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教師が人気職業!?こんなにも違う、日本とスペインの教育制度
こんにちは、しえです!いつもご覧いただきありがとうございます!
突然ですが、私の家族は全員教師です。両親、兄弟、義兄弟、親戚に至るまでみーんな教師。私だけが教育関係の職には就かず、スペインオタクとしてスペイン道を極めるべく生きているわけ。
こんな環境なので教師という職業がどれほど大変で、どれほど厳しいものかはしょっちゅう耳にします。
いつもは煎餅でも食べながら「ふーん、大変やな。先生にならなくて良かった」と思っているのですが、ここでふと疑問が。
スペインの先生たちって、とても激務をしているようには見えません。割と早い時間に学校から出てくるし、バルで隣で飲んでいた人が実は教師だということも。
気になったので色々調べました。教育制度、教育方針、教師のあり方、教師の働き方、お給料・・ほんまに同じ職業でしょうか。今回はちょっぴりお硬い話題ですが、ぜひ違いを見てみてください。バモス!
スペインの教育制度
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まずはスペインの教育制度を見てみましょう。日本とはかなり異なっています。
スペインの教育は大きく分けて3種類
スペインの教育施設はcomunidades autónomas(自治州)が管理する公立のもの、私立、そして公立と私立の教育を合わせたものの3種類があり、言語、宗教、教育方針により行きたい学校に通えます。日本のように居住しているエリアで分けられているわけではありません。
言語、というのはスペインには公用語が4つあるから。
いわゆるスペイン語であるカステジャーノ
カタルーニャ地方のカタラン
バスク州のエウスケラ
ガリシア地方のガジェゴ
と、それぞれどの言語をメインに教育を受けさせたいか?を選ぶことができます。カタルーニャ語の方言に属するバレンシア語をメインとした学校もバレンシア州には存在します。
Educación Infantil0歳〜3歳
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スペインでは共働きの家庭が多いため、子どもたちは生まれてすぐに幼児教育学校に入ることができます。日本で言う保育園や託児所のようなものです。
生まれて3ヶ月〜3歳までの部門と、3歳から6歳までの二段構え。0歳〜3歳部門はその多くが私立となっています。国営のものもあるようですが数が少なく、しかも無料ではなく料金が発生します。国営であっても・・。
しかもその価格は日本より遥かに高い。マドリードでは8時間、給食付きで子どもを預けようとすると月額300ユーロ(51,000円)以上!
こんなに高くて預けられるの?と思いますが、補助金が月額約180ユーロ(36,000円)ほどあるそうで、実際の負担額は2万円ほどなんだとか。
マドリードは特に平均年収も高いため、幼児教育学校も高い。セビージャなどでは月額200ユーロ(34,000円)ほどです。
ちなみにこれは食事付きの価格。スペインは昼休憩が長い会社が多いので、昼食は家で取り再登園してくる子どもが多いとされています。そうすると100ユーロ(17,000円)ほど安くなります。
2023年のデータでは45.6%の子どもたちが幼児教育学校に入っており、歴史上一番高いパーセンテージとなっているというデータも。
Educación Infantil3歳〜6歳
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3歳〜6歳はいわゆる幼稚園。日本と同じく義務ではありませんが、公立も多くあり無料。ここで親たちはほっと一息つけるわけです。
Educación Primaria(小学校)
6歳からが義務教育となり、基本的にはみんな小学校に通います。授業はスペイン語(国語)、算数、社会、美術、外国語、体育など教科自体は日本と大差ありません。義務教育なので無料です。
小学校は6年間で、2年毎の段階に分けられています。日本で言う4年生から5年生に上がる際には試験が設けられており、この試験は割と厳しく行われているようで留年もあり得るのだとか。
日本のように義務教育だからといって成績が悪くても自動的に学年が上がる仕組みではない、ということですね。
Educación Secundaria Obligatoria (E.S.O)(中学校)
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小学校を卒業した後は、日本で言う中学校に進みます。
中学校は4年間あり、最高でも16歳までしかいられません。小学校で留年してしまった子どもたちにはテストやエクストラの授業などが課せられ、なんとか卒業資格を得られるようにしてくれるのだとか。
要するに、小学校で留年してしまった場合は中学4年生になることはなく3年生で終わらせなければいけない。
EUROで大活躍したヤマル選手もこの年齢。EUROに出ているのに空き時間に勉強をしていたと話題になっていましたが、スペインの教育制度上免除もできない、終わらせなければいけないことだったんです。
Bachillerato(高等教育)
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中学校までが義務教育で、ここからが高等教育に入ります。と言っても日本の高校とは異なり、専門的な授業が行われる学校。大学に入る前の準備といった位置付けで、ここである程度どの分野に進むか決めなければいけません。
全般的なもの以外にも科学、アート、人間科学に社会学のコースがあり中には入学時に試験があるものも。2年間の教育となります。
バチジェラトを卒業するとUniversidad(大学)や専門的な学校へ進むという仕組みとなっています。大学や専門学校へ進むにはバチジェラトの成績が必要となり、試験も行われます。
日本とは違うスペインの教育方針
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日本の小学校、中学校の授業を思い出してみると、先生の説明をひたすら聞き続けるものが多かったのではないでしょうか。しーんとした中でひたすら聞くだけの授業。私語厳禁とかね。
授業中、先生に当てられるのを嫌がって後ろの席に座ってみたり、目を合わせないように教科書を盾にしてみたり・・私はそんな思い出ばかりです。そして眠い。難しい話を聞き続けるのは眠気を誘いますよね。つまらん授業が多かったし。
静かにならないスペインの教室
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スペインの学校の授業はとっても賑やか。先生の言うことを黙って聞いているだけの時間はかなり少ないのだそうです。子どもたちは自分の意見や疑問があればすぐに発言。多くの生徒が授業中に手をあげます。さすが、おしゃべりの国!!
個人の意見や考え方を大切にするスペインでは、学校の教育方針もそれに沿ったものになっています。子どもの意見を否定せず、「あなたはそう思うのね、ではこのような場合は?」と自分で考え、意見することを促す授業の作り。
正解、不正解だけを伝えるのではなく「考え、意見すること」に重きを置いているんだとか。これだけでも日本とはかなり違いますよね。
議論の授業が多い
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スペインの人たちは、誰かと自分の意見を伝え合うことが本当に大好き。根っからのおしゃべり国民で、議論を発生させるためにわざと違う意見を言うこともある、と現地の友人が言っていました。
議論を避けたい人の多い日本人とは根本から違うのですが、この議論好きも小学校の頃からの英才教育。意見を言い合う議論のクラスが多いのだそうです。議論、したことある?小学生で。わたしはありません。授業中は完全に黙っているタイプでした。
議論と言ってもちょっと前に日本で流行った「論破」ではなく、純粋に自分の意見を言うだけ。考え方で勝った負けたなんて、そんな幼稚なことを目的としているわけではありません。
色んな考え方に触れ、色んな人がいるということを小学生の頃から自然に学ぶのです。さすが個人主義の国。
教師の社会的地位
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調べてみると本当に面白いもので、世の中には「世界教員地位指数」というものが存在します。イギリスの会社によって世界35カ国、1000人を対象に行われた調査を基に作られたもので、名前の通り教員の社会的地位を表すランキングとなっています。
「子どもを将来教師にしたいかどうか」や「子どもが教師を尊敬しているか」などの質問がされ、その答えを分析し算出されたものなんだとか。
教師の社会的地位が低い日本
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ランキングによると日本国内で「将来、子どもを教師にしたい」と答えた人は10人に1人。
まあ、現在の学校の様子を見聞きするに教師にしたい!と思う人は少ないでしょう。
授業、親への対応、クラブ活動、社会奉仕活動という激務に加え、定額働かせ放題のお給料。残業代は出ません。
私だったら絶対に御免です。誰が苦しむと分かっていて、自分の子どもを教師にしたいと思うでしょうか。
教師は良い職業、というスペイン
対してスペイン。「子どもに教師になるようすすめますか?」という質問に対して「強くすすめる」「すすめる」「すすめるかも」とポジティブな答えをだした割合が70%強にものぼります。
これを見るだけでも、スペインで教師という職業が重要視されていることが分かります。
また、教師はスペインでも公務員です。そのため会社都合による解雇が存在しません。スペインの経済は不安定なところがあるので、解雇されずに働き続けることができるという安定を求めて教師になりたいと考える方が多いようです。
バケーションについて
先日、スペインのバケーション文化について紹介するnoteを投稿しました。有給休暇などを組み合わせて作られる、1ヶ月近いバケーション。なんて羨ましい文化でしょう。
日本の教師の夏休み
日本の教師たちはほとんど夏休みなんてない、ということをご存知でしょうか。子どもたちが学校に来ないからといって教師も休んでいるわけではありません。
クラブ活動、夏期講座、授業の準備、事務仕事、学校の掃除、課外活動とかなり忙しい。1ヶ月まるごと休みなんてとんでもない!!
私も子どもの頃の夏休みはよく親の勤める学校に連れて行かれ、兄弟と一緒に教室や職員室にいました。預ける場所もない、家でお留守番ができるほど大きくもない、けれど親は働かなければならない。今思えば苦肉の策だったのでしょう。
教師もしっかりバケーション
スペインでは子どもたちの夏休みは約3ヶ月。6,7,8月と学校は夏休みに入り、9月からが新学期となります。
先生たちは他の職業と同じように1ヶ月ほどのバケーションを取り、後はサマークラスや授業の準備などに従事します。それでも1ヶ月も休みがあります。
夏休みではない、学期内の労働時間も他の職種と同じく1日8時間、週40時間。日本の教師たちの週平均労働時間が54〜58時間と統計が出ているのでかなり差があることが分かります。
お給料について
最後はお給料について。日本の先生たちは完全に年功序列、歴が長ければ長いほどお給料が上がる仕組みとなっています。ここまでスペインと比べて決して労働環境が良いとは言えない日本の教育業界ですが、果たしてお給料は。
日本の先生たちのお給料
日本の教師は多くが地方公務員であるため、月日を重ねれば重ねるほどお給料が上がります。小学校の先生は平均年収約640万円。月額40万円とボーナスです。中学校になると平均710万に上がるようです。
会社勤めの方の平均年収が410万ということなので、かなり高いですね。仕事は大変だけれど給与は安定しているし、ボーナスもあるのが救いです。
スペインで先生をしたら・・・
一方のスペインは、全国平均が年収25,260ユーロ(約430万円)ほど。少しほっとしました、日本の先生のほうが高いです。報われて良かった。
スペインの先生たちも経験とともにお給料が上がる仕組みで、継続すると年収40,000ユーロ(680万円)ほどになるのだそうです。
州によっても異なるので一概には言えませんが、日本の先生たちのほうが経済的には安定していると言えます。
どっちがいいか?私は完全にスペインです
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さて、ここまで日本とスペインの学校教育の違いについてご紹介しました。どっちがいいでしょう?もちろん個人の考えによるでしょうか、私は間違いなくスペインですね。日本の先生たちは重労働すぎる。
お給料も安定してもらえ、社会的地位もあり、1日8時間労働、バケーションもある。この労働環境であれば、日本でも教職につこうという若者が増えるのではないでしょうか。
しかも、親も教師に対してきちんとリスペクトを持って接するのでモンスターペアレントなんてものは少ない。学校は授業を受ける場所であって、家庭教育の代わりの場所ではないからです。
日本の教育を守るためにも、教師たちの労働環境を改善してあげてほしい。先生たちが余裕を持って子どもたちに接することのできる環境を整えてあげてほしい、と外野は思います。まずはバケーションだな!!公務員からバケーション!
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