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SDGs史#17 Goals 1が「貧困をなくそう」なわけ

『ボヘミアン・ラプソディー(2018)』をご覧になりましたでしょうか?
ライブエイド(1985)でのQueenのパフォーマンス、そして、そこに至るまでのフレディ・マーキュリーのナイーブな軌跡を描いた名作ですよね。

映画を前振りに話をすすめます

ライブエイドは、20世紀最大のチャリティ・イベントと称されます。「1億人の飢餓を救う」をスローガンとし、「アフリカ難民救済」を目的としたものです。

当時、84か国に生配信、電話による募金を募りました。

このイベントで1億4000万ポンド(280億円)が集まりました。

熱狂的な一日であったに違いありません。

飢餓で苦しむアフリカの人々を音楽の力で救うという願い、無償でパフォーマンスを提供します。視聴者は、自ら募金します。善意のループですよね。

「でも、アフリカではたった 1 週間で債務返済に消える額だと、数年後に知った。」
(U-2 ボノ *ライブエイドに参加  引用 アジア太平洋資料センター)

一過性のイベントでは、太刀打ちできない社会的課題であったことも事実なわけです。

その認識が継続し、ライブエイドにとどまらずに、ミュージシャンの草の根活動、慈善起業家たちの寄付は定着していきました。

「豊かな人」が、「貧しい人」を救う。

これは、至極、真っ当な信条です。

余談ですが、再び、「ボヘミアン・ラブソディ」に戻ります。当時、落ち目だったQueenの参加を決意するフレディ。映画の脚色はあるにせよ、ライブ前に確執のあった父との抱擁シーンでのセリフは嘘ではないでしょう。

「”善い考え、善い言葉、善い行い”、だろ」

("ゾロアスター教の美徳")


「貧困」と「開発」、そして「サステイナブル」

もちろん、国際社会がこの問題を放っておいたわけではありませんでした。

SDGsの最初の目標Goals 1が、「貧困をなくそう」

になる芽は、この時期に定まったといえます。

国同士の話になると先ほどの美徳が、少し変わってきます。

「豊かな国」が「貧しい国」を援助する。

「開発された=developed  国」が「開発途上=developing  国」を援助する。

よりよい国になるために、開発=Developmentが処方箋だったわけです。

そして、ボノのいう債務返済と開発は切っても切れない関係がありました。

また、「開発された=developed  国」にも貧困はあります。個人ではなく、何かをカテゴリー化した際は、注意が必要ですね。

#ただ、この世界の見方のステレオタイプは、30年あまりをかけて変化してきたことはきちんと理解しておきたいところです。ファクトフルネス(ハンス・ロスリング他)などを参考にしてください。あと、「貧困を救うテクノロジー(イアン・スマイリー著)」も良書です。この部分は、私には書く力量はないので、短絡的な書きぶりになること、ご容赦ください。

サステイナブルに開発するという荒治療

1984年に発足したブルントラント委員会は、一方で「環境」の重要性を認識し、一方で「開発」の重要性も痛感するという板挟み状態であったわけです。

当時の感覚として、「環境を守る」と「貧困を救う」は、矛盾するという感覚でした。まだまだ「開発された=developed  国」でさえも、さらに「開発」すれば、「環境」が悪化する、という構図が一般的だったからです。

ブルントラントさん(ご存命)が国連広報センターで、ご自身と国連とのかかわりを振り返り、次のようにブルントラント報告書(1987年)を位置付けています。

この報告書は、環境の諸問題を政治的課題としてはっきりと位置づけるとともに、それぞれを個別の問題ではなく、開発と切り離して考えることのできない問題として、そしてすべての人々と国々の権利として、その相互依存性を認識して提示しました。
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報告書では、持続可能な開発(Sustainable Development)の定義として「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」が登場します。

続いて、報告書では、その後に二つの概念がキーになると書いてあります。

「何にも増して優先されるべき世界の貧しい人々にとって不可欠な”ニーズ=needs”」の概念」

「現在および将来世代の欲求を充たせるだけの環境の能力の限界についての概念」

この二つの概念が、「環境」と「開発」を少しずつ手繰りよせ30年かけてSDGsにたどり着いたわけです。

当時は、矛盾した言葉、妥協のたまもの、成長論議からの逃避、などと批判を受けたそうです。

しかしですよ、後から振り返られる立場からは、絶妙だった、と評価せざるをえないです。

*ちなみに、この報告書は、アマゾンでたまに出品されています。今見たら、中古18,000円が1品のみ。大事なところをコピーしておいてよかった。


ただ、私たちは歴史の渦中にいます。

将来の世代にどう裁かれるかはこれから次第です。

Z世代が子供を育てるころ、きちんと感謝されるように。皆さん、それぞれ出来ることをやっていきましょう。

と、フレディのようなナイーブさで締めくくります。

そして、次回のテーマは、将来世代です。


どうも長文をお読みくださり、ありがとうございました!!!
牛歩でSDGs史発信していきます。
気が向いたら、他の章も書いていきます。

ではでは、皆さまに感謝を送ります。







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