マガジンのカバー画像

物食日記

577
美味しいもの、美しいものが好き。 散歩とスナップに夢中。
運営しているクリエイター

2022年9月の記事一覧

シャインマスカットのパフェ

シャインマスカットのパフェ

鎌倉での植木仕事の帰りに近くの糀ショップ「sawvi」で憩う。

一、ニヵ月に一度の贅沢を愉しむ当日は朝から気持ち昂り、仕事がはかどる。それくらい嬉しい格別な快楽体験なのだ(笑)。

室内空間もモダンで素敵だが、汗臭い自分は遠慮して庭の席へ(笑)。外が好きなのは、鎌倉浄明寺らしい静寂と植生がそばに流れる滑川源流の仕事場に似通い、深く鎮まるから。

ついさっきまで身に纏っていた森林香も足元にあるし(

もっとみる
雑味ないコーヒーを淹れる

雑味ないコーヒーを淹れる

蔵前のBean to Bar(安心安全なカカオ豆の仕入れからチョコレート製造まで一貫しておこなう)チョコレート専門店「ダンデライオン・チョコレート」広報担当者の紹介で出会ったチョコレート探検家のチョコレートくん。彼から上質なカカオ豆から板チョコをつくる手法を教わったのは4年前。そのHOW TOはトラベルWEBマガジン「たびこふれ」の記事で掲載し、彼との縁でさらに伝授されたスキルが「雑味のないコーヒ

もっとみる
近所の生パスタ

近所の生パスタ

町内にうどんとパスタの手打ち製麺所がある。その存在に気づいていながら、寄る機会を逃してきたが、「卵のパスタ」をリベンジして作り直すモチベーションを得るべき、仕事帰りに葉山一色の「パ 麺 タ」を目指した。

閉店間近な4時半、たまたまこの日に残っていたパスタは3種。いずれも腰の強さが特徴の小麦粉デュラム粉の粗挽き(セラム)。ナポリタンに特化した『Napolita_n』、断面が四角でソースが染みこみや

もっとみる
近所のパン

近所のパン

葉山にパン屋さんはいくつかあれど、我が家のデイリーなパンは家から歩いて数分、「ポコパン」である。柴犬つながりの友だち、定兼夫妻が営む一軒。かつて所有していたオールドミニを専門誌で取材させてもらったこともあった、格好良く洗練されたセンスの持ち主でもある。

毎週土曜日の10時、開店時間に合わせて向かうのがルーティン。ただし、週末も仕事だったり、東京に出かけたり、今週のように土日が店休だったりすること

もっとみる
しみじみ卵のパスタ

しみじみ卵のパスタ

萬田康文さん、大沼ショージさんの写真家ユニット「カワウソ」が著した『しみじみパスタ帖』。手にしたとき、まっさきに作りたいと願ったのが、表紙を飾る『卵のパスタ』。

萬田さんいわく、「イタリア版卵かけご飯」。その表現と主材料は卵だけの潔さに強く惹かれた。水と塩の量を正確に計測し、パスタ茹で汁に着手してからまずはパスタに和えるオムレツづくり。この段階でえっとオムレツってどうやるんだっけ?と手が止まる。

もっとみる
大雨に備えて

大雨に備えて

台風が迫り来る敬老の日は鎌倉の霊園を駆けまわるお仕事。大雨に打たれること必至なので、レインウェア上下まとい、滝汗をかくことが予想される。ゴミまみれになるから、とてもゴアテックスの高価な服は着れず、選ぶのはワークマン製品。防水性は高いものの、服の内部は蒸れ蒸れ。不快指数マックスな状況を覚悟しつつ、せめて動きやすいように便利ギアを導入。

amazonで取り寄せたのは、Trilancerという中国深圳

もっとみる
カワウソのしみじみパスタ

カワウソのしみじみパスタ

隅田川、駒形橋そばのアトリエ「カワウソ」を主宰する写真家、萬田康文さん(料理・文)と大沼ショージさん(撮影)が「喫茶カワウソ」で供したり、ふだん食べているパスタのレシピ本『しみじみパスタ帖』(誠文堂新光社)を制作。

冷蔵庫にある野菜など手頃な食材でパパッと作れるパスタ。我が家では週一で味わっている身近すぎる料理だけど、調理はおおむね適当。自己解釈で毎度お腹が満たされちゃう。

そんなアバウトな一

もっとみる
pen再読

pen再読

東京都現代美術館での「ジャン・プルーヴェ展」を観て一週間が経過。いまだ深い余韻に浸りまどろむ土曜日の朝。

20年前に購入した雑誌「pen」88号を本棚から取り出して再読。ジャン・プルーヴェ特集の記事を改めて開くと、ジャンの仕事ぶりと建築、家具、美学の魅力を見開きごとに明確に、詳細に解説し、今回の企画展に最適な最高のガイドブックだと驚愕、敬服した。

まさに永久保存版な一冊。ファンは古書をぜひ手に

もっとみる
石を探しに

石を探しに

北側の庭に10年以上放置しているカヤック。今月中の再乗艇を目指して、もろもろ準備中。

一見、繁茂するシダに埋もれそうだが、カヤックの下側には土が露呈し、なんか佳い塩梅で共存してる。こまめに草刈りしようかと思いつつ、草下に潜む秋虫の声に聴き惚れ、なかなか手が着けられない。

せめてカヤックの下に石を敷いて保護してみようかと考え、家の前のビーチへ。日没間際だというのに観光客がまだたくさん。ここから漕

もっとみる
モスキート再び

モスキート再び

鎌倉で植木仕事する場所は常緑樹茂る山が迫り、風抜けは悪く亜熱帯地方みたいな高湿度。そんな環境で腕に装着していたカシオの90年代山登り用の時計、初代『プロトレック』内部に湿気が侵入。液晶画面が曇り、やがて動作しなくなった。自己責任で裏蓋を開け電池交換したのだが、裏蓋を密閉するゴムパッキン(Oリング)が劣化し、本来の役割を果たせなかったのだろう。街中での使用ではやり過ごせたかもしれないが、自然に分けい

もっとみる
構造を耽美

構造を耽美

展示室の一部にも自然光が差しこむ東京都現代美術館。その劇的な空間で自分史上最高の展覧会を堪能し尽くした。ほぼすべての作品が撮影OKの寛容さもあり、穴の開くほど細部を凝視し、昂り、スナップしまくり。

至上の眼福体験に興奮冷めず、深夜まで寝つけなかったほど。一晩明けた今も呆然と高揚感と幸せの余韻に浸っている。

フランスの鉄鋼の街、ナンシーで画家の父、音楽家の母のもと生まれ育ち、鋳鉄職人、金属工芸家

もっとみる
オーバーサングラス110円

オーバーサングラス110円

日々、猛烈な湿度やぬかるみに晒され、草木で擦れ、泥土まみれになる植木仕事の職場。道具を大事に使いたいが、酷使せざるをえず、どうしても耐用期間は限られてしまう。使い捨てという表現は嫌いだが、3ヶ月ごとに新調が必須の足袋と同じく纏うものは消耗品と割り切って使いきるしかない。

刈払機で草刈りする際には容赦なく猛スピードで飛んでくる石から眼を護るため、ゴーグルが必需品だ。ぼくは眼鏡をかけているから大丈夫

もっとみる
逗子海岸を通って

逗子海岸を通って

鎌倉の仕事場への足はクロスカブ。葉山一色から逗子の海岸沿いの道を通って毎日向かう。ホンダのCMに「バイクを知らない人生なんて」と謳うものがあったけれど、夏の晴れた朝はまさに実感。風を切って爽快感に包まれ、瀟酒なビーチタウンを駆け抜ける心地よさといったら。ハワイ、ホノルルの朝に通じる快楽的な空気と光に心から酔いしれてうっとりしてしまう。

逗子海岸を望む裏道「黒松通り」にはかつて界隈に繁っていた立派

もっとみる
結ぶ知恵

結ぶ知恵

大自然に分け入るハードな冒険行ではなく、タウンユースに向いた軽量カラビナで名を馳せた北米ナイトアイズ社。看板製品である『エスビナー』はクライミング用のカラビナと比して強度は劣るが、そのぶん抜群に軽い。街やキャンプでの使用には軽さと、開閉のスムーズさ、そこそこの信頼性があれば充分で、鍵をはじめとする日用品を留めるだけの用途なら山用カラビナはむしろ過剰なスペックである。多くの人にとって必要充分な仕様に

もっとみる