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平成林業。初のラベンダー蒸留記念日。

いやぁ〜ついにきました。
道産子としての誇りというべきか、すでに衰退した後の祭りですが北海道独特の産業をこの身で直に体験できる日がくるなんて、、、!!

ここまでにおよそ3年近くかかりましたね、、、
なんせラベンダーは”林業チック”な農業なので、まとまった収穫が期待できるようになるには、ある程度大きくなるまでやはり時間がかかります!

そういえば最近話題の成田博士こんなこと言ってたよね。

成田先生はことあるごとに故事を以って話をつくるのが好きみたい。
なので何かの講演会でテクノロジーの未来予測について仏教用語を用いてこんな話をしていたよ。
大乗仏教には八識という第5感みたいな概念があって、そのうち「眼識」いわゆる視覚に関するテクノロジーが発達に成功しました。(ARとかVR)
次は「鼻識」匂いや香りに関する技術革新が来るのではないかと成田博士は未来予測されていました。

という受け売りで精油作りもアツくなるんじゃね!?

とか序論で述べてみる次第ですw

北海道がかつて世界に誇った産業を追体験する

ラベンダー栽培って実は”富良野だけじゃなかった”らしいんですよ。
資料を読み漁ってみると、大きく地区としては倶知安地区、札幌地区、栗沢地区、富良野地区とかなり広範囲で栽培〜オイル製造が繰り広げられていたそうなんですよ。
なんでも、戦後のジャガイモ農家の収入不安を支えるための補助農作物だったので、雪の積もらない道東を除くジャガイモ栽培地にラベンダー畑があったそうです。

なかでもわっしの地元のエリアである空知地域にもラベンダー蒸留所が存在していたのには驚きましたね!
それぐらい道内各地にラベンダー栽培地が広がっていたそうです。

けど、蒸留をやってるのは2021年現在中富良野のファーム富田さん僕んちだけか。。。というところw

蒸留器ってナニー?(構造とか)

水蒸気蒸留装置の簡単な図解

「水が温まると蒸気になり、冷やすと水に戻る・・・」という蒸発結露の仕組みを使った成分分離器になります。
ウイスキー・ジンとかウォッカなどの蒸留酒の蒸留という言葉。これと同じ仕組みを使っています。

ようは成分を抜き出したい物を入れる釜と、蒸気を通す管=ただ蒸気をくぐすだけじゃ結露しないので、冷却管という構造物を取り付けて結露水をたくさん得ます。
アツアツの蒸気が通る管を冷たい物体で冷やして蒸気を結露させ、それを得るための構造物ですね!

■予定通りラベンダーの冬剪定で材料調達する

1、2、3号花壇の年数が長い3号濃紫からたくさんの剪定枝が出た

早い自分へのクリスマスプレゼントだと思って、袋いっぱいにジョキジョキとラベンダーの持て余した枝たちをチョッキンしてきました。

2時間くらいハサミを使い続けてたので、なぜか親指の痺れのようなものが取れません。ダメージを負いました。
神経逝ってたらコワいな…とか思いつつ。。。

この2時間ずっとラベンダーをひたすら剪定していると、ある失敗に気づいたので、別のnote記事にてレポートしたいと思います。剪定方法の改善点というか。。。

■さっそく蒸留やってみる

電源と水源を同時に確保できる環境が風呂場だった

一度雪に埋もれかけたラベンダーの枝葉ですが、なんとか鍋いっぱいに仕込むことに成功しました。イェイ!
あとは密閉フタを閉じてガラス冷却管を繋ぐだけです!

1週間もしないぐらい前に思いつきで剪定枝をゴミにするか?資源化するのか?思い描いた通りの理想が叶ってよかったです。QoLアップ!

デカいので全体写せてないけどこんな感じでエンジン始動!

フタ閉じて、できる限りの対策としてはでっかいステンレス鍋が冷気吸わないことに注力したことですかね。
この鍋の中に仕込んだ水を沸騰させ続けないといけない上に、25L鍋は表面積が大きいので布で囲って保温性を底上げします!!

あとはあらかじめ沸かしたお湯を鍋に仕込むと節電になるかな?
熱効率考えるとお湯入れた方がスチーム出始めるまでの始動早いのかも…!

セパレータの底に溜まりはじめた芳香蒸留水-Floral water

エフゲニーマエダ、人生初めて蒸留を経験する。⤴︎⤴︎

記念すべき一雫目・・・は動画で撮っちゃってたので、底に溜まりはじめた蒸留水をパシャっときましたw
蒸留水が溜まり始めると同時に、風呂場に生のラベンダーとはまた違った独特な香りが充満し始めます(すっごい甘ったるい焼きイモのような…)

実はこの芳香蒸留水にあたるものがお酒造りでいうと、ジンやウォッカのスピリッツになります。
水にもしっかり香り物質が溶け込んで匂いがつくのは驚きでした!

シナモンとかを蒸留するとシナモン水が得られる寸法!

手前がセパレータ(分離器)、奥が蒸留水ビーカー

作業風景です。
排水管から蒸留水だけが抜けていき、次第に精油・ラベンダーオイルの層が厚く溜まっていくイメージです!

この景色を1時間半ほど見守ります。。。(初回なので)

ビーカーが満水になると、匂いのついていない炭酸ペットボトルに移して冷暗所に保存しておきます。

■人生初のラベンダー蒸留、成果はこんな感じ!!

抽出物を芳香蒸留水Floral waterと精油Essential Oilに分けました

えーと、25リットル大鍋のフタあたりまで溜まったラベンダーの剪定枝葉残りですが、蒸留水がポタポタ始まってから1時間半の蒸留でこんな成果物になりました!

一応は純粋な精油・ラベンダーオイルは採れたのですが、冬の葉っぱだし花じゃねぇしでかなり少なかったです!!笑

思ったより歩留まり少なめだったので、この小ビンに保存する

Q.セパレーターの奥底に溜まったオイルをどうやって移すか?

セパレーターから直接滴下させると管内に残って収穫量が減りそうなので、セパレーターの上口からいつ何で買ったかわからないこの安モンピペットをつっこんで吸い出し、遮光ビンに移し替えようと思います。

セパレータは高性能な理科器具なので、1滴ずつ内容量を減らせます。
なので可能な限り蒸留水を排出してから、作業開始です!

およそ4年ぶりのピペット操作なのでかなり手を震わしつつ底に溜まったオイルを吸い出します。。。
(大学時代は決まったmL数吸い出せる高性能ピペットがあって懐かしい…)

ラベンダーの冬葉っぱオンリー1kg無いぐらい?からこんくらいのオイル精製!

えー、、、化学実験の器具操作から実に4年ぶりぐらいにピペットを握ったので、ビンのフチにオイルを吹きこぼしてしまい、かれこれ2、3滴ほど減ってこのような歩留まりになりました。(恐ろしくて時給換算できません)


感想として、「抽出部位が12月の葉っぱ」だったからかもしれませんが、できたてのラベンダーオイルって市販されているラベンダーオイル香のそれとは大きく違った匂いがするんですよね。

ファーム富田の心臓部「蒸留の舎」とまんま同じ匂いがする

蒸し焼きにした匂いというか、焼きイモの甘い香りだけを抜き取ったような匂いが着いてます。
これは半年間くらい冷やしておくと次第にスッキリしたあの癒しアロマの香りになってくれるみたいなんですよー!ファーム富田さんでは『熟成させる』と説明されていますね。



若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。