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旧日本銀行広島支店で展覧会をつくる「呼吸する影ー被爆樹木のフォトグラムー @被爆建物」2015年

去る、2015年4月11日(土)-19(日)

被爆建物である旧日本銀行広島支店地下ギャラリーで個展を開催しました。

ヒロシマにある被爆樹木のフォトグラム制作は、2012年から始まり、2015年で4年目を迎えます。

また戦後70年の節目の年に、念願だった広島での作品発表が実現しました。

個展会場の旧日本銀行広島支店は、かつての日本銀行の営業所で、現存する被爆建物の一つであり、広島市指定重要文化財となっています。現在では芸術文化活動拠点としても利用されている施設です。

地下の4つのスペースを使い、被爆樹木のフォトグラムの作品展を開催しました。


この施設で作品を発表しようと考えた理由は、被爆建物の中に、現在も生きている被爆樹木の影を撮影した作品を展示したとき、作品の見え方にコントラストが生まれ、作品が力強く、繊細に観る人に迫るのではないかと考えたからです。また地下の金庫室はシェルターのような雰囲気があり、外部の情報が入ってきません。その為、作品と真っ正面から対峙する様に促されます。

今回4つの展示室の特性に合わせインスタレーションの形式を用いて、展示をつくることに挑戦しました。



●第1金庫室・第2金庫室

作品タイトル:『ここで風を感じることが出来るだろうか』

2014年に新宿・大阪ニコンサロンで発表した、2014年に制作した『呼吸する影』を中心に展示。


いわば最強のシェルターの中で、「被爆樹木の「呼吸」を感じることができるか」をテーマに展示を構成しました。
また、その金庫に作品を展示することで、永久に保存し後世に残し伝えていくようなイメージも想起されました。


金庫の中に入るので、迫力満点の分厚い鉄の扉をくぐり抜け、展示室に入ります。


・第一金庫室

鉄の分厚い扉のを潜り抜けて展示フロアへ入る


・第二金庫室

こちらも分厚い鉄の扉を潜り抜けて展示室へ入る。

もともとお金が収められていた場所なので壁面も分厚い鉄で覆われている。


●OCR室

作品タイトル:『私が消えてしまったとき、私は残るでしょうか?』

ここでは、2012年と2013年に撮影した作品を中心に床面に構成し、展示しました。

天気の良い日は、天井から12時〜13時に太陽光が降り注ぐ空間です。

タイトルの「私」とは「被爆樹木の影」そのものをイメージしています。


一度陽光で撮影した被爆樹木の影に再び陽光を当て、撮影された像がじわじわと少しずつ消えていく「時間」の作品です。数週間の陽光では大きな変化はありませんが、微細な変化は確実に生じています。


画面から像が失われた時、その「時間」は、あなたに残っているでしょうか?

日々変化する被爆樹木と、それを「記録」した写真と、私達の関わり方を考える作品です。


(OCRとは、光学式文字読取装置のこと。ここでは、かつて税金や保険料などの国庫金の受入書類をOCRにより読み取り、会計別・官庁別等に集計のうえ、日本銀行にある政府預金として計算・整理・報告がされていた場所です。)


●公文庫室

作品タイトル:『影は今もそこにある』


この展示室では、私が広島に滞在している期間に制作した作品を随時、アーカイヴし、展示していきました。


毎日すこしずつ作品が増えていきます。


この部屋は最も動きがあり、かつ私の作品制作のコンセプトを強く表している展示室となりました。

展覧会初日:2015/04/11 12:40


展覧会3日目:2015/04/13 16:13


展覧会最終日:2015/04/19 10:43


日々変化する被爆樹木の「時間」を、感光紙に写し取ること。
多くの春の被爆樹木たちは、花を咲かせ、芽吹きの時期を迎えていました。
毎日被爆樹木を訪ね、注意深く観察すると、小さな変化が起きている事が分かります。
その小さな変化の積み重なりが、被爆樹木の持つ「時間」そのものです。

感光紙を遮光板にセットし、展覧会期中、毎日被爆樹木を撮影しました。

被爆樹木アオギリ…堅いつぼみが枝先についていた。2015/04/12 14:06

『14:20 4/12 2015 』

呼吸する影—被爆樹木アオギリ 


被爆樹木アオギリ…6日後、

つぼみから若葉が芽吹いていた。2015/04/18 7:47

『9:16 4/18 2015』

呼吸する影—被爆樹木アオギリ 


原爆の日である8月6日だけが「広島」ではなく、毎日小さな変化の時間が、私たちと同じように被爆樹木にも流れています。
その小さな変化に作品制作を通してアプローチする事が、私にとって一番大切な事だと考えています。


私たちは一見、大きな変化で時間を捉えがちですが、それが生じるのは普段は気づきもしない、小さな変化の集積なのだということに気がつきます。


毎日増えていく作品によって展示空間が出来上がってくるこの展示室は、私の制作そのものを表しています。


最後に、


4つの展示室を構成した事で、単に出来上がった作品を観てもらうだけではなく、被爆樹木というモチーフとの関わり方や、作品が出来上がってから鑑賞者との関わり方のアプローチへの意識まで表現する事が出来たのではないかと考えています。


また旧日本銀行広島支店は、広島では文化施設として認知されているとともに、被爆建物であることから沢山の方とお話しする機会に恵まれました。その交流の中で自分の作品を改めてみる機会になり、今後の制作への大きな糧となりました。ご来場頂きました皆様に深く御礼申し上げます。


次回は7/28〜8/2に「ギャラリーG」にて、同テーマの個展の開催を予定しています。
どうぞご来場頂ければ幸いです。


その時の展覧会の様子はこちら↓


以下展覧会概要:(展覧会は現在は終了しています)



『呼吸する影ー被爆樹木のフォトグラムー』
浅見俊哉作品展


本展覧会は、ヒロシマにある「被爆樹木(Bombed tree)」を、太陽を光源として、直接感光紙に焼き付けたフォトグラム(カメラを使わずに撮った写真)の作品展です。


被爆樹木とは、1945年8月6日8:15の原爆によって大きなダメージを受けたあと再び芽吹き、現在も生きている樹木を指します。私は、幹を高く伸ばし枝に沢山の葉を茂らせる被爆樹木に大きな生命力を感じ、2012年から毎年広島に訪れています。


2015年の今年は、戦後70年の節目の年です。作品を通して改めて「今」について感じ、考える時間となれば幸いです。


【場所】
旧日本銀行広島支店 地下ギャラリー
 〒730-0036 広島市中区袋町5-21
(広島電鉄・袋町電停下車すぐ)


【日時】
2015年4月11日(土)-19(日)
11:00-17:00(最終日は15:00まで)


※ 4月18日(土)15:00-16:00 ギャラリートークあり 入場無料


・関連リンク

過去の展覧会のアーカイブ

https://asa19821206.wixsite.com/shunya-asami/blank

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⚫︎写真作家・造形ワークショップデザイナー ・キュレーター・「時間」と「記憶」をテーマに制作。2012年〜ヒロシマの被爆樹木をフォトグラムで作品制作 ●中之条ビエンナーレ2019参加アーティスト ●さいたま国際芸術祭2020 市民プロジェクトコーディネーター

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⚫︎写真作家・造形ワークショップデザイナー ・キュレーター 「時間」と「記憶」をテーマに制作。2012年〜ヒロシマの被爆樹木をフォトグラムで作品制作 中之条ビエンナーレ2019参加アーティスト ・さいたま国際芸術祭2020 市民プロジェクトコーディネーター
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