スタジアム中が「¡Vamos!」。バモスという短い単語に込められた様々な感情とは
こんにちは、しえです!いつもご覧いただきありがとうございます!
EURO2024、決勝トーナメントが始まりましたね!愛するスペイン代表は日本時間7月1日の朝、ジョージアと対戦します。¡Vamos España!
スペインや南米のチームの試合を見ていると、必ず耳にするこのVamosという言葉。耳障りが良いせいか、何度も耳にするせいか、日本でもカタカナでバモス!と使われているのをよく目にします。
このバモスというたった3文字の単語の中には、様々な揺れ動く感情が込められています。特にサッカーの試合中は最初から最後までバモスで構成されている、と言っても過言ではない。
そこで今回は、スペインサッカーに欠かせないバモスという言葉について深掘りして行きます!ぜひ最後まで!
そもそも「バモス」ってなに?
まずはバモスという言葉が本来持つ意味を見ていきましょう。複雑なので、できるだけ簡単にご説明いたしますね。
スペイン語は動詞の活用が地獄
まず、スペイン語について。スペイン語は動詞が主語によって変化する、とってもややこしい言葉です。もう既にめんどくさいですね。
スペイン語では「私が食べる」「あなたが食べる」「彼が食べる」で「食べる」という動詞の形がすべて異なります。しかも変化の元となる主語は6種類もある。
同じ食べるという意味の単語なのに、「私」「あなた」「彼/彼女」「私達」「あなたたち」「彼ら/彼女ら」で全部違う動詞の活用形が使われるということです。
スペイン語を勉強する際、まず誰もが苦戦するのがこの動詞の活用です。とにかく暗記するしか道がない。スペイン人も小学生の時に、輪になってみんなで勉強するそうです。大人になっても普通に間違えることも多い、とスペイン人が申しておりました。
ある程度の規則はあるものの、不規則動詞もある。しかも動詞の活用は6つだけではありません。主語だけでなく、時制によっても変化するという地獄の仕様なのです。
直説法現在形、過去形2種類、接続法と呼ばれる謎の変化、そして接続法過去、過去分詞、現在分詞と頭がパンクしそうなほどの活用を覚えなければなりません。
もう意味わからんな。この辺でやめましょうね。とにかく、スペイン語は動詞の活用が膨大にあるということです。
バモスの本来の意味
では、今日の本題「バモス」です。
これはスペイン語のir、「行く」という動詞の一人称複数形の形。イールでなんでバモスやねん、別の単語やろ!という気持ちにもなりますが、もうここは受け入れて暗記するしかありません。
「行く」の一人称複数形なので、本来のバモスは「私達が行く」という意味になります。日常会話でも頻繁登場する単語で、
Vamos al mercado(私達は市場へ行く/市場へ行きましょう)
といった感じで使われます。人を誘う時や促す時などにもバモスを使います。
irという単語が幅広い
基本は「行く」という意味のirですが、この短い単語、意味の広さが半端ない。
行く以外にも前置詞や、後に続く単語を変化させることで「通う」「進む」「合う」「似合う」「味方する」「〜するつもり」「〜しつつある」「目指す」「話題にする」「追いかける」など数え切れません。こんなん覚えきれるわけがない。
しかもバモスに至っては感動や心が動いた際に使われる「感嘆詞」としての役割があり、それもかなりの頻度で登場するんです。中には口癖のようにバモスを使う人もいます。「ほら」「ねえ」「分かるでしょ」のような意味で使われるバモス。もう何でもバモスです。
話の途中で相当な頻度で差し込まれるバモス。スポーツの試合で使われるバモスはこの感嘆詞である場合が多い、というわけですね。
シチュエーション別「バモス」の意味
ここまでバモスの持つ本来の意味を見てきました。
普段の生活でも頻出単語であるバモスは、サッカーの試合中においても一番使われる単語なんじゃないかと思っています。なんならバモス!と言っておけばなんとかなるくらい、様々なシチュエーションで使われるんですよ。ちょっと見てみましょう。
¡Vamos España!のバモス
まず、観客がかかげるプラカードや新聞などでよく見かける¡Vamos España!の意味から参りましょう。
これは本来の意味そのまま、「行こうぜ、スペイン!」という意味と、「頑張れ、スペイン!」というどちらの意味も持つ言葉です。選手を支える応援の意味を持つバモスの使われ方ですね。
選手入場時のバモス
選手入場時によーく見ていて欲しいのですが、大体キャプテンの選手が大きな声で手を叩きながら「バモス、バモス!」と言っている姿が見られます。定番ですね。
これは自分たち、チームに向かって「よし、行くぞ!」という盛り上げの意味を持つバモスです。
時には「バモ、バモ!!」と略して叫ばれることもあります。「バモー!!!」とかね。
もともとはVamos,adelante(前に行くぞ/さあいくぞ)の略称なんだとか。
国歌斉唱後のバモス
国歌斉唱後に選手が口にするバモスも入場時と同じく鼓舞の意味を持つバモスですね。この時が一番多くのバモスが見られる時かも。ぜひ注目してください。「よし、行くぞ!!」のバモスです。
観客もバモスと叫んでいますが、こちらは「よし、行け!!」のバモスです。自分たちを鼓舞する場合も、チームを鼓舞する場合もどちらもバモスです。
得点後のバモス
得点後にもバモスタイムが訪れます。この場合のバモスは「やったー!!」「よっしゃー!!」の意味を含むもの。得点を決めた選手も、他の選手も口々にバモスと言いながら駆け寄って来るお馴染みの光景です。
観客も興奮気味に「バモス!!」と言っていますよ。同じ「やった」「よし!」のバモスです。
なぜ「行く」が「やった!」という意味を含む形で使われるようになったのか。私の予想ですが、おそらくチームに対して「このまま行こうぜ!」の意味を含む「バモス」なんじゃないかと思います。
得点を決めた選手は一人なのですから一人称複数形での「バモス」はよく考えるとおかしい気もするのですが、一人称の単数形にならないのはサッカーがチームスポーツだからかも。あ、でもテニスの選手も「バモス」と言っていますね・・・。うーむ。違うな。奥が深い。
勝っている時のバモス
試合の終わり間際に観客が口にする「バモス」は「このまま勝ってくれ!」という願いのこもったバモス。
時には審判に対して「早く試合終了の笛を吹け」という催促の意味を込めたバモスも使われます。「Vamos,¡pita ya!《バモス、ピタ ジャ》(ほら、もう笛を吹け)」とかね。
負けている時のバモス
勝っている時のバモスがあれば、観客が使う負けている時のバモスもあります。「頼む」「頑張れ」の意味が込められたバモスです。
試合中ですから「そのバモス、どういう意味?」と使っている本人に確認することはできませんが、おそらく「攻めろ」「行け、攻撃し続けろ」の意味も込められていると思います。
負けている状態でもなかなか強い語気で使われるバモスです。
勝利後のバモス
試合終了、勝った場合も使われるバモス。両手を大きく振り上げ「バモース!!!」と叫ぶ選手の姿は何度見てもいいものです。
このバモスは「やったー!」「よっしゃー!!!」のバモスですね。実はスペイン語には他にもやった!という表現がいくつかありますが、一番使われるのはこのバモスです。
勝った試合の後にはどの選手も高確率で¡Vamooooooos!と言っているので、ぜひ注目してみてください。
大量のバモスを期待している!!
サッカー用語に加えてもいいくらいの頻度で登場するバモス。サッカーの試合中はいつ、どのような状態でも使えるとっても便利な言葉です。
試合中にバモス!と言っている観客や選手が映し出されるのはすごくよくあることなので、そこに込められた意味を感じ取りながら一緒にバモスしてください。
今夜の試合でもポジティブなバモスがたくさん見られますように!!
¡Vamos España!
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