電気と所有が「内」と「外」を作り出したのかもしれない。
皆さんの家には「電化製品」と呼ばれるモノがいくつあるだろう?
我が家には数える気にもならない程の電化製品がある。
TV周辺やPC周辺には延長コードに延長コードが刺してある(笑)
そんな我が家とは対照的にこの本の著者である稲垣えみ子さんは「電化製品」が4つしかないそうだ。
(2017年出版当時)
「魂の退社」の続編になる。
と言っても、今回は「会社」の話は殆どなかった。
どちらかと言えば「生きるとは?」「豊かさとは?」という壮大なテーマだった。
自然の恵み
稲垣さんは、原発事故をきっかけに「電気はないもの」として暮らすようになり、徐々に電化製品を手放していったそうだ。
TV位は持たない人も多そうだけど、洗濯機・エアコン・冷蔵庫等まで手放してしまったとの事。
え?生きていけないよね?
誰もがそう思うだろう。
でも、工夫して手を動かして見事に生きていけている。
「電気はないもの」として生活しているので、夜帰宅しても部屋は真っ暗。
でも、しばらくすると目が慣れてきて「見える」ようになると言う。
確かに、寝室も真っ暗にしてもしばらくすれば見えるよね。
すると、月あかりがとても明るく感じられるそうだ。
他にも冷蔵庫を捨ててしまったので、野菜は余ると「干す」そうだ。
この干した野菜は味噌汁に入れると凄い出汁が出て美味しいし、調理時間を短縮できるらしい。
著書の中に「太陽光発電パネルなんて設置しなくても、太陽光の恩恵を受けられる」みたいな事が書いてあって、凄い納得してしまった。
確かに真夏なんて焦げそうな位、太陽光が熱い!!
冷蔵庫を捨てた事…については、ようこさんが面白い記事を書かれていたので是非読んでみて欲しい。
私も真似できないけれど、冷蔵庫に「保管する」という手段ができた事で「いつ食べるか分からないモノ」を大量に買い込むようになってしまったんですよね。
そして捨てるって言う。
今、野菜室に数週間前に夫が買ってきたピーマンが眠っている。
きっとシワシワだ。見たくない(笑)
この本の様に干してしまえば良かった。
思考停止による矛盾
稲垣さんは本の中で色々な矛盾を指摘している。
駅等で階段を使う人は殆どいない(運動不足)
なのに
ダイエット関連の商品が凄く売れる。
エアコンで家の中を冷やす
すると
室外機からの熱で外の空気はどんどん上がる。
冷蔵庫が誕生して食品を手軽に保存できるようになった。
なのに
食品ロス(廃棄)がどんどん増えている。
これって、私達が「今あるもの」で何とかしようという工夫をしなくなった結果なのかもしれない。
所有は豊かさなのか?
本の後半では、銭湯に通う様になったという話が出てきた。
それがとても興味深かった。
銭湯の湯量は家の風呂とは比べ物にならず、真冬でも体の芯まで温まるそうだ。
更に、銭湯では「周りへの配慮」が必要になる。
共用品の扱い方、お湯の行方、コミュニケーション等、社会で生きるスキルが身に付く。
本当にそれ。
家に何故こんなに延長コードがあるのか?と考えたら、子供がそれぞれ「者レンジタッチ」を持っているから。
そしてその「チャレンジタッチ」で「社会性・マナー」みたいな動画?を見てるんですよ。
でも、そんなモノなくても昔は社会性なんて自然と身に付いたんだよね。
高度経済成長期に入り、みんなお風呂を所有するようになった。
地域の人と集まって見ていたTVだって、それぞれの家庭で所有するようになった。
本の中に「電通戦略十訓」というう1970年代に作られた標語が載っていた。
私はゾっとした。
いくら買っても足りなくなる理由がここにある。
20代の頃「去年と同じ水着を着るなんてオバサン」とメディアで表現されているのを聞いて「今年の水着を買わなきゃ!」と思った事が本当にある(←バカ)
「使い捨てカメラ」なんて、まさに「捨てさせろ」だ。
その標語から50年近く経ち。
「断捨離ブーム」と言って、また断捨離本が売れに売れてブックオフに売られて…(笑)
私もモノに飲み込まれて疲れ果てている…。
稲垣さんの生活をマネする事は難しい。
だけど日々の意志決定の1つ1つが思考停止にならないように意識する事が大事なんだ。
それは、モノに限らず働き方も、時間に対しても、お金についても。
「自分にとっての価値」を吟味していきたい。
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