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雑味ないコーヒーを淹れる

蔵前のBean to Bar(安心安全なカカオ豆の仕入れからチョコレート製造まで一貫しておこなう)チョコレート専門店「ダンデライオン・チョコレート」広報担当者の紹介で出会ったチョコレート探検家のチョコレートくん。彼から上質なカカオ豆から板チョコをつくる手法を教わったのは4年前。そのHOW TOはトラベルWEBマガジン「たびこふれ」の記事で掲載し、彼との縁でさらに伝授されたスキルが「雑味のないコーヒーの淹れかた」。その記事のポイントをnoteにまとめます。雑味(タバコぽい嫌な苦味、煤っぽい感じ、舌にピリッとくる感じ)がない、まろやかな美味しいコーヒーを淹れる一手法です。講師は本所吾妻橋「ホソミーファクトリー」の白河栢乃(かやの)さん。取材応対はいっさいNG。表舞台に立たない人ですが、モーツァルトのような絶対音感ならぬ「絶対味覚感」の持ち主。職人的経験や勘とかの曖昧なものではない、白河さんの理にかなった科学的手法、思想がストンと腑に落ち、生涯このやり方で格別な一杯を愛でていこうと思いました。

正しく折る

コーヒーを淹れる器具はさまざまにありますが、ここでは円すい型ドリッパー、ハリオ製『V60』とペーパーフィルターを使用します。

まずは、ドリッパーに密着するようペーパーフィルターを折っていくのですが、必ずフィルターは台形のドリッパー用ではなく、円すい型ドリッパー用を選びます。

フィルターには表裏に凸凹が刻まれた部分がありますが、凸(出っ張り)の方を上にして内側に折り込みます。表裏のどちらが凸なのか、わかりにくいときは、色の濃い方を上にして内側に折り込みます。

次に2つの縦線を合わせて折り、先端の三角形も内側に折りこみます。

そして、折ったフィルターをドリッパーにセットすれば準備OKです。

中間焙煎の豆を選ぶ

ここでは酸味と苦味が中間になる標準的な焙煎具合(シティローストのやや手前)の豆を使いますが、豆の香りを嗅がせて選ばせくれる焙煎工房から購入しましょう。白河さんいわく、「焦げ臭が強い豆、香りが涙目になるほど刺さる豆は見た目より中が焼けています。すると鮮度を落とす炭酸ガスの発生率も高まり、ピリピリ刺激する作用も強くなります」。そんな豆で煎れたコーヒーは冷めると雑味が際立ってくるそう。だから、香りを確認して選ぶのが大事なんです。ちなみにぼくは葉山御用邸前の「THE FIVE☆BEANS」で中煎りの豆を買いました。

20gの豆を粗めに挽き、優しく盛る

初心者が一杯分、130~150ccのコーヒーをいちばんおいしく淹れられる豆の量は20gが目安。キッチンスケールで正確に計り、粗めに挽きます。加減は上の写真を参照してください。

挽いた豆をペーパーフィルターに入れたら、ドリッパーを揺らしてふんわりと優しく盛っていきます。きちっと密度を詰めて盛ると、根詰まりを起こしがちで、お湯がドリッパーとフィルターの間に染み出て雑味のもとになります。

湯は90℃に

次は挽いたコーヒー豆にドリップするお湯を用意。お湯が沸騰したポットに移し、温度計で90℃に下がるまで待ちます。浅炒りの豆は92℃以上になると酸が出やすく、深煎りの豆は炭酸ガスが発生しやすくなるので厳密な温度管理が大事です。コーヒーの酸っぱさが苦手な人は約84℃まで下げたお湯を注ぎましょう。

500円硬貨の範囲を蒸らす

そして、いよいよドリップへ進むのですが、ポットの注ぎ口を低い位置にして、約90℃のお湯を粉の真ん中にポトポトと少し垂らしながら1回転半お湯を回し、粉を蒸らします。濡れる範囲は500円硬貨ほどにとどめるのがポイントです。この蒸らしがうまくいけば雑味が入ることは少なくなります。

真ん中に細く優しく注ぐ

そして、立ちあがる香りを嗅ぎ、スッと鼻に当たる香りがやわらいだら(時間にすると30~40秒くらい。粉の下部からお湯が数滴ポタポタと落ちたら)、盛った粉の真ん中に優しく注いでいきます。初心者の場合、ここからはお湯を回す必要はありません。よく喫茶店マスターやコーヒースタンドのバリスタがやってるみたいに回し過ぎると、粉の無いペーパーフィルターの縁にもお湯がかかり(とくに内側に折りこんだ部分にかかると)紙のケミカル成分も落ちて抽出液に混じってしまいます。お湯が粉の上に浮いている間は次のお湯を足さないようにします。そうして抽出されるコーヒー(エキス)が50ccになるまで小刻みに注ぎます。

50ccのコーヒーをお湯で割る

50ccに達したら、ドリッパーを慎重に引き上げます。コーヒーに1滴でも雑味を落としたら味は大きく変わるとか。そして50ccのコーヒーが130ccになるまでお湯で割ってください。
「雑味のないおいしいエキスをクリーンなお湯で割ると、まろやかさが引き立てられます」と白河さん。最後にスプーンで撹拌し、泡が生じるかどうかの確認します。「茶色くてきめ細かい泡はおいしいエキスが出ているサイン。白くて大きめの泡は雑味成分がたっぷり入っているというサインです。白くて大きめの泡は必ず取ってください」。泡を取ると香りが違ってくると白河さんは言います。たった1滴や泡にも注意を払う。コーヒーをおいしく煎れるには、細心の配慮が欠かせないのですね。

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