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結ぶ知恵
大自然に分け入るハードな冒険行ではなく、タウンユースに向いた軽量カラビナで名を馳せた北米ナイトアイズ社。看板製品である『エスビナー』はクライミング用のカラビナと比して強度は劣るが、そのぶん抜群に軽い。街やキャンプでの使用には軽さと、開閉のスムーズさ、そこそこの信頼性があれば充分で、鍵をはじめとする日用品を留めるだけの用途なら山用カラビナはむしろ過剰なスペックである。多くの人にとって必要充分な仕様に割り切って、街と野をつなぎ、役立つ日用品を知恵絞って製品化するナイトアイズ社の製品づくりに現時点では魅せられ始めている。あとは壊れずどれくらい長く使えるかだが、それは日々使い続けていけば自ずと答えを得られるだろう。
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『エスビナー』の使い勝手に感心して、続いて取り寄せたのが『ギアータイ』。大小さまざまなものを結び留める便利グッズである。ギアーという90年代に流行った野暮ったい呼称が懐かしく、親しみを覚えてしまう(笑)。
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3インチのタイプはケーブルを束ねるのに向く。ギュッとしっかり締められて緩めるのも容易。ちょっとダサい形状がギアーらしい。
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ギアータイを入手したくなった最大の理由は、毎日弁当で使う『栗懐中箸入れ』の蓋スライドケースをピタリと締め、閉めたかったから。20年ほど前、松本クラフトフェアで精緻な手仕事と拭き漆を施した栗材の風情に見惚れ、衝動買いしたもの。ケース開閉は籐編みの止め輪でおこなう簡素な仕組みだったが、編みがそのうちバラけてしまった。輪ゴムやヘアバンドを巻き留めて代用してきたが、ギアータイを見つけたとき、ベストな留め具になると直感が働いた。
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というわけで、6インチのギアータイを導入。ケースの細い部分で巻いて結び、太い方へスライドしていくとグッと締まる。いちど結んでしまえば結び目はがっちり固定できるからスライドの単純作業で開閉は滑らかになった。このちょっとした改良で大幅に快適に。ギアー好き男としてはまた、至上の悦びに浸る。
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