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なぜ今ジョブ型なのか?その理由とは。

いま日本で少しずつ話題になってきた「ジョブ型」について、シリーズでまとめていこうと考えています。ジョブ型そのものが何かについては、すでに多くの書籍やネットで検索すれば、色々と出てきますので、大まかに理解する事はできると思います。それらの多くは、一般読者向けであり、どれも似たような内容になっています。

私が今後やりたいと考えているのは、専門家として、その2以降で、もっと掘り下げた情報を書いていきたいと思っています。さらに、そこに到達するための移行マニュアルを完成させたいと考えています。

日本語で手に入る、一番実践的で、詳しい移行プランも乗った手引書にしたいと考えています。役割別の給与はどう決めるのかとか、各役割の序列はどう決めていけばいいのかとか。ジョブディスクリプションはどう用意すればよいのかとか。

私はそもそも、米国という、社会全体でジョブ型が当たり前の環境の中で、10年以上実務をこなし、マネジメントもやってきました。また日本での勤務経験もあり、両方詳しく理解しているつもりです。

まずは、ジョブ型とメンバーシップ型の違いという基本から入ります。前述のとおり、この点については様々なメディアで既に取り上げられていますので、私の独自の視点からの内容になるよう心掛けていきたいと思います。

では前置きはここまでにして、早速本題に入りたいと思います。

ジョブ型とは何か?

ジョブ型って変な日本語だと思うのですが、英語風に言うと、ポジションベースで人を採用し、報酬を決定していく仕組みの事です。ポジションベースというのは、それぞれのポジションに定められた役割というものがあり、その役割を遂行するために必要なスキルや経験を明確化した上で、人材を募集します。そして、その役割が遂行できる人材を採用して配置していく事になります。日本でも、欧米系の外資系企業の日本オフィスなどは、すでにジョブ型を採用しているところも多いです。

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1.会社としての経営目標がある。ミッションがある。ゴールがある。

2.それらを実現するために最適な組織体制を作る。

3.それぞれの組織で必要なジョブ(ポジション)を定義する。

4.人をそれぞれのジョブにアサイン/採用していく。

5.給与はそれぞれのポジションの職責とレベルに応じて決定していく。

考えてみればこれは大変ロジカルなプロセスです。これ以外にどうやって組織を決定していくのだろうかと思うほどです。

ところが、日本企業がこれまで取ってきたアプローチは、上記とは異なり、「メンバーシップ型」と呼ばれます。

メンバーシップ型のモデルでは、上記のように、組織図が先にできて、ポジションが明確化されて、そこに人を採用していく、のではなく、まず人がありきで、仕事を会社が割り振っていく、という順番です。この違いについては、以前の記事でも述べました。「就職」というよりも、「就社」というモデルなので、会社のメンバーとして一生ケアしてあげるけど、その代わり会社のためにはどんな仕事であってもやってもらいます、というものです。つまり、会社にコミットせよというモデルですね。

私が20年以上前に東京で就職活動をしていた際、日本企業はガサっと新卒大量一括採用をしているのに対し、外資系の採用は新卒採用についてはあまりニーズが高くなく「その部署(職種)のポジションは埋まっているから」と言われて、どうしてこうアプローチが違うのだろうと疑問に思ったものです。

そして、日本企業は大量一括で新卒を採用して、会社が各社員の配属を決めるという感じでした。採用した後は、一生同じ会社で勤め上げる事を前提とし、営業から経理、経理から人事みたいなローテーションを経て、特定の専門分野というよりも、その会社の事を全体的によくわかっているジェネラリスト的な育成をしていきます。

このモデルは、「全体を見たがる日本人」というカルチャーともよく合います。(参考文献:エリン・メイヤー著「異文化理解力による。名著です。)日本人は、仕事をアサインされるときに、全体の背景とか、なぜそういう仕事を今しないといけないのかを理解したがります。今頼まれている仕事が、ジグソーパズルのどの部分なのかを理解したうえで仕事をしたがります。ところが、トップダウンの傾向がつよい米国では、あまりとうとうと背景説明を続けていると、「で、結局私に何をしてほしいの?」という顔をされることもあります。米国では、背景説明や理由を説明する事はもちろん大事ですが、先にどういう何をいつまでにしないといけないかというポイントを明確に押さえた上で、理由や背景を完結に振れるようにしないといけません。ここで言いたいのは、日本では、ハイポテンシャル人材も、ローパフォーマー人材も、とにかく全体の視野を広げられるという事を社員育成上の超重要ポイントと(無意識に)してしまっている事です。でも、それって本当に効率的なアプローチなのでしょうか?なんで視野を(必要以上に、かつ全社員)広げることにそこまでこだわるの?については、改めて考えてみてもよいかもしれません。

話しがそれました。ジョブ型に話を戻します。

上記の、3で必要なジョブを定義する時に、ジョブディスクリプションと呼ばれるものを使います。誤解してはいけないのは、社員の数だけジョブディスクリプションが必要になるわけではないという事です。職種の数だけで十分ですし、それぞれのジョブディスクリプションも包括的に全部書く必要もありません。ここに書かれていないからと言って、それ以上の事をアサインできないという事もありません。ジョブディスクリプションの作成の仕方については、別途「その2」以降で詳しく書いていきます。

日本の現状(ニセの「ジョブ型」とは?)

日本は、伝統的な日本企業はほぼ、「メンバーシップ型」となっていますが、欧米系の外資系企業が新たに日本進出して、ゼロから仕組みを作った場合は、ジョブ型の場合が多いです。このため、欧米のHRモデルを前提としたクラウド人事システム(Workdayなど)が、外資系企業ではすぐに導入できるのに対して、伝統的な日本企業では簡単に導入できません。

たまに見られるのが、「ニセモノのジョブ型」制度です。例えば、新卒採用などで、学生が興味のあるポジションや仕事を選んで応募する事ができます。ですが、入ってみると、結局その後のキャリアや給与の決まり方は年功序列だったりします。つまり、扉は違うけど、なかで全部部屋がつながっている状態ですね。こうなれば、もう入りやすい扉から入ったほうが得なわけです。要するにこれはもうマーケティング手法の一つです。

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また、「うちの会社では社員の異動は同意を取っているし、経理で入社したら基本経理だし、すでにジョブ型ですよ」と思い込んでいるケース。確かにジョブグレードなども役割の大きさと緩やかに結びついていたり、ある一定のグレードを超えると、年齢とともにグレードや給与があがることもない。中途採用も、他社よりは積極的に実施して専門家を採用しているつもり。でも職種ごとのストラクチャ―もなければ、それごとの給与を設定しているわけでもない。職種を超えた異動を含む幅広いジョブローテーションも可能。ある一定の年齢になった時の役職定年なども制度として残っていたりします。これはジョブ型なのか?私に言わせれば、これはジョブ型の要素を若干だけ加えたメンバーシップ型であり、本来のジョブ型とは全然違います。

あとは、ハイブリッド型。基本的に大多数の社員はメンバーシップ型なのですが、「専門職雇用」という別の雇用形態(社員タイプ)を作り、専門性の高い人材を採用、処遇していくというものです。最近では、新卒でもAI人材だけは初任給を高く設定するというような動きもでてきていますが、そういうものもこれの一環の可能性があります。この制度の問題点は、全体の社員数に比して、専門職タイプの社員が少数で、セカンドシチズン扱いされてしまう事です。将来を担う幹部社員としてのキャリアの議論対象外となります。これでは、全然意味がないですね。

メンバーシップ型のメリット・デメリット

メンバーシップ型でいいところがあるとすると、会社にとっては人材をフレキシブルに配置できるため、会社の意図でコントロールしやすいという点があると思います(勿論、会社が社員を管理・コントロールする、という発想そのものが時代遅れになってきているのは言うまでもありません)。社員の目線から考えると、その会社のジェネラルマネジャーや経営者になっていく人にとっては、数々のローテーションを経て広い視野を身に着けていく事ができるモデルと言えるでしょう。「その会社の」と書いたのは、やはり一社で勤め上げる前提なので、他社も含めた業界の経験という意味では、未だに課題はあるでしょう。また、これは全員が通るキャリアパスである必要があるかと言われれば、疑問です。こういう環境では、在社年数が長い、生え抜き社員が幅を利かせており、全体としてはまだまだ数の少ない中途採用組が入り込みにくいカルチャーとなっていきます。

私は、一度会社に頼み込んで、人事を飛び出し、別の部署で3年半ほど修行をしたことがあります(別記事:「なんで人事なのか」ご参照)。でもグレードも給与も横スライドで、下がることはありませんでした。ジョブ型では、やはりエントリーレベルのポジションからスタートとなり、それに給与が紐づくため、理論的には給与を下げるという調整が必要になります。私は当時、「せっかく日本で働いているんだったら、この給与が下がらないで別の経験を積める仕組みを利用しないと勿体ない」と考えました。

メンバーシップ型のデメリットとしては、それぞれの社員の役割は緩やかに決まっているだけなので、となりのチームで人手が足りなかったり、何かのイベントでヘルプをお願いされたり、「仕事を各人の強みや興味などに基づいて割り振る」という性質上、兼務が増えていきます。英語ができるからという理由だけで、自分が専門外の分野のよくわからないグローバルプロジェクトを手伝って欲しいとか言われます。こうして、できる人ほど仕事が集まっていく傾向があります。そして、当然残業が増える。また、専門家が専門分野を効率よくさばいていくのとは違うので、さらに残業が増える(「日本で長労働時間がなかなか是正されない理由」にも詳しく延べました)。こうして仕事が集まって超多忙になってしまった薄給の若手社員が、大した貢献をしていない(ように見える)のに給与が自分よりも高いであろうベテラン年配社員に対して疑問と不満を抱くようになっていきます。年功序列のメンバーシップ型では、年齢と給与水準には強い正の相関関係があるからです。

組織図を先に書いてそこに専門性を持った人材を当てはめるジョブ型とは異なり、人が先にあって、そこに仕事を割り当てていくメンバーシップ型では、さまざまな非効率が生じます。日本の労働基準法において、人を解雇する事が実質上ほぼ不可能といっていい状況では、余剰人材が必ず生じます。その余剰人材を遊ばせておくよりも、何かやらせておかないと勿体ないという事で、やはり何らかの仕事が割り当てられて行きます。そして逆に仕事が作られてしまうような状況が生じてしまいます。私が新社会人として日本の会社に入った時に、かなり年配の経理部の方が、各フロア・各部署のコピー機で使用されたコピー用紙の枚数を毎週記録して、グラフを作るような仕事をしている人がいました。その方が私のところにやってきて、「すみません、おたくの部署のコピー用紙使用枚数が今月激増しているようなのですが、なぜなのか部署内で調べて教えてもらえますか」と聞かれました。知らんがな!こっちゃ忙しいねん!と不愉快な気分になったのを覚えています。

面白いのが、欧米では社員が信頼できるかどうかを評価する時に、専門性の高さやリーダーシップなどの観点が中心になるのに対して、日本では専門性の高さというよりも、全体としての人間性とか人間力といった、きわめて主観的かつ漠とした評価基準が、公の人事の会議の場なので平然と使用される点です。人間性・人間力というのは、広義であり、恐らく、とてもいい人で誠実で、包容力もある人、と考える人もいますし、リーダーシップがある人と考える人もいますし、ブレない信念と強さがある人、と考える人もいるでしょう(もしくはそのすべて)。いずれにせよ定義が人によりブレるので、話すときは共通認識を持った方がよさそうです。欧米でも勿論話に出ないわけではありません。特にシニアマネジメント層や、分かり易い例でいくと、大統領などについて聞く事はありますが、日本ほどの頻度と文脈では使われないかなという印象です。メンバーシップ型では、その会社というファミリーの一員としての、人間性含む全人格が問われるのですね。専門性というよりも相対的に。

また、この仕組みでは、それなりの年齢が上がっていくと、それなりの役職になっていないと、人としてダメと見なされるカルチャーができてしまいます。「あの人、45歳なのに、まだ係長?」というようなものです。これは古い価値観に基づく「勝ちパターン」と比べて、遅いとか早いとか言っているわけで、個人的には大変時代遅れと思います。

対して、ジョブ型では、年齢などは関係なく、期待された役割をきちんとこなせる、そしてその役割に応じた給与になっているので、年齢は関係ないという世界です。人によっては意図的にそのような働き方を選択し、私生活とのバランスを取る場合も考えられます。会社でそこまで「偉く」なくても、趣味の世界がすごいとか、YouTuberとして結構稼いでるかもしれません。

メンバーシップ型の他のデメリットとしては、当然と言えば当然ですが、専門家が育たないのです。現在は、戦後の高度成長期と異なり、情報や知識がオープンになっている水平分業モデルが前提です。また、各専門分野もどんどん高度になってきており、素人がハンドルできるようなレベルではなくなってきています。そして、グローバルレベルで専門家が集めてチームを組むことができるような、現代のグローバルな知識社会においては、特定の分野に秀でた、深く尖った専門性を持つ人が勝っていきます

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ジョブ型のメリット・デメリット

メンバーシップ型の裏返しのような感じになります。

まずは良い点から述べていきます。ジョブ型とは、組織体制を先に明確にして、必要なポジションを特定していくので、理論的には無駄な仕事が作られにくい仕組みです。

働き方改革の助けにもなるでしょう。メンバーシップ型では、頑張る姿勢を見せ、自分の仕事が終わっても、何か手伝えることがあれば手伝う、そういう姿勢が重用されましたが、ジョブ型では自らの役割でやるべきことをきちんとこなしていればよいので、そういうことも起きません。また、専門家育成に繋がるため、仕事が早く終わる。これも別の記事で紹介したとおりです。もちろんプロジェクトが大詰めの時は夜中まで仕事をせねばならない時もあるでしょう。あくまでも相対的な話をしています。

さらに、人手が足りない時など、応援をあちらこちらから借りたりするメンバーシップ型とは異なり、ベースラインとしてそもそも必要な仕事を最初に定義していますから、本当に追加で必要な役割が出てきた場合は採用しよう、となります。よってやはり長労働時間になりにくいと言えます。これは一見、企業側から見たときに追加コストになるではないか、と思われるかもしれませんが、もともと理論的には無駄のないように組織を設計できているという前提なので、そもそも大前提としてコストは抑えられるはずなのです。そして繰り返し述べているとおり残業代も少なくなります。

ジョブ型は、ダイバーシティの助けにもなります。属人的な要素を廃し、役割とレベルに応じて給与やボーナス評価が決定されるため、純粋に仕事の成果に着目すればよくなります。性別や国籍、LGBTQなどは全く関係ありませんので、ダイバーシティの助けになるというわけですね。(ダイバーシティについてはこちらの記事で詳しく延べました。)

面白い事に、ジョブ型においては、一社しか経験がなく、在社年数が長すぎると、幅を利かせられるどころか、市場で価値がない人材なのではないかと思われてしまいます。知識経験が限られていて、最新のマーケットを知らず、新しい変革への抵抗勢力とまで見なされることすらあります。

ジョブ型では自分でキャリアをコントロールしやすくなります。配属や異動先を勝手に会社に決められる世界と、自分でやりたい専門を選んで研鑽を積むのと、どちらがよいですか?

社員の市場価値が高まります。社員にとっては朗報であるとともに、会社にとっては、欧米系の外資系企業から引き抜かれるリスクにもなりえます。その分、市場価値に基づいて正しく処遇する事は大切になってきます。

ジョブ型のデメリットですが、まだまだ日本では専門家自体が少なく、労働市場が硬直化しているために、組織図を書いてポジションを作っても、それができるスキルをもった専門家を社外から採用するのは容易ではないという点がまず挙げられます。少しずつジョブ型に切り替えていく会社が増え、専門家育成が進んできて、労働市場でそのような人材が増えてくれば、社外からの専門家採用も進むのでしょうが、それまでは、ポテンシャルも見ながら採用後育成することを前提に採用を進めていくのが現実的だと言えます。

また、専門家としてのキャリアは転職しないと社員が飽きてしまいます。シリコンバレーでは、平均在社年数が3年程度であり、転職する機会が非常に多いため、社員は自分の専門分野を軸にどんどんと会社を変え、産業を変え、その度に専門分野に対するスキルと経験を研ぎ澄ませていく事ができます。よって、飽きる事はないのですが、日本で1社またはせいぜい2社などで同じ専門分野での仕事をやっていると、エキサイティングなプロジェクトでもやり続けない限りは飽きてくる可能性があります。大きな会社でいくつもビジネスユニットがあるような環境であれば、専門分野を軸に会社を変えていく事ができますので、ある程度マンネリ化は防げるとは思うのですが。

ジュニアレベルの時はまだいいものの、ある程度キャリアを積んでから方針変更しようと思っても難しいという点もデメリットと言えるでしょう。

最後に、これまで在社年数が長いというだけで、特に専門性が高くないのにそれなりの給与水準になってしまっている社員の方々は、新しく定義された役割をアサインされたときに、給与が下がってしまうかもしれません。マネジメントがきちんとできる方は、ジェネラルマネジャーとして今の高い役職にとどまることはできるかもしれません。とにかく、有名企業に勤めているだけでは価値がなくなるのです。そうではなく、何ができるのか、が重要な世界になります

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ジョブ型に対しての私の考え方

私は、ジョブ型への移行は、避けて通れない道であり、いずれ、時間がかかってもこの方向に進まざるを得ない大きな流れなのだと考えています。メンバーシップ型は、一人の人が、定年まで同じ会社で勤め上げる事が前提となっています。戦後の高度成長期のような状況で、景気がどんどん拡大し、会社の業績も伸び、社員の仕事も幾らでもやることがあって、年齢に応じて給与もあがっていく、というサイクルがうまく働いているような状況と、今日の状況は完全に異なります。また当時は、ビジネスのサイクルも長く、インターネットもなく、市場も今ほどOpenでなかったために、時間をかけて投資した自社内製型/垂直統合型のモデルで日本企業は各製品の差異化を図ることができました。つまり内部に人を抱える事で情報を閉じ込める事は、垂直統合モデルとも非常に相性が良かったのです。

しかし現代はビジネスのグローバル化が進み、ネットによる情報や人の交流も容易となって、自社の強みでない部分は内部に抱えるのではなく、水平分業してパートナーを組みながら、すさまじい速度でビジネスを回していく必要があります。

国内外の多様な人材と協業しながら、クオリティの高い成果を出していく必要があるときに、自社しか知らない、しかも特に何に専門性があるわけでもないジェネラリスト集団(=つまり素人集団)が、気合(大和魂)だけで頑張って乗り切れる時代ではありません。外部からの専門家をうまく採用できる仕組みを整え、かつそのような人材をうまく活躍できるようなカルチャーにしていかないことには、未来はありません。終身雇用を前提とし、在社年数が長い生え抜き社員が幅を利かせているようなカルチャーでは限界がきます。

価値観が多様化する中で働き方やキャリアに関する考え方もさまざまであり、一社に新卒から入って定年まで勤めあげるというワンパターンなキャリアモデルを前提としたメンバーシップ型に限界があるのは当然です。メンバーシップ型はその名のとおり閉鎖的なのです。国を挙げて高度外国籍人材をもっと呼び寄せようと思っても、そもそも日本の会社がメンバーシップ型で閉鎖的であり、専門家としてさらに日本の会社で磨けるわけではない、おまけに給与も激安という中で、呼び寄せる事ができるのは日本より安い東南アジアの人材だけです。

過去何十年もの蓄積がある中で、日本企業が足踏みをしている一方で、ふと気づけばGoogleジャパンやAmazonジャパンなど、外資系の企業が日本にきて、ゼロから軽々とジョブ型モデルを前提に組織体制を作り、「専門家」かつ「バイリンガル」の人材を高い給与を提示してどんどん引き抜いています。

日本企業でマネジメントをされているそこのあなた、このまま指をくわえて何もしないでよいのでしょうか?

未来の日本

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ジョブ型が少しずつ日本でも一般化してきたら、どんな風になるのでしょうか。まず、労働市場において、各専門家「マーケット」ができていきます。そしてそれぞれの値段というものが分かってきます。今日現在では、日本の各ポジションのマーケットデータを取ろうと思っても、十分なサンプル数が取れなかったり、まったくデータが手に入らなかったりします。

フレームワークとしてジョブ型はそもそも欧米型のものです。そこに近づくということは、そのグローバル人材マーケットに参加するという事を意味します。現在、欧米の水準からすると見劣りする日本の給与では、日本に一流の専門家を呼び寄せるのは難しく、逆に欧米系の企業に人材が採られていってしまうかもしれません。

人生100年時代と言われる現在において、専門性を磨き、年齢に関係なく会社との対等な関係を保ちながら機会があれば仕事をしていくという方向性は、個人的にはよい方向性だとかんがえています。

今日は1万字程度の長いエントリーとなりましたが、いかがでしたでしょうか。冒頭で宣言したとおり、その2以降も続けていきたいと思いますので引き続き宜しくお願い致します。



最後までお読み頂きまして有難うございました。引き続き現地からの最新情報や、違う角度からの情報を多く発信していきたいと思いますので、サポート頂けると嬉しいです!