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#26「強み」を活かし、「天職」を作る - ポジティブ心理学 -

 この記事では、「仕事を ”天職“ だと捉えている人がどのように ”天職” を見つけたのか」について、数回に分けて一緒に学んでいきたいと思います。前回の記事では「自分の仕事が社会にどう役立っているのかを高い視座からみていくことで ”天職” にしていく」ということを学んできました。

ここでは、自分の強みを活かすことで自分の仕事を「天職」にしていくということについて、一緒にみていきたいと思います。今回の記事が「天職の作り方」についての最後の記事になりますので、少し振り返りながらお話していきたいと思います。

自分の「特技」を仕事に混ぜ込む

これまで、自分の仕事を「天職」だと捉えている人たちは「天職」を見つけたのではなく、目の前の仕事を作り変えて、「天職」にしていたということを学んできました。(これをジョブクラフティングと呼びました)

自分の目の前にある仕事の①業務内容の拡げたり、②関わる人を変えたり、③高い視座から見てみることで、仕事の意味合いを変えて「天職」へと作り変えていました。今回は、自分の「強み」を業務に活かすことで仕事を「天職」へと作り変えていくことについてみていきたいと思っていますが、おそらく、例を見た方がわかりやすいと思います。そこで、百聞は一見に如かず!まずはこちらの動画をご覧ください。

かなり極端な例ですが、こちらのフィリピン人のおじちゃん、自分の特技であるダンスを業務に混ぜ込み、見事に交通整理を自分の「天職」に作り変えちゃっています。「交通整理」という業務を遂行する上で、ぶっちゃけ、踊る必要ありませんよね? でも、自分の「特技」や「好きなこと」を業務に混ぜ込むことで、まずは自分自身が楽しくなります。そして、それが他者のためにもなっていき、最終的に自分の仕事が「天職」へとなっていくこともあるんです。

こういうふざけた(?)ことが許される国、フィリピン。やっぱり好き

仕事を変えずに「強み」を混ぜ込む

このように、自分の「特技」や「強み」を業務に混ぜ込むことで、自分の仕事を「天職」だと感じるようになることは、ポジティブ心理学の研究でも報告されています。例えば、ドイツのある研究チームは、ITのエンジニアから学校の先生まで、さまざな業種の人たちを介入群と対照群に分けて、まずは「自分の仕事をどのくらい天職に感じているか」という「天職」の感覚を伺いました。そして、介入群は1ヶ月間、自分自身の強みについて学び、その強みを毎日、職場でもっと多く、そして新しいやり方で活かせるよう、トレーニングを受け、対照群は、日常生活でうまくいったさまざまな場面を毎日、振り返るというタスクを行いました。そして、6ヶ月後にまた「天職」の感覚を各々に伺ってみて、変化があるかどうかみたところ、介入群の方が「自分の仕事を天職だと感じる」という感覚が高まったという結果になりました。

毎日、強みを活かすようにトレーニングを受けた介入群の人たちは自分の仕事を「天職」だとより感じるようになった

これ、面白いのは「天職」だとより感じるようになった介入群の人たち、別に仕事を変えてないってところなんです。自分の強みを理解し、その活かし方を学んだ人たちは、これまで通りの与えられた業務を行っているわけなんですが、より自分の強みに意識が向くようになり、「あれ?これ、気づいてなかったけど、結構、自分の強みを活かしているじゃん?もしかしたら、これ天職かも」という認識に変わっていったんです。また、別の研究でも、職場で自分の「特徴的な強み」を4つ以上使っていると感じる人たちも自分の強みを「天職」だと捉える人が多かったという報告もあります。(「特徴的な強み」については、後日、別の記事でご紹介します!)

「強み」を活かし、「天職」を作る2つの道筋

これらの研究結果からも、自分の強みを活かすことは自分の仕事を「天職」だと感じることに繋がりがあるようです。確かに自分の苦手なことや不得意なことをずっーとしなければいけない仕事を「これがわたしの天職だ」と思うのは難しいですよね。そういった意味で、自分の「強み」を活かして、自分の仕事を「天職」だと感じたい場合、以下の2つの道筋があります。

  1. 自分の「強み」を活かしやすい仕事を意識的に選んでいく

  2. 目の前にある仕事内容に対して、いかに自分の「強み」が活かせるかを考える

「これから仕事を探します」という状況であれば、もちろん、自分の「強み」が活かされやすい環境を選んだ方がいいですよね。「教えること」が得意な人は、教える機会が多い職場を選んだ方がいいと思いますし、「色んな人と話すこと」が得意な人は、新しい人と出会う機会が多い職場を選んだ方が、きっと水を得た魚のようになりやすいと思います。一方、今の目の前の仕事を「天職」にしていきたい場合、たとえそれが余計なことであっても、ぜひ、自分の「強み」を混ぜ込む隙間はないか、振り返ってみてください。そして、その「強み」を活かして他人の役に立とうとする前に、まずはそれを活かして、自分自身が楽しくなる方法を見つけてみてほしいなと思います。いっぱいになったバケツから水が溢れ出るように、まずはバケツを水でいっぱいにすることから考えていきましょう。

さて、ここでは、自分の仕事を「天職」にするために、自分の「特技」や「強み」を活かすことについて、一緒にみてきました。一方、「自分の強みがわからない」という方にとっては、「確かにそうだけど、じゃあ、どうすればいいの?」という疑問が湧いてきますよね。そこで、次回の記事から数回にわたって、「強み」の見つけ方について、一緒に学んでいきたいと思います。特に「自分の強みがわからない」という方は、ぜひ楽しみにしていてください!(つづく)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

【参考文献】
Harzer, C., & Ruch, W. (2012). When the job is a calling: The role of applying one's signature strengths at work. The Journal of Positive Psychology, 7(5), 362–371.

Harzer, C., & Ruch, W. (2016). Your strengths are calling: Preliminary results of a web-based strengths intervention to increase calling. Journal of Happiness Studies, 17, 2237-2256.

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