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物食日記

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美味しいもの、美しいものが好き。 散歩とスナップに夢中。
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2022年11月の記事一覧

夜明けの獅子舞

夜明けの獅子舞

11月が終わりに近づくと、おのずとソワソワしてしまう。鎌倉二階堂から低山の尾根につながる道の途中「獅子舞」の情景に想いを馳せて。

今秋はこの低山の麓で働き、葉の染まり具合をつぶさに見つめていることもあって、鎌倉随一とも讃えられる紅葉スポットの景色が気になってしかたがない。

例年なら12月一週めが華極まるタイミング。ちょっと早いかなと思いつつ、仕事前の早朝に「獅子舞」を訪ねた。

着いたのは5時

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葦と川、光と影

葦と川、光と影

実家のある佃島にステイした翌朝は八丁堀まで歩いて朝食をいただく。すっかり定番化した行動をなぞる。自然な流れに身と心を任せて。

隅田川テラスの川辺をのんびり進むのもお決まり。暖かな初冬のよく晴れた朝。心地よい光を浴び、水面を撫でる風を受けての散策。

いつもの鴨たちに挨拶して葦を覗くとスズメが穂先をついばんでいた。水と緑があれば集うのは鳥も人も同じ。

川底と魚影が透き見える。こんなにも隅田川河口

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サイゼリヤ魔改造

サイゼリヤ魔改造

昨晩は佃島にステイ。晩飯は実家から歩いて3分、月島のトラットリア「サイゼリヤ」へ。隣りの長屋は幼いころの親友Sクン宅だった。遊びに行くたびに二軒の壁を抜いて無理矢理つなげた建築の珍奇な改築を不思議に思っていた。そんな懐かしく想い入れたっぷりな場所。

食べたいものは扉を開ける前から決まっていた。『カルボナーラ』大盛である。

まずはデカンタの白ワインで喉を潤しながらオーダーのカスタマイズ方法を再確

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日の丸弁当

日の丸弁当

鎌倉の植木仕事は毎日、弁当を持参。毎朝、南部鉄の鍋で米を炊く。そのご飯を長野奈良井宿、小坂漆器店の拭き漆わっぱに満たして、おかず少々とともに携える。少しの手間、好きな器で日常の緊張感をほどよく保つ、自身では儀式のように思うルーティンだ。

ご飯の真ん中には昔ながらのしょっぱい梅干しをひとつ。絵に描いたような日の丸弁当である。

梅の周辺には粗塩を散らして塩分補給。白米と梅干し。これだけで豊かな心持

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朝のフォカッチャ

朝のフォカッチャ

米粉と豆乳ヨーグルトでフォカッチャを仕事に向かう前の早朝に焼く。

レシピは白崎茶会の『へとへとパン』より。この一冊を開いていろいろなパンを作ってきたからだいぶスムーズに手が動くようになってきたのが嬉しい。

ふわふわもこもこのパン生地を素地にした「トマトのフォカッチャ」も30分ほどでできた。ごく限られた時間内に美味しく、身体に優しいフォカッチャを焼けるようになるなんて、自身の進化と深化に驚いてし

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雨の日はプリンでも焼いて

雨の日はプリンでも焼いて

雨降りの勤労感謝デイ。今日も家にこもって体力温存してまったり、のんびり。休日でも寝床から起き上がるのはふだんどおりの朝4時前。コーヒーをエアロプレスして、漉し餡バタートースト食べて土間のベンチで聴き逃した昨晩深夜の『JET STREAM』を耳にぼんやり。

なんの予定もないから、またプリンでもつくろうかと厨房へ。前回の失敗を省みて、割り入れた卵を気泡出ぬよう丁寧に混ぜ混ぜ。

グラニュー糖と逗子の

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ふつうの素朴プリン

ふつうの素朴プリン

何も予定がない雨降りの休日が案外嫌いではない。家でたまたま思いついたことに黙々と耽るうってつけの機会だから。

たとえば昨日の雨の日曜日はのんびりと朝食とコーヒーを味わったあと、冷蔵庫にたまたまあった牛乳とたくさんの卵でふとプリンを存分に食べたくなった。材料が限られ、とても簡単にできちゃうスイーツ。とはいえレシピは忘れているからネットで検索。

『平野紗季子のプリン道場』というbrutus.jpの

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ふつうのチーズケーキ

ふつうのチーズケーキ

バスク風チーズケーキづくりのマイブームがにわかに興り、毎週末にベーキング活。表面が焦げ過ぎちゃう問題をオーヴンの設定温度を変えてリトライしているんだけど、どうも改善の光が灯らない。で、家のレンジオーヴンの性能が原因と決めつけ、ほどよく焦がすことを忘却。6年ほど前に教わった湯煎しながらの方法に立ち還った。何ごともトラブルはオールリセットして基本、初心に戻るのが大事かもしれない。

6年前との差違は主

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塩糀のピザ

塩糀のピザ

鎌倉浄明寺「sawvi」の無農薬玄米糀で自作した塩糀。

最高にして万能の調味料。あらゆる料理をまろやかに角の取れた甘い旨味に仕上げてくれる。身体が悦ぶ官能的なまでの美味しさ、染み入る幸せに思わず眼を閉じて心酔してしまう。

このところは、白崎茶会の『へとへとパン』より、『かりふわピザ』を朝につくる際、塩糀を生地に足している。

レシピにはない独自のアレンジで、チーズや黒胡椒、アルゼンチン産粗塩と

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哀しきナナフシモドキ

哀しきナナフシモドキ

平日も週末も4時半には起床する日常。弁当と朝ごはんをつくりに土間キッチンに降りると、さまざまな虫と顔を合わせる。土間と庭がほぼ一体化した農家の作業小屋みたいな空間だから、虫たちは外と内(家)を自由に行き来しているのだ。

先日はのっそりとスローリィに歩くナナフシモドキと出会った。誤って踏んでしまったら可哀想と思い庭に移してあげた。

翌朝、土間の引き戸そばで蜘蛛の糸にかかり、生き絶えている姿が眼に

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朝のパン活

朝のパン活

夜明け前の4時半に眼を覚まし、米を鉄鍋で炊いて弁当をつくり、コーヒーを淹れてradikoで『JET STREAM』を聴きながらまったり。そんなルーティンにパンを焼く活動が加わった。

米粉、豆乳ヨーグルト、オカラパウダー、オートミール、絹豆腐など身体に優しい材料で最短20分ほどで焼くパン。面倒な発酵工程も生地の入念な練り作業が不要。忙しい朝も、へとへとに疲れた夜もパパッとつくれちゃうという白崎茶会

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古着と最少の道具で漕ぐ

古着と最少の道具で漕ぐ

カヤックで海上散歩を再開して一か月。風が穏やかな休日は葉山一色海岸から徐々に距離を伸ばし、無理のないパドリングを楽しんでいる。

まだまだ洋上、水中は暖かいから纏うのはネオプレーンの半袖、短パン。

20数年前、公私ともシーカヤッキングに夢中だったころに買ったパタゴニアのウェアを着用。南国の海に潜る取材でも着ていたから世界各地の潮水が浸透。だいぶくたびれてきたけど、リペアしつつ当分活躍してくれそう

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八丁堀と佐島の水路

八丁堀と佐島の水路

佃島の実家に寝泊まりした翌朝は決まって八丁堀の「CAWAII BREAD AND COFFEE」まで散歩して朝食を食べる。

最近は『クロワッサン・オ・ザマンド』とKAFE工船の深煎り豆で淹れる『アメリカーノ』のほぼ一択。

パンとコーヒーがとびきり美味しいことに加えて、亀島川のほとりで風にたなびく葦と悠然と流れる海と川の水、きらめく朝の光を望むテラス席があまりにも心地よいのが通う理由。

その水

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おはよう富士、     ただいま富士

おはよう富士、     ただいま富士

葉山一色の自宅から鎌倉の仕事場まで海と富士山を眺めて行き来している。真名瀬の渚では毎朝ラジオ体操に興じるローカルの健やかさに元気をもらい、朝富士におはようの挨拶。

それから葉山と逗子の海岸線をスタイリッシュな建物を観ながら20数分クロスカブで風を受け流す。

そんな快適な通勤路を選べる今を心から幸せに思う。逗子では東京に向かう横須賀線をバイクに跨って見送り線路を渡る。ほんの数年前までは、この時間

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