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古着と最少の道具で漕ぐ

カヤックで海上散歩を再開して一か月。風が穏やかな休日は葉山一色海岸から徐々に距離を伸ばし、無理のないパドリングを楽しんでいる。

まだまだ洋上、水中は暖かいから纏うのはネオプレーンの半袖、短パン。

20数年前、公私ともシーカヤッキングに夢中だったころに買ったパタゴニアのウェアを着用。南国の海に潜る取材でも着ていたから世界各地の潮水が浸透。だいぶくたびれてきたけど、リペアしつつ当分活躍してくれそう。すっかりスリムになった身体にほどよくフィットしてなかなかの着心地。

パドリングシューズも当時から気に入って履き続けている。絶妙に幅広甲高な自分の足型に馴染み、砂が中に入りにくくて磯場で滑りにくい。たしかアメリカ製品だったが、今は入手不可。これを超える良品はあるのだろうか。

海上に携えるのはペリカンの防水ケースに納めたiPhone12miniのみ。自分は決してミニマリストではないが、荷物が少ないとより軽快に漕ぐ行為にフォーカスできる気がする。

シットオントップ型の『オーシャンカヤック マリブTWO』はシートが無いぶん腰の負担が大きく長距離移動が苦手だ。簡素なパッドを背に当てるだけでずいぶん楽になる。これはオーシャンカヤック用他社製品で、カウアイ島のアウトフィッターで手に入れた。長く屋根裏に放置していたけど劣化は皆無。ザ・アウトドア・エクイップメント。アメリカンな頑丈さに感心。

カブーの刺繍キャップは新調。ストラップでギュッと頭に締め留められるから海上の突風にさらわれることがない。カヤッキング帽子はこれに限ると思う。

チャムズのストラップを着けたサングラスはイタリアのペルソール。30年ほど前に原宿で度付きに仕立てたもの。気分はこのブランド贔屓なトム・クルーズ。軽くて装着感が素晴らしい。

こうした軽々したツールを最小限に厳選したのはちょっと緊張する場所に漕ぎ入るため。荒々しく太古の地層と活断層のレイヤーが露わな長者ヶ崎。その断崖下の海岸に最接近した。

ふだんはそこそこの白波が寄せては砕けるスポットだけに、不意に波しぶきを浴びる率も高いわけで、ちゃんとしたカメラやレンズを持って来るのはためらってしまったのだ。とはいえ、iPhoneのカメラはそこそこどころか、ブレに強く、またライブ感たっぷりにブレを活かした描写も可。動画撮影もできると、かなり優秀。20数年前には想像もしなかったツールの進化に驚き、嬉々として取り入れながら、古くて佳いものと併用しつつ、海上散歩を無理せずに力まずに楽しんでいきたいな。

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