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スペイン流対処法!「お客様」のない国で目撃したクレーマーの末路

こんにちは、しえです!いつもご覧いただきありがとうございます!

先日、私はスペインでNOと言うことを学んだと投稿しました。たくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。まだの方、ぜひこちらから!

NOが得意なスペイン人たちは、仕事中であっても自分を曲げません。サービス業であろうが相手がお客さんであろうが、できないものはできないしやらないものはやらない。

日本人の感覚からするとそれでサービス業が成り立つの?と疑問ですがそもそも心構えからして違う。

今回は、日本でも問題となっているクレーマーについてスペイン人たちの対応を見てみましょう。

スペインのサービス業界

出すだけ出して店員さんが消えるお店も

日本でサービス業に従事している皆様、本日もお疲れ様です。特にB to Cの方々。私も以前はそうだったので、サービス業、接客業の大変さはとてもよく分かります。

良いお客さんもたくさんいますが、中には信じられないような要求をするお客さんもいますよね。お店に来た時点で怒ってるとかね。どうしろっちゅうねん。

日本で近年よく取り上げられているクレーマー。クレーマーは、もちろん日本だけの問題ではありません。スペインにも当然、存在しています。クレームはあるけれど、日本で言う「カスハラ」に到達することはほぼないんじゃないかな。

なぜならお店の対応や周囲のお客さんによって、カスハラに発展する前に潰されるからです。

スペイン人、文句言うの大好き問題

井戸端会議中のおじさん

実はスペインの人々は「文句」や「愚痴」を言うのが好き。ちなみに噂話も大好きです。バルの会話でも、文句や愚痴や噂話が多く聞こえてきます。

しゃべらずにはいられないうえ思ったことをすぐ口に出すスペインの人々は、誰かに文句を言うことのハードルが低い。お店の従業員だろうが他人だろうがお構いなしにすぐ自分の要望を口に出して断られ、憤慨するという流れを目にします。

バルで、駅で、電車やバスの中で、言い争う声が聞こえてきたら「お!またお客と従業員のバトルか!?」とスペインらしさを感じてしまうほど。

最初は大の大人が公衆の面前で言い争う様子にびっくりしていましたが、今ではまったく気になりません。気分が乗れば耳を澄ましてリスニング教材として活用し、そうじゃない時はBGMとして聞き流します。

スペインでサービス業は超重要

スペインでは労働者全体の中で、sector servicioセクトール セルビシオ(サービス業・第3次産業)に従事している人が約70%を占めるそう。割合の多さからスペイン経済のなかで最も重要だとされているのがサービス業です。

このサービス業に振り分けられる仕事は範囲が広く、バルやレストラン、スーパーで働く人はもちろん、ホテルや旅行業、美術館や観光名所で働く人、教育関係者、エンターテインメント業界なども含まれます。

日本で第3次産業に従事している方は全体の64%とされているので、スペインは日本より高い割合の人々が第3次産業で働いていることが分かります。超重要な職種ですね。

サービス・・・?

文句や愚痴が多い国でサービス業をするのなんて大変そう・・と思いますよね。いやいや、絶対に日本の方が大変です。スペインで必ずお世話になるサービス業の人々ですが、結構な割合で信じられないくらい愛想のない従業員に当たります。

もちろん全員が全員というわけではありません。ただ、日本のようにどの従業員の方に当たっても大抵は気持ちよく接客してもらえるという安心感はありません。つまり個人の裁量によるところが大きい。

その日の機嫌が悪かったり、タイミングが悪かったり、もともと愛想のない性格だったり、疲れていたりした日にゃそれはもうひどい接客態度。驚くことも大いにあります。

愛想がないのはデフォルト

郵便局の接客とかひどい

スペインを初めて訪れた私の家族は、初めてスペイン流愛想のない接客をされ「怒ってるの?」「アジア人相手だから愛想がないのかな」などと余計な気を揉んでいたほど。

絶対に怒ってないし、そこに人種は関係ありません。愛想のない従業員は、スペイン人に対してもそっけない態度を取り続けています。そういう人、そういう日なんです。そしてそれがある程度は許されてしまう。

「日本でその態度やったら絶対にクビやで」と言いたくなるほど適当な人もいる一方、明るく楽しく声をかけてくれる従業員も多い。個人によるから、サービスの質の幅が半端なく広いんですね。個人のサービス精神という性格の一部に左右されると思います。

「会社」ではなく「個人」が優先される社会だからこそ、失礼な態度のお客さんにはサービスを拒否することも往々にして起こります。

スペインで見た!クレーマーとその末路

従業員は自分で自分を守る

日本で近年問題となっている「カスハラ」。これ、従業員とお客さんとの関係があまりにも歪だから起こりうることなんじゃないかな、と思います。

日本では完全にお客様が強く、従業員は基本的には言われるがまま。お客側が「こっちはお客なんだから、従業員は言うことを聞いて当たり前」と勘違いしている節もありますよね。

スペインではお客さんと従業員は完全に対等なので、失礼な態度で接すると返り討ちにあいます。目撃談です。

飛行機の中で新聞を要求するお客

ターキッシュエアラインズ良かった

スペインへ向かう飛行機の中での出来事。ヨーロッパの国でのトランジットも終えて、マドリードまであと少し。

うとうとしているとスペイン名物、お客さんの怒りを含んだ大声が聞こえてきます。到着する前からスペインの雰囲気を感じてしまい、ウキウキで眠気は完全に吹き飛んだため耳をすましていました。

どうやらお客さんがCAの女性に絡んでいる様子。新聞をくれ、と要求しています。スペイン人と思しき女性CAが、これまたスペイン人と思しきお客さんに何度も「新聞のサービスはビジネスクラス以上の方だけ」と説明をしていますが諦めません。

「自分はスペインを長く離れていたので、スペインの新聞が読みたい」
「エコノミーだが新聞代くらいは含まれているだろ、おかしい」
「そこにあるんだから寄越せ」

と謎の持論を展開して大騒ぎです。段々ボルテージも上がってきました。私もウキウキです。

日本のイメージではCAさんってとっても優しいですもんね。日本であれだけしつこく要求されたら、「上司に確認します」くらいは言うでしょう。それに新聞くらいはサービスしてあげるかなーと思って見ていました。が、CAさんは断り続け、男性客はなかなか失礼な態度で怒り続けています。

最終的にCAさんは「もう相手をしても無駄」と判断したのか、「エコノミークラスのあなたに新聞のサービスはありません!!!」とはっきり口にして、ギャレーのカーテンをシャッと閉めてしまいました。ひゃー!

男性はしばらくカーテン越しにCAに向かって文句を言っていましたがギャレーが再び開くことはなく、周りのお客さんに「うるさい」と言われ自分の席に戻って行きました。

もうすぐマドリードに到着するから、新聞買えるといいね。数時間我慢して。

切符はなくした、バスに乗せろ!と騒ぐお客

スペインのバス便利

スペイン国内を走る長距離バスもクレーマーの宝庫です。と言っても、到着時間が予定より大幅に遅れたり、子供の泣き声がうるさいとか、運転手が休憩中に喫煙しているとか、そんなしょうもないことでクレームを言うスペイン人はいません。

私がバス停で目撃したクレーマーは「チケットをなくした」と主張。最初は運転手さんに「購入したのですが、なくしてしまって・・」と丁寧に話をしていましたが、「チケットがなければ乗車できない」と言われると一気にヒートアップ。

スペインの長距離バスは事前にカウンターでチケットを購入し、乗車時に確認してもらう形式。運転手さんはチケット現物以外で、本当に購入したのか証明する方法がありません。

しかし男性は運転手に乗せろと詰め寄ります。が、運転手ももちろん譲らない。「降りてください」の押し問答。周囲もしばらくはその様子を眺めていましたが、最終的には他のお客さんから「急いでいるんだから降りろ」「降りろ!!」の大合唱を食らい、乗客のお兄さんの手によってバスの外へと押し出されました。

バスを降ろされた男性は走り出したバスを蹴り飛ばし、唾を吐いていましたがその姿のなんとも情けないこと・・。チケットを失くすのも自分の過失なので保証はありません。怒っても仕方ない。この国は日本のような、怒って要求が通る気弱な国ではありません。

日本との違いは

路駐も文句言っても意味ない

他にもいくつもクレーマーを目撃しましたが、上記2つのお話でも分かる通り日本とスペインの大きな違いは

・従業員側がはっきり拒否をすること
・周囲の人がすぐに口を出すこと

です。従業員側は会社や上司に判断を仰ぐことは少なく、自分の判断ではっきりと「できない」ということを伝えます。

絶対に謝らない!

スペインでサービス業に従事する人たちは、日本のように簡単に謝罪したりしません。相手がどれだけ怒っていようとも、どれだけ急いでいようとも「とりあえず謝る」という対応は取りません。

会社側に過失がある場合であっても「自分は悪くない」ので謝罪することはせず、淡々と対応をします。ほんとに謝らないから、スペイン人。断る際も「申し訳ございません」という言葉は絶対に使いません。だって自分は悪くないからね。

周りが口を挟む!

また、クレームを大きな声で言っている人に対しては周囲の人がかなり早い段階で口を挟みます。「あなたそれおかしいよ」「他に待っている人がいるから、どいて」「うるさい」など、見て見ぬふりはしません。

周囲の関係ない人の手によってクレームを言っている側がその場から追い出されたり、「どうしたの?」と声をかけられる姿をよく目撃します。さすがコミュニケーション強者の国。

日本のサービス業は素晴らしいけれど

気楽に働くのがベスト

サービスする側が一方的に弱い日本とは違い、対等な関係であるスペイン。時々愛想がなさすぎてイラッとすることもありますが、働く側としては自然体で仕事ができるためストレスも少なそう。

日本のサービスはものすごく丁寧で心地よい。しかし過剰だなと感じることもありますし、それに慣れてさらに要求されることもあるのでスペインのようにできないことはできない!とはっきり伝えて良いと思います。

スペインのサービスを参考に!

最近はサービス業に就きたくない人が増えているそうですね。

難しいことかと思いますが、そろそろ対応を見直す時代なんじゃないかなと思います。サービスする側が弱すぎる時代は終わりにすればいい。企業やお店側もスペインのサービスのあり方をぜひ参考にしていただきたい。

理不尽なクレームやカスハラなんかで、従業員側が心を削ることのないような社会になりますように。日本のサービス業は普通にしているだけで十分、素晴らしいですよ、ほんと。






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