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わからないことへの対応方法でリーダーの器がわかる

こんにちは! 米田 @ マーケティング変革実行中です。

変革の現場に立っていて最近特に気になっていることがあります。それは、新しいことを説明したことに対してのリーダーの第一声です。

「よくわからなかった」という第一声が多い

新しいプランや仕組みについて、よく説明を行う機会があるのですが、説明を受けたリーダーやメンバーの反応を見ていると4つのパターンに分かれます。

1つ目は何も反応がないパターン、これは多数派です。反応がないのでご本人がどう考えているのか何とも言えないのですが、後の3つのいずれかの反応に分類されるものと考えます。

2つ目は「わかったので特に質問はない」というパターンです。これも良いでしょう。こちらから「質問はありませんか」と当てたときにリアクティブに反応がある場合の回答です。

3つ目は「よくわからなかった」と第一声を発するパターンです。相手からプロアクティブに声があがるケースでは、このパターンが一番多いかもしれません。

4つ目は、質問をしてくるパターンです。

以後は、3つ目と4つ目のパターンについて掘り下げてみます。

「よくわからなかった」というリーダーの発声の波及効果

「よくわからなかった」という第一声がある場合の状況を整理してみましょう。

何かの説明を行う際には、説明する側は、聞き手が知らないことを想定してなるべくわかりやすく相手の疑問点に応える説明や資料を作成しようとするものの、説明側が至らない説明をする場合もあります。

発声したリーダーとしては、説明側に改善点をコーチングするという狙いもあるかもしれません。ただし、以下のようなことも同時に考えておく必要があります。

● 言い方によっては説明側の心理的安全性がなくなる。「何かイケないことを言ってしまったのか」と委縮させてしまう可能性がある。
● 内容によっては「そんなこともわからないのか」と、むしろ発声者の株を下げてしまうことにつながる。

ここで誤解のないように補足しておくと、説明を聞いてわからなかったことを表明してはいけないと言っているわけではありません。リーダーはもちろん完璧ではありませんし、むしろ弱みを見せるべきところは見せたほうが良い場合があります。ただ、大事なのは「わからなかった」ことの表明方法とその後の対応です。

私がよく見るのは、聞き手が「わからなかった」と述べた後に特に議論が進展せず話が終わってしまい、話が進まなくなる、堂々巡りになる、振出しに戻る、もしくは袋小路に入るといったケースです。これが繰り返されると、最終的にはメンバーが新しいことにチャレンジしなくなったり、リーダーに新しいことについての話が来なくなったりするという悪影響が出て、変革が進まない組織になってしまいます。

リーダー・管理職は、最初は現場の仕事が他の人よりもよくできるという形で選ばれることが多いでしょうが、複数の部門を見たり、上級管理職になるにつれて、自分の部門で担当しているすべての仕事を隅々まで把握することが難しくなります

また、自分が知らない分野、得意でない分野を担当することも出て来るでしょう。技術や社会の進歩により自分が現場で仕事をしていた時とは状況がだいぶ変わっている場合もあります。加えて、いまの時代は高度経済成長期の時のように決まりきったことだけこなしていれば組織運営ができるわけではなく、不確実性、不明な事柄にも対応していかなければなりません。リーダーがうまく「わからないこと」に対応できないと、それがその組織、そのリーダーの限界になってしまいます

ちなみに、このような言い方をするのは日本人だけではなく、海外の人も「Sorry, I'm confused…」等という言い方をします。

「よくわからないこと」への対応方法は?

それでは、よくわからないことに遭遇したらどうすれば良いのでしょうか?説明を受けたことは、議論を進めていくと最終的に「実施するべき」「実施しないべき」などいくつかの結論に辿り着くと思われます。リーダーとしては、この議論をきちんと進められる環境を作ることが望ましいです。自分がわからないという理由で議論の妨げになったり議論を終わらせてしまってはなりません。つまり自分が議論の障害にならないよう心掛けることが必要です。

たとえば以下のような行動を取ってみましょう。

● わからなかったことだけを強調して言わない。それだけ言って黙らない。
● 自分がわからなくても、声のトーンをネガティブにしない。
● 「わからない」と言う代わりに、自分なりの理解を仮説として作ってみて、それが正しいかどうかを質問する。「私は~というように理解しましたが正しいですか?」など。
● 自分の理解を促進するための質問をいくつかしてみる。
● まわりのメンバーにも発言を促してみる。
● 自分の組織内、または組織外の専門家も交えて、より少人数でフォローアップする会議の設定を提案する。
● 自分の組織内の専門家に相談するように促す。後でそのメンバーから意見を聞いて判断する。

議論はとにかく止めずに、専門家など必要な人を巻き込みながら、必要な議論がきちんと行われるようになることで、情報の風通しも良くなり誰でも何でも発言して良いという土壌を作り出し、新しいことにチャレンジできる組織に変革されていくことでしょう。

私も前職、前々職から新しい分野に挑戦する仕事を多く手掛けてきており、新製品の開発、黎明期のクラウドサービスビジネスの立ち上げ、新規パートナーアライアンスの構築など、周りで誰もやったことがないことに対してどう取り組むのが良いか、色々な失敗もしながら悪戦苦闘してきました。いまも、平均勤続年数が20年を超える富士通の中で、転職してからやっと1年9か月、まだわからないことだらけですがなんとか過ごしています。自分がわからないという理由で議論が止まらないように、これからも気を付けていこうと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!では、また!

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