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日の丸弁当

鎌倉の植木仕事は毎日、弁当を持参。毎朝、南部鉄の鍋で米を炊く。そのご飯を長野奈良井宿、小坂漆器店の拭き漆わっぱに満たして、おかず少々とともに携える。少しの手間、好きな器で日常の緊張感をほどよく保つ、自身では儀式のように思うルーティンだ。

ご飯の真ん中には昔ながらのしょっぱい梅干しをひとつ。絵に描いたような日の丸弁当である。

梅の周辺には粗塩を散らして塩分補給。白米と梅干し。これだけで豊かな心持ちになれる自分は根っからの日本人なのだろう。梅干しはいただきもの。塩の濃度を変えたバリエーション豊富なものを、それこそ一年ぶんくらいたくさんプレゼントされた。市販の不味い減塩タイプを嫌う同志から。ぼくの暮らしはこうした佳き縁に支えられている。人はひとりでは生きていけない。この大好きな梅干しを味わうごとに実感している。

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