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椿を愛で尽くす

土の上で花びらが朽ちる椿。その尽き行く姿を愛で耽る上田義彦さんの映像詩『椿の庭』に魅了されてからいっそうとこの花を愛おしく思うようになった

さすがの温暖地、葉山一色でも真冬の野には色彩は常緑の草木を除いて寒色に占められる。褐色に覆われた土の上にある椿の鮮烈な赤と黄色の花はたったひとつでも場を華やかにする。

呆れるほどの美しさだと見惚れ、一輪を拾い持ち帰った。

この花はどんなふうに朽ちていくのだろう。その仕舞いまでを灰皿に入れて見届けることにした。

ぼくは喫煙者ではないけれど、20数年前、ただスペイシーな有機フォルムの虜となり入手した物。ドイツ、ウルム造形大学の建設に携わったウォルター・ザイテックというオーストリア人がデザインし、1960年代に西ドイツのヘリート社が製造した『ASHTRAY SINUS 84005』。ずっと書棚で埃を被っていた嗜好品は現在の夢中とサイズがたまたまフィットし、ぴったりと収まった。そうではないかと直観が働いて組み合わせたのかな。

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