【architecture】モエレ沼公園|イサム・ノグチ
はじめて北海道札幌市の『モエレ沼公園』を訪れたのはもう15年近く前の学生時代である
建築家は旅をしなくてはならない
そんな野心丸出しの建築学生はお金もないため青春18切符を片手に東京から北海道まで途中下車を繰り返し向かった
何を血迷ったか12月24日に出発しクリスマスにひとりで雪国へ向かう計画だった
仙台で途中下車し『仙台メディアテーク』を見学し、牛タンを食べてから、松島へ
松島での美しい夕日が忘れられない
夜行列車に乗るためにたどり着いた青森は、これぞ北国かと感じるほどの寒さと吹雪
そして人影が恐ろしいほどない怖さを体験した
今は新幹線の開通により青函トンネルの夜行列車は廃止になっているらしい
そして待望の札幌へ到着
早速『モエレ沼公園』へ向かうも雪だらけで公園も何もワカラナ〜イ( ゚д゚)
ナンテコッタ!
唯一認識できたはガラスのピラミッド『HIDAMARI』だけだった
一昨年再び訪れたのは秋だった
ようやく晴れの『モエレ沼公園』と対面できた
『モエレ沼公園』は彫刻家イサム・ノグチによる設計で計画された
イサム・ノグチはこの公園を巨大な彫刻に見立ててつくったと言われている
1988年3月から開始した公園計画ではその年の11月にイサム・ノグチによる2000/1の模型により全体計画が発表されることになるが、翌月にイサム・ノグチは急死してしまう
奇しくもイサム・.ノグチにとって最大規模の彫刻作品が遺作となってしまったのだ
2005年にグランドオープンした『モエレ沼公園』は約188.8ヘクタールという広大な敷地面積である
ちなみに1ヘクタールという単位は10,000m2でちょうど100m×100mである
これが188個分というと分かりやすいだろう
(いや、わかりやすくないな)
とにかく超巨大な敷地を彫刻に見立ててつくられた公園なのである
イサム・ノグチは石を削って作品をつくる彫刻家であった
彫刻だけでなく『あかり』シリーズのような照明器具も手掛けたが、どれも手仕事による作品だ
彫刻はノミで石を削ってつくられる
頼りになるのは手の感覚である
ここからは私の考察である
『モエレ沼公園』にはガラスのピラミッド『HIDAMARI』や円錐の山、テトラマウンドなど三角形や円錐、四角形などの幾何学的な形態を多用されている
幾何学は自然にはない人工的なものである
広大な自然に対して幾何学的形態を用いることにより自然との対比が大きくなり、人はその裏側にある自然に惹かれるのではないだろうか
ギリシャのパルテノン神殿も自然の丘の上に幾何学的形態の柱と梁が建てられただけの建築だ
しかしその幾何学は永遠性すら感じられるものとして今なお感動を与え続けている
モエレ沼公園の幾何学的な形態は大自然に対して彫刻を碇のように固定する手段として用いられたのではないだろうか
普通は不自然な一直線に並んだ木々も大自然に負けない彫刻のひとつとして立ち並んでいる
モエレ沼公園にはいくつかの山がある
登るのはちょっと大変ではあるがぜひ登ってみてほしい
北海道と大自然を感じる風景、広大な空、心地よい風を感じることができる
またまた建築家気取りの幾何学ウンヌンとかコムズカシイ話を持ち出してしまった
実際に行ってみると幾何学ウンヌンなんて話はどーでもいいくらい気持ちの良い公園である
みみっちい建築談義は無視して広大な北海道の自然を満喫してもらいたい
それは平和を求めたイサム・ノグチにとっての本望だろう
ちなみに冬場に行く場合はスキーをする格好で行きましょう(笑)
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