見出し画像

【アカデミー賞作品賞】個人的ランキング⑩ 10位~6位

みなさんこんばんは。
長い間放置してしまった企画の続きを今更ながら書いていきます。
前回の記事はこちら↓


10位 『或る夜の出来事』(第7回/1934年)

受賞 : 作品賞、監督賞、主演男優賞(クラーク・ゲーブル)、主演女優賞(クローデット・コルベール)、脚色賞

 ノミネートされた全てで受賞、そして主要6部門を初めて制覇した作品です。スクリューボールコメディの代表作とされていますね。
 次々と事件が起こって飽きないし、二人とも魅力的で幸せになってほしいって思える作品です。
 画になる面白いシーン、洒落のきいたセリフが心地よく印象に残ります。コメディは苦手なのですが、この作品だけは例外的に楽しめました。

9位 『波止場』(第27回/1954年)

受賞 : 作品賞、監督賞、主演男優賞(マーロン・ブランド)、助演女優賞(エヴァ・マリー・セイント)、脚本賞、撮影賞(白黒)、美術賞(白黒)、編集賞
ノミネート : 作曲賞

 こちらも主演女優賞を除けば主要部門全てで受賞、総ナメといってもいいでしょう。助演男優賞はこの作品から3人がノミネートされるという人気っぷりでした。
 エリア・カザンが赤狩りで仲間たちを裏切ってしまった贖罪として作られたとも言われる本作でありますが、最後には自分の尊厳を守るための熱い闘いを繰り広げる傑作です。
 撮影が素晴らしく美しいんです。画面構成も考え抜かれています。プロダクションもレベルが高く、音がいいですね。特にマーロンブラントがヒロインに真実を話す場面の音響に圧倒されました。
 傷ついた男の再起をかけた物語で本当に感動しました。

8位 『イヴの総て』(第23回/1950年)

受賞 : 作品賞、監督賞、助演男優賞(ジョージ・サンダース)、脚色賞、衣装デザイン賞(白黒)、録音賞
ノミネート : 主演女優賞(ベティ・デイヴィス、アン・バクスター)、助演女優賞(セルマ・リッター、セレステ・ホルム)、撮影賞(白黒)、美術賞(白黒)、作曲賞、編集賞

 こちらはバックステージものの傑作とされる作品です。ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督は前年の『三人の妻への手紙』に続き2年連続で監督賞と脚色賞を獲得しました。
 ベティ・デイヴィスが三度目のオスカー獲得と言われていましたが、イヴ役のアン・バクスターが事務所の力で主演女優賞に入り込み、結果票が割れて『ボーン・イエスタデイ』のジュディ・ホリデイにいったという、まさにこの映画さながらの女優の意地対決があったという話があります。
 『イヴの総て』とは言うものの、実際の主人公はイヴに踏み台にされるマーゴ。ベティ・デイヴィスはいつもの自分勝手で我が儘な役なんだけど流石に上手い。まさに不世出の女優でした。大好き。
 また脚本もやはりマンキーウィッツは無駄なところがなくてスマート!『三人の妻への手紙』もそうだったけど、情報の出し方が上手いんですよね。マンキーウィッツは物語を語るものとしての映画の名手だと思います。

7位 『レベッカ』(第13回/1940年)

受賞 : 作品賞、撮影賞(白黒)
ノミネート : 監督賞、主演男優賞(ローレンス・オリヴィエ)、主演女優賞(ジョーン・フォンテイン)、助演女優賞(ジュディス・アンダーソン)、脚色賞、作曲賞、美術賞、特殊効果賞、編集賞

 この回はかなり変則的で、圧倒的な作品がなかったようです。最多ノミネートは本作ですが、最多受賞は『バグダッドの盗賊』で3部門、次いで『怒りの葡萄』『ピノキオ』『フィラデルフィア物語』と本作が2部門でした。
 ヒッチコックはすごく好きで、本作も人生ベストくらい好きなのですが、サスペンスというジャンルでよくオスカーとれたなという印象です。
 さて、本作はなんといってもジュディス・アンダーソンの怪演ですよね。燃えさかる炎をバックにした彼女のあの表情!思い出すだけで鳥肌モノです。
 サスペンスとして一級品なのはもちろん、ゴシックホラー的な気品も持ち合わせています。何度も見返したくなる美術や衣装、優雅なジョーン・フォンテインとローレンス・オリヴィエの佇まい。歴史に残る名作です。

6位 『ウエスト・サイド物語』(第34回/1961年)

受賞 : 作品賞、監督賞、助演男優賞(ジョージ・チャキリス)、助演女優賞(リタ・モレノ)、撮影賞(カラー)、美術賞(カラー)、衣装デザイン賞(カラー)、ミュージカル映画音楽賞、録音賞、編集賞
ノミネート : 脚色賞

 この年の最多ノミネートにして最多受賞、まさに総ナメと言えるミュージカル映画の傑作です。スピルバーグが再映画化したことでも知られます。個人的にはスピルバーグ版より本作の方が断然好きです。
 結末が分かっているからこその純粋でひたむきな愛に泣きました。
 ただ歌い踊るだけではなく、編集やカメラワークにもリズム感があり最高にノれるし、色彩コーディネートも計算されつくされていて観ていて絵的な分かりやすさがありとても豊かです。
 異人種間で憎み合うことの愚かさを伝えるという社会的意義もちゃんとあります。また、トランス男性と思われる人物も出てきて、そこまで差別的な描写にはなっていないことに先進性を感じます。終盤アニタを襲うシーンでは一人加わらず引いて観ていたりと少し異質な感じを受けます。

ということで次回はいよいよベスト5です!
読んでいただきありがとうございました!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?