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物食日記

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美味しいもの、美しいものが好き。 散歩とスナップに夢中。
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2022年2月の記事一覧

春のスナップT

春のスナップT

昼間の気温が急上昇し、一気に春めいた2月最後の日曜日。気分転換に千葉船橋まで湾岸ドライブ。

上着は陽気に合わせてハワイの海を想わせるシーグリーン色のシンチラフリース素材、パタゴニア 『スナップT』を選択。

1993年のモデルで、生地は微妙な色合いが魅力の北米製。愛着して28年が経ち、毛玉だらけで両手首のパイピングはぼろぼろだけど、最低限のリペアを重ねつつ着続け、できれば生涯纏いたいと願っている

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ブレドールのバケット

ブレドールのバケット

職人が厨房に入るのは深夜0時。葉山の食材店でたぶん最も早く仕事を始める「ブレドール」。以前、横須賀で早朝バイトをしていたころは特に真冬の凍てつく道をバイクで職場に向かうさい、室内から漏れ出る灯りにどれだけ心温められたことか。これだけ頑張っているんだから繁盛して当然と感服した。

2022年2月現在は18時閉店。照度を抑えた店内で若い職人が片づけをしている閉店間際、仕事帰りに晩御飯あるいは朝食用の食

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ショージさんの葉山カレンダー

ショージさんの葉山カレンダー

食事を楽しみ心休まる大事な空間にカレンダーを留めている。葉山一色に暮らす写真家、佐藤正治さんの『4月始まり葉山カレンダー』。

自分の席正面、自然と視界に入る位置、チーク材の食器棚に同素材のマグネットバーで留め、毎朝、毎晩眺めて和んでいる。

我が家の裏山、その麓に居を構えて葉山一色を中心に海と山側、空、こみちの景色を日々撮影しているショージさん。道端の植物、光と雲、四季を感じる写真は独特の視点を

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また花巻と味噌ココア

また花巻と味噌ココア

日曜日のおやつはなるべく自分で作る。見た目が市販品に遠く及ばなくても思い入れ半分、出来たての良さ半分。街では買えない美味しさだと信じきっているから。

先日は北京の日常食であるという小麦粉を主食材とする『花巻(ホワジュアン)』をウー・ウェンさんのレシピ本『北京小麦粉料理』に沿いながら2週連続で蒸す。

二度目のトライは何かといい加減な自分らしくラフなかたちに。美しくはないけれど、発酵は前回より上手

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燃える空

燃える空

1年で最も寒い厳冬期の2月。北風や朝晩の冷え込みに耐えながら庭仕事の毎日。今週金曜日からは春の暖かさが到来しそうだから、あと少しの辛抱。

それにしても昨夕の焼け具合は凄かった。葉山の山側にある職場からクロスカブで家に戻る途中、深紅に燃える空とくっきりと浮かぶ富士山のシルエットに見とれた。夜の帳が降り、深藍から漆黒へ色彩が移ろい始めていたから遅いかなと思いつつ、帰宅してすぐにカメラと三脚を持ち出し

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町内パンと盆

町内パンと盆

唯一の休日、日曜日は近所の「ポコパン」に食パンを買いに行くことが増えてきた。朝食に再びパンを選ぶようになった自分の日常には大事な買い物である。

葉山一色にはパン屋が数軒あるが、ここの食パンは質の高さに対しての値段の安さが際立っている。この頃は人気がいっそう加速している気がして、とくに雨降りでない日は朝10時の開店を目指さなければ売り切れの率が高まる。

先日も少し出遅れ、完売だったが、卵を使わず

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朝陽を浴びて

朝陽を浴びて

南向きの丘に立つ葉山一色海岸近くのマイホーム。晴れた日は一日中温かな陽が差しこみ、その眩い光と室内の陰影とのコントラストが真冬はとくに極まる。

靴を履いて飲食する1階の土間空間は朝9時前の数分間だけ強い斜光で照らし出される。ストーブで温まりながら、その光景を眺める穏やかで美しいひとときがたまらなく心地いい。

と、休日のシーンを愛でていたら、うちの猫がすーっとその快楽的なスポットライトのなかに佇

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猫シール

猫シール

先週末の裏山散歩の道中、偶然眼にしてしまった『猫シール』。

全猫飼いが嫉妬した犬飼いが玄関に貼ってる「あのシール」と謳う作者のユーモアに惹かれて購入。売り上げの一部を保護猫活動団体に寄付しているという。ロボットを作る会社員が本業を終えた夜に注文に応えてくれる。その発想力とわずか60数円の発送代に誠実さを感じて、久しぶりに心浮く嬉しい買い物になった。

メキシカンなピンクを彷彿とさせるIKEAの収

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北京の花巻

北京の花巻

100gの小麦粉でさまざまな料理のレシピを紹介するウー・ウェンさんの『北京小麦粉料理』。

その気軽さに誘われて、休日のおやつとして北京の蒸しパン『花巻』をつくる気になった。レシピは面倒と感じさせないことも大事だが、材料が家に揃っていたり、無くても代用が可能だったりすると着手を促してくれる。

たまたまドライイーストや胡麻油などがあったので、縁と思いこみトライした。小麦粉をこねるのは大きな台でなく

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椿を愛で尽くす

椿を愛で尽くす

土の上で花びらが朽ちる椿。その尽き行く姿を愛で耽る上田義彦さんの映像詩『椿の庭』に魅了されてからいっそうとこの花を愛おしく思うようになった

さすがの温暖地、葉山一色でも真冬の野には色彩は常緑の草木を除いて寒色に占められる。褐色に覆われた土の上にある椿の鮮烈な赤と黄色の花はたったひとつでも場を華やかにする。

呆れるほどの美しさだと見惚れ、一輪を拾い持ち帰った。

この花はどんなふうに朽ちていくの

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久々ひょうちゃん

久々ひょうちゃん

久しぶりの土曜休み。みぞれが降った寒い日の翌朝はよく晴れ、近所の「ポコパン」へトースト用パンを買いに行く。家のそばに佳いベーカリーがある幸せを想いながら、山裾のこみちを歩くのが嬉しくてたまらない。晴れの日は開店早々売り切れてしまうこともあるが、この日は無事願いが叶い安堵。高揚した気分を抱えて、そのまま一色海岸に向かった。

波打ち際に立てば、潮まわりの具合や打ち上がる石の種類と数、それらの佇まいか

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花瓶を飾る

花瓶を飾る

和洋の美しい工藝品をコレクションする、松本の飲食店「木曽屋」さんのインスタ投稿を観て花瓶の飾りかたについてふとアイデアが湧いた。ハンギングできるようフランスのローソク立てに組み込まれた針金のパーツ。ガラス瓶の口まわりを留める可動構造にヒントをもらいつつ、より簡素に取り入れてみようと着想した。

使うのは庭に転がっていた針金ハンガー。ほどよく錆び、剥げているのが佳い。

おおらかな造形と佇まいに惹か

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裏山散歩

裏山散歩

家の北方にそびえる三ヶ岡山を久しぶりに歩く。寒い冬の北風をさえぎり、常緑の林が眼と心を温め、美しい陰翳を室内にもたらす存在。ときどき感謝するようにこの低山を旧役場側から登る。

アプローチは麓のこみちに沿って。土曜日に出かけたのは途中の森山神社で朝市をやっているから。

出店者の「THE FIVE BEANS」のめぐるさんが作り売る『椿餅』をたまらく食べたくなったのが散歩の主動機。買いたくなるもの

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葉山一色海岸の陽光

葉山一色海岸の陽光

葉山町のなかでも温暖さが格別な一色海岸エリア。山から海に続くこみちを散歩し、澄んだ空気を透過するきらめき、樹々がもたらす繊細な陰翳を見つめているとここは天国かと思う(笑)。

枝葉にカメラのピントをいったん合わせて、そこからアウトフォーカスしていくにつれ樹々の向こうから差す光が丸い輪郭となってぼんやりと立ち現れてくる。その幻想的な光景は肉眼だけではとらえられないが、カメラと望遠レンズを介してファイ

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