マガジンのカバー画像

感想文

87
運営しているクリエイター

2018年1月の記事一覧

『破線のマリス』~正義感に基づく悪意~

1997年出版(日本)
著作、野沢尚

 遠藤瑤子は虚偽報道すれすれのニュースで高視聴率を打ち出す敏腕映像編集者。
 ある日、郵政官僚の春名から、ある事故の真実を告発した一本のビデオテープを渡される。瑤子は独断でテープを編集し、あたかも郵政官僚の一人、麻生が犯人であるかのような映像を作った。そして電波で流してしまうが……。

※ネタばれあり

 第43回江戸川乱歩賞を受賞。
 好きな作品です。 

もっとみる

『砂の女』を読んで。

1962年出版(日本)

著作、安部公房

 主人公の「男」は、昆虫採集のために砂丘の中にある部落を訪れる。そこである一軒の家に宿泊することになった。主の女は、今にも砂に埋もれそうな過酷な環境で、必死に家を守って暮らしていた。
 男は部落の住人にはめられ、女とともに崩れそうな家で暮らさなければならなくなった。
 あらゆる方法で脱出を試みるが、ことごとく失敗する。そしてある時、脱出の機会が訪れるが…

もっとみる

『しあわせソウのオコジョさん』を見て

 アニメの感想です。

2001年放送(日本)
監督、山本裕介 原作、宇野亜由美

 しあわせ荘に住む大学生、槌谷揺がひょんなことからオコジョという珍しい野生動物と暮らすことになるギャグアニメ。



※ネタばれあり

 私の大好きなアニメです。一番といってもいいくらいに好きです。
 夕方放送の、子供向け動物アニメとして作られたようですが……中身はそんな生易しいものではありません(笑)。
 ハム

もっとみる

『それいけ! アンパンマン』~自己犠牲とは~

 1988年~放送(日本)

 監督、永丘昭典 原作、やなせたかし

 顔があんパンでできたヒーロー、アンパンマンが、悪いことをするバイキンマンをやっつけたり、困っている人を助ける。

  日本人なら誰もが知っているであろう、国民的アニメ。
 子どものころから大好きだったが、大人の観点から作品への思うことを述べたい。
 主題歌の「なんのために生まれて なにをして生きるのか」という、歌詞には、どこと

もっとみる
島田つきが『愛と幻想のファシズム』について熱く語る日記(蛇足編)

島田つきが『愛と幻想のファシズム』について熱く語る日記(蛇足編)

1987年出版(日本)
著作、村上龍

(筆者が勝手に描いたイメージ画)

 ※ネタバレあり

 はい、第三回目!(第一回目、第二回目)
「蛇足」というのはこの感想についてです。一段落ついていても書きたくなったら書く、そして公開したいときはする、それが筆者のジャスティス。
 今回はトウジの人間性について、ゼロとの関係について、エヴァンゲリオンとの関連についてとかそのあたりを補足していきます。ゼロの

もっとみる
島田つきが『愛と幻想のファシズム』のゼロについて熱く語る日記

島田つきが『愛と幻想のファシズム』のゼロについて熱く語る日記

 小説の感想です。

 1987年出版(日本)
 著作、村上龍

 ※ネタバレあり

※イメージ画(小説に挿絵はなく完全なる筆者のイメージです)

~~この文章は、数年前に別のブログに書いたものに新たに加筆修正したものです。~~

 以前に載せた『愛と幻想のファシズム』は、読み終わってすぐ書いた感想です。
 そして今回の感想は、その後数年(2013年くらい)してから書いたものに加筆修正したものです

もっとみる