コロナショックで免税売上9割減-百貨店の未来は?
新型コロナウィルスの感染拡大が、これまでインバウンドの恩恵にあずかってきた百貨店の業績に大きな影響を与えそうです。
大手百貨店各社の3月売上高は、前年から3割~4割減少しました。なかでも免税売上高の落ち込みは激しく、各社9割減と苦境に立たされています。
今回はそんな百貨店業界の現状とこれからについて整理します。
アパレルの売上は15年で半減
上記は、百貨店の商品種類別の売上高の推移を示しています。2004年を100とし数値化したものです。
これを見ると、リーマンショックに前後して売上高が急減していることが分かります。その後も全体として減少トレンドは続いています。
特に百貨店にとって最大の収益源であるアパレルの落ち込みが激しく、なんと15年間で半減してしまっています。
一方で、唯一「雑貨」カテゴリだけが近年拡大していることが分かります。雑貨とは一体何を指しているのでしょうか。
消費税免税と化粧品売上の拡大
上のグラフは、雑貨カテゴリの売上推移の内訳を示しています。
これを見ると、2014年の消費税免税制度の改正を契機に、化粧品の売上高が急増していることが分かります。近年の百貨店はインバウンド需要を味方につけてきたわけです。
ところが、今回のコロナショックにより免税売上高が9割減になりました。各社は感染拡大防止のため臨時休業等の措置を講じていますが、業績に与えるインパクトは小さくないと推測されます。
アパレル売上の縮小と化粧品等の拡大
まとめとして、百貨店の売上構成比を比較しています。
2004年から2019年にかけて、アパレル(衣料品)の売上シェアは約10ポイント低下しました。金額ベースでは▲1.3兆円のマイナスです。
これを受け、百貨店を主要販路とするアパレル大手オンワードHDは、店舗の大量閉店に踏み切りました。
今後の百貨店には、単なる「売り場」としてではなく、何かしらの「体験をする」場所への変貌が求められていくとの指摘もあります。
そういった観点では、丸井グループが進める「売らないお店」作りが一つのヒントになるかもしれません。
今回は以上です。
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