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【蒸留日記vol.47】ラバンジン ボゴングを蒸留してみる!

えー蒸留日からかーなり期日開きましたが、記憶が薄れないうちにアップしてしまいたいと思います。
ラベンダー栽培2年目で試験的に植えていた"巨大ラベンダー"ことラバンジン ボゴング(L. x intermedia 'Bogong')の蒸留レポート回でっす!

これを飲みながら書いてまっす

ちなみに酒のみながら書いてまっす。
本日の執筆のお供は北海道積丹Ginこと火の帆シリーズのWento
蒸留所で扱っている多彩なボタニカル全てを突っ込んだ素材寄せ集め的ジンで、アロマの集合体である濃厚なまろやかさがありますが、それが秀でた特徴か、くらい。
全体的な仕上がりはまぁ積丹ジンのそれです。紅櫻さんのような丸く角の取れた味わいとはまた違っています。

●導入の動機

ラベンダー栽培2年目でラベンダーの苗木・品種を食い入るように見漁っていた頃、ラベンダー界の中で最も大きくなる品種!という説明で紹介されているラバンジン ボゴングをみつけました。
栽培2年目のおいらは毛が生えた程度のラベンダー知識しかなかったので、

巨大である=お花の生産量も最多になるんじゃ⁉︎

という安直な発想に至っていました。(世界最多栽培のグロッソの理由とか知らんかった)
という些細な興味から、苗木2株を取り寄せ、試験栽培がはじまりました。
当園のラバンジン ボゴング人生のはじまりはじまり〜〜〜

で、定植から3年目の今年、ついに蒸留・オイル採りの運びとなりました!
ついに蒸留器が導入できたので、やらない手はないという事で!


■ラバンジン ボゴングのざっくりとしたプロフィール!

蕾はコロコロとしていてラバンジンの中では毛深いタイプ

園芸品種なのか偶然見出された特にデッカいラベンダーだったのか、詳しい生態解説を読んだことがないおいらです。
なので今付け焼き刃でめっちゃ調べました。

やっぱりマシな説明がでてきませんでした。

左側の株が比較的マトモに大きく育っているラバンジン ボゴング

ルーツなどの解説はおいといて、現にぱっと見でわかることを述べていくと、ボゴングはわりと淡い系の色の花を咲かせます。
明らかに紫色の範疇ではありますが、水色〜などと例えられるぐらい淡い花です。

で、うちにいる2株のうち1株が2シーズン前の豪雪によりダメージを受けました。なので長すぎる低温期・湿潤期には案外弱いのかもしれません。

小さい花穂の近撮

色も淡いし、美しい香りもしないしで品種としの価値が下がってしまったんでしょうかね?
あまり多く育てられているのを見たことがないおいらです。

■収穫のようす。

ざっと2株の収穫量はこんな感じでした!
前回記事の謎ラバンジン よりは花茎の長さが小ぶりな感じ。あれあれれ”巨大ラベンダー”の異名はいずこへ。。。

たった2株栽培の結果を述べてるだけなので信頼性こそ足りませぬが、ちゃんと窒素栄養のある土壌で育てないと本来の成長サイズを発揮できないのかもしれません。(n=2じゃわからないよね〜)

色が落ち気味なので収穫期がやや遅かった?
やっぱり淡い部類だよねラバンジン ボゴング

ポプリについている花がしぼんだものが多いようなので、どうやら開花期は後半へ移っていたもよう。
ラバンジン ボゴングは開花シーズンは早めの方なのかもしれません。

ラバンジンは一斉に花穂から花を出すことはなく、開花準備が整った蕾順に花を出していく生態があります。
なので一斉開花しあっという間に開花期が終わっていまうコモンラベンダーよりは精油の質が担保される仕組みがあります。
一気に劣化しないという意味ですネ!

■いざ蒸留開始!

葉っぱや茎部分を含めた、2株分の全体収穫重量は349グラムでした!

しかしここでエフゲニーマエダ氏、何を思ったか花だけからオイルを採りたいと思いつきまして、、、

で・・・

Flowering top weight 84g

茎と花穂に切り分け、花穂の重量は84グラムに。
今回はこれを蒸留し、オイルを採ります!

少なからずわずかにでもオイルは採れるハズです!

ちなみに素材全体に占めるお花部分は24%となりました。
なので2~3割が収穫物に対するラベンダー花穂の重量比率のようです。

ちょこっとした重量計算メモ!

あまりに素材量が少なかったので洗濯ネットに閉じこめて大事に蒸留してやりました。
大きめのザルとか買えばいいんですが、まだ買えておらず。。。
底板の隙間から落っこちると勿体無いので、現状ある洗濯ネットを活用します。
蒸留が終わった後もそのまま吊って乾かせるのでわりと便利です。

■果たして蒸留結果は…!?

透明な精油が採れました
抽出量は1.3mLほど

ラバンジン蒸留としてみるとかなり少なめですが、2株の花部分のみから1.3mLも採れました。
色はついてないみたいですね。

そして、驚いたのがその香り!
普通蒸留したてのラベンダー精油は蒸留臭という焼けコゲたような香りがつくのですが、ボゴング精油はそれすらを凌駕するほどの樟脳臭!
まさに薬品です、薬品かよこれはってほど樟脳臭が当たり前に香ってきます。

樟脳が生成される葉っぱを含めず、花部分のみから精油を得たので、このアロマがボゴングの持つ本来の香りといったところ。そうなりますよね?


■香りなど、総論!!

1.収油率など

抽出量[ 1.3mL ]÷ 素材重量(花のみ)[ 84g ]x 100 = 1.547%

ラバンジン ボゴングの収油率は1.547%であった

収穫時期がやや遅れ気味の蒸留だったのですが、それでも1%超えの高い収油率となりました。さすがラバンジン!!

もういくつか株数があれば、葉っぱ茎を含めた全体からの収油率なんかも調べたかったのですが、それは来年の楽しみということになりそうですね。

2.アロマ・香りの特徴など

明らかにラバンジンオイルの中では樟脳臭が異様に強いオイルとなりました。

やっぱり、ラベンダーは蕾のモサモサ具合によってLinalool量が増減したりするのかなー?という疑問をさらに大きくする結果にも。。。
(ポプリのモサモサ・線毛がガーゼ的役割を果たすため)

結果的にボゴング精油は甘い〜やフルーティ〜というよりもめっちゃスースーする薬品チックなオイル!というものになりました。
だからあまり売れんのかな。

個人的には極端な性質をもつオイルとして需要ありそうな気はするんですけどね。。。


今回のボゴング蒸留は花だけを蒸留したので、よりラベンダー品種ごとのアロマの個性が出ているハズ。
なのでまたも世界に貴重な資料を遺したエフゲニーマエダ氏なのであった〜〜〜!

ではでは!
ラバンジン ボゴングの花のみ蒸留回でした〜!

【初のラバンジン蒸留記事】

若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。