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エレクトーン・ピアノ 遍歴

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私のエレクトーン・ピアノ遍歴です。
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0.プロローグ

0.プロローグ

あさりのクリームスープを作っていて
牛乳をきらしていることに気づく。
火をとめて、買いに行く。

お店では、いろいろな品物が目に入る。
そういえば、パンもなかった。
卵も買っておこう。
あ、おいしそうなお菓子!

………あれ、何を買いに来たんだっけ。

***

ある日、スマホに通知が飛び込んできた。
noteのピアノの練習日記。

みんな、何を考えながら
どういう練習をしているんだろう?

いろ

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1.大きな茶色いキーボード

1.大きな茶色いキーボード

幼稚園に通っていたころだったか
もう小学生だったか
クリスマス・プレゼントに
小さな白いキーボードをもらった。

ブランコの
おしりをのせる板くらいの大きさだ。
2オクターブほどだっただろうか。
当然、鍵盤は小さい。

キーボードには
VOLUME・RHYTHM…と英語で書かれていて
子どものおもちゃという感じではなかった。CASIOだったんじゃないかなと思う。

PIANO・FLUTE・TRUM

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2.最初のレッスン

2.最初のレッスン

もっと小さいころから習うもの
というイメージを持っていた私は
レッスンに行きたい
と言い出すタイミングを見失ったまま
中学は吹奏楽部で忙しく過ごし
高校は反動で帰宅部だった。

***

ある日、ちらしを見つけた。
二つ折りの新聞より一回り小さい
うすい黄色の紙に、黒一色で印刷されている。

エレクトーン・ピアノ教室
おばあちゃまもどうぞ

今でこそ、大人のレッスンは珍しくないが
当時は珍しかった

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3.先生の方針

3.先生の方針

先生の方針は、明確だ。

楽しく続けるのが、1番。

私は20年くらい習っているけれど
もっと長い人が何人もいる。

小さい頃から通っている人が
大きくなって子どもができて
子どもも一緒に通わせる
そんな、お教室だ。

ただ、あんまり上手になってしまうと
「わたしじゃもうみれないから
お友達の先生紹介しようか?」
という話になる。

プロになるわけじゃないし、ここがいい
と残る人が多いと聞く。

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4.Grade

4.Grade

高校生になってから
エレクトーンのレッスンを受け始めたが
大学に通うため実家を離れ
続けられなくなった。

大学では また
吹奏楽部で忙しくしていた。

就職して 実家に戻った。

***

ある日 たまたま
お教室の近くを通ったら
先生がレッスンをしている気配がある。

迷わず
ドアをノックした。

先生は
驚いてはいたけれど
戸惑ってはいなかった。

ほかの生徒さんのレッスン中だったので
連絡

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5.練習せずにレッスンへ

5.練習せずにレッスンへ

高校生になって始めた
エレクトーンのレッスンは
大学に通うために 一時中断したが
就職して 実家に戻ったのを機に再開し
結婚しても 続けていた。

***

出産の前後は レッスンを休んだが
先に レッスンに復帰し
その後 仕事に復帰した。

だんなさんも協力的だし 実家も近かった。

でも 仕事を終えて家に着いてから
体感 秒単位で家事と育児をこなしていく。

洗濯機をまわし
子どもを寝かしつけ

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6.先生とのおしゃべり

6.先生とのおしゃべり

レッスンは おしゃべりから始まる。

家族のこと。
仕事のこと。
健康のこと。
昔のこと。
最近のニュース。
前のレッスンから今日までにあった
いろいろなこと。

個人レッスンだし 音も漏れない。
共通の知り合いも いない。
つまり ここでの話は
これ以上 どこにもいかない
という保証があるのだ。

***

ある日
お教室のドアを開けると
私は 荷物も置かずに言った。
「先生聞いて」

PTAの

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7.十数年ぶりの発表会

7.十数年ぶりの発表会

高校生のときから習い始めた エレクトーンは
中断したこともあったが
結婚して子どもができても 続けていた。

***

子どもの結婚式で
子どもと アンサンブルするつもりでいたのに
子どものエレクトーンは 続かなかった。

それでも
発表会で アンサンブルした。
舞台上を 手をつないで歩き
いっしょに おじぎする。

子どもが レッスンをやめたあとには
私とSTAGEAが 残された。

私は 子ど

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8.ストリートピアノとnote

8.ストリートピアノとnote

十数年ぶりに出た発表会は
ぼろぼろだった。

うまく弾けなかったら どうしよう
という 恐怖による緊張が
こんなにも体を硬く 動かなくさせるのだ
ということを 私は初めて知った。

次の発表会には
レジストが AUTOではない曲を選んだ。

先生は 何も言わなかった。

ストリートピアノが 弾きたくて
同じ先生に ピアノも習い始めた。

ストリートエレクトーンが
いつも 近くにあればいいのだが

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9.ピアノがならない

9.ピアノがならない

エレクトーンを 習っていた私は
ピアノも弾きたいと 先生に申し出た。

先生は
「またそういうこという!」と言ったけれど
ダメとは 言わなかった。

エレクトーンの子は
ピアノが弾きたくなって
ピアノの子は
エレクトーンが 弾きたくなるのだ。

おしゃべりの後
エレクトーンで1曲
ピアノで ハノンともう1曲になった。

ピアノで 弾きたい曲を
1曲もっていった。

エレクトーンでも 弾いたことがあ

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10.好きに弾きな

10.好きに弾きな

エレクトーンに加え
ピアノも習い始めた 私が
レッスンで 最初に言われたのは
音が汚い だった。

次に 言われたのは 
左手の伴奏を 右手の旋律よりも小さく
と いうことだった。

右と左の バランスなんて
考えたことも なかった。

私は レジストを買って
エレクトーンを 弾く。
売っている レジストは
すでに バランスが調整されている。

左を 小さくしようとしたけれど
できなかった。

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11.今の私のp《ピアノ》

11.今の私のp《ピアノ》

エレクトーンに加え
ピアノも習い始めた 私は
pで弾くのが 苦手だ。

先生からは
「今は気にせず 好きに弾きな」
と 言われている。

レッスンで 曲を頭から弾いたら
先生に すぐにとめられた。
「最初はもっと小さくって 言ったよね」

途中で とめられるなんて
何年ぶりだろう。

先生は
私が弾きたいところから 弾きたいところまで
何回でも 弾かせてくれる

私の前後には
他の人のレッスンは 

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12.いつか野良猫になるときに

12.いつか野良猫になるときに

私は エレクトーンとピアノを習っている。

先生は
かわいがっていた猫が 亡くなったとき
「もう 猫は飼わない」
と 言った。
「最期までみれるか 分からないから」

先生は 私の母親くらいの歳だ。

また あるとき
「もう 小さい子のレッスンは
新しく 受け付けない」
と 宣言した。
「最後までみれるか 分からないから」

私たちって 猫みたいだ。

そうは 言っても
受け持つことにした子も い

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