形成理論 (Broaden and Build Theory)」と呼びます)

皆さんも、何か問題を抱えたとき、もしくは、うまくいかない状態が続いたとき、「全てダメだ」と思ってしまったとき、ぜひ丁寧に「今、あるもの」を数えてみてください。きっと、落ち着きを取り戻し、皆さんが本来もっているこころのエネルギーが湧いてくると思います。

ここでは、解決志向アプローチに必要な力の1つである「自分の強みやリソースに気づき、それを活かす力」として、「あるものからフォーカスすること」について、一緒に学んできました。次の記事では、自分の「こころの力」に目を向けられるようになるために役立つ言葉について、一緒にみていきたいと思います。(つづく)

【参考文献】
De Jong, P. and Berg, I. K. (2012). Interviewing for Solutions. 4nd Edition, Brooks Cole, Pacific Grove, CA, 152.

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