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アピール

 はじめは、さっきの地震のせいかと思った。  だがスマホの通知で「地震があった」と知っただけで、揺れはほとんど感じなかった。ものが落ちるほど揺れたのであればさす…

戸叶
9か月前
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黒猫様のお楽しみ vol.11 写真増量編

〈猫ベッドあれこれ〉  最初に買ったベッドは、何だったかな。やってきたのは夏場だったから、特に用意していなくて、アマゾンの箱だったかな。  その代わり、ひんやり…

戸叶
4年前
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黒猫様のお楽しみ vol.10

〈芸術家フラット〉  猫の例に漏れず、フラットも箱が大好き。  ぴったりサイズでは寝るし、大きめサイズには飛び込むし、小さめサイズには……チャレンジ精神は弱めらし…

戸叶
4年前
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黒猫様のお楽しみ vol.9

〈思いっきり飛び込み事件〉  お風呂のパネルリモコンが壊れた。  台所の方は使えていたが、直さないわけにもいかない。  修理を頼み、業者さんがやってくるとフラット…

戸叶
4年前
9

黒猫様のお楽しみ vol.8

〈人、入院〉  ちょっとした病気が見つかり、入院、手術をすることになった。猫じゃないよ、私がね。  入院は一週間から十日の予定。となると問題は、留守中のフラットの…

戸叶
4年前
8

黒猫様のお楽しみ vol.7

〈カマキリ事件〉  ある日、ベランダに、カマキリがいた。  当時は二階に住んでいたのだが、どこからか飛んできたのだろう。私はびっくりし、だが次の瞬間には「フラット…

戸叶
4年前
7

黒猫様のお楽しみ vol.6

〈扉飛びつき事件〉  以前、網戸を開けようとしてくれたフラットさん。うわあ上手! そんなことまでできるなんて! すごい! 賢い! 天才! でもダメー! そんなふ…

戸叶
4年前
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黒猫様のお楽しみ vol.5

〈人、激突事件〉  我が家は一周できる。  と言うと何だかわからないかもしれないが、風呂場(洗面所)の出入り口が台所側と廊下側にひとつずつあって、そこを通ってぐる…

戸叶
4年前
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黒猫様のお楽しみ vol.4

〈夜鳴き事件〉  やってきたばかりの頃、フラットは夜によく鳴いた。  低めの大きな声で。アオー、アオー、と。  馴染んでいるように見えるが、やはり見知らぬ場所は不…

戸叶
4年前
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黒猫様のお楽しみ vol.3

〈網戸事件〉  フラットさんは身体が大きい。となると、力もそこそこ強い。  換気のためにベランダへのガラス戸を開け、網戸だけにしていたときだった。  カチャカチャ…

戸叶
4年前
6

黒猫様のお楽しみ vol.2

〈「ん?」って言う〉  フラットの特徴。  大きい。  みっしりしている。  尻尾が短い。  鼻の頭にちょっと傷跡がある。  ルーズスキンがお腹でふるふるしている。 …

戸叶
4年前
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黒猫様のお楽しみ vol.1

〈行方不明事件〉  ピンポーン。チャイムが鳴った。  はいはーい。一人暮らしのつよーい味方、配送のお兄さんだね!  いつもの通り荷物を受け取った。もちろん、フラッ…

戸叶
4年前
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黒猫様のお楽しみ 序文

黒猫フラットと暮らした日々のエピソードを綴っています。 突然いなくなってしまったあの子との何でもない日々の思い出たち。分かち合っていただければ幸いです。  その…

戸叶
4年前
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アピール

アピール

 はじめは、さっきの地震のせいかと思った。
 だがスマホの通知で「地震があった」と知っただけで、揺れはほとんど感じなかった。ものが落ちるほど揺れたのであればさすがに気づくだろう。

 じゃあ次には、後輩猫の仕業だろうと思った。彼女がその棚をいたずらしたことはなかったが、走り回っている内にぶつかって落としてしまったのかもしれない。

 いや、それも違った。後輩猫は朝からずっとベッドで寝ていた。

 

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黒猫様のお楽しみ vol.11 写真増量編

黒猫様のお楽しみ vol.11 写真増量編

〈猫ベッドあれこれ〉
 最初に買ったベッドは、何だったかな。やってきたのは夏場だったから、特に用意していなくて、アマゾンの箱だったかな。

 その代わり、ひんやりマットを買ったんだった。猫用サイズ。足跡の絵がついてて、かわいいやつ。

 うん、小さいよね。猫用サイズは、君には小さいよね。まだその頃は学習できてなかったよ。人がね。
 そう寒くならないうちは、ひんやりしない普通のマット(本来の用途は何

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黒猫様のお楽しみ vol.10

黒猫様のお楽しみ vol.10

〈芸術家フラット〉
 猫の例に漏れず、フラットも箱が大好き。
 ぴったりサイズでは寝るし、大きめサイズには飛び込むし、小さめサイズには……チャレンジ精神は弱めらしく、無理に入ろうとはしないけど興味は示す。
 気に入って長らく入っていた箱は、あるとき突然、かじり出す。かみちぎってはポイッ、かみちぎってはポイッとして、箱がどんどん小さくなっていく。まるで形作っているようなので、私はこれを「芸術活動」と

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黒猫様のお楽しみ vol.9

黒猫様のお楽しみ vol.9

〈思いっきり飛び込み事件〉
 お風呂のパネルリモコンが壊れた。
 台所の方は使えていたが、直さないわけにもいかない。
 修理を頼み、業者さんがやってくるとフラットにはキャリーバッグに入ってしばし我慢してもらい、痛い出費とともに修理は無事、完了した。
「お湯がちゃんと出るか確認のため、お風呂張りますねー。うん、大丈夫そうですね」
 ちゃんと適切なところで給湯が止まるかまで確認し、業者さんは去って行っ

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黒猫様のお楽しみ vol.8

黒猫様のお楽しみ vol.8

〈人、入院〉
 ちょっとした病気が見つかり、入院、手術をすることになった。猫じゃないよ、私がね。
 入院は一週間から十日の予定。となると問題は、留守中のフラットのこと。
 さてどうする?
 ペットホテル? いや、きっと怖がるだろうな。
 猫飼いの姉か友人にきてもらう? でも、それだと夜はひとりだよね? 夜中、私がいても鳴きまくるのに、誰もいない部屋で鳴いているフラットを想像するだけで胸が痛くなる。

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黒猫様のお楽しみ vol.7

黒猫様のお楽しみ vol.7

〈カマキリ事件〉
 ある日、ベランダに、カマキリがいた。
 当時は二階に住んでいたのだが、どこからか飛んできたのだろう。私はびっくりし、だが次の瞬間には「フラットに見せよう!」という気持ちに。
「ほらほら、フラット! カマキリだよ!」
 カマキリを目にしたフラットは「何だこれは」みたいな感じでおっかなびっくりそれに向かう。カマキリもびっくりしたのだろう。威嚇の態勢を取った。
 猫vsカマキリ! こ

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黒猫様のお楽しみ vol.6

黒猫様のお楽しみ vol.6

〈扉飛びつき事件〉
 以前、網戸を開けようとしてくれたフラットさん。うわあ上手! そんなことまでできるなんて! すごい! 賢い! 天才! でもダメー! そんなふうに言っていた。
 そこに今度は、扉である。屋内の、よくある、レバー式のやつ。
 ツイッターで回ってくる猫動画などで、レバーに飛びついて開けちゃう猫ちゃんの映像は見たことがあった。だけどしばらく(数ヶ月くらい経っていたかな?)開ける様子もな

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黒猫様のお楽しみ vol.5

黒猫様のお楽しみ vol.5

〈人、激突事件〉
 我が家は一周できる。
 と言うと何だかわからないかもしれないが、風呂場(洗面所)の出入り口が台所側と廊下側にひとつずつあって、そこを通ってぐるっと回ることができるのだ。
 これは猫様の運動にうってつけ。追いかけっこを始めると、上手に室内をぐるぐる回って遊ぶことができる。
 その日もいつものように、「がおー!」と両手を挙げて「追いかけますよ」と合図をすると、フラットは喜んで逃げ始

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黒猫様のお楽しみ vol.4

黒猫様のお楽しみ vol.4

〈夜鳴き事件〉
 やってきたばかりの頃、フラットは夜によく鳴いた。
 低めの大きな声で。アオー、アオー、と。
 馴染んでいるように見えるが、やはり見知らぬ場所は不安なのだろうか。人が寝ちゃうと寂しくてかまってほしいのだろうか。
 初めの内は起きてあやしていた私だが、体力的にしんどいときもある。ベッドから「うんうん」「そうだね」「もう寝ようか」「寝て」などと言うだけで済ますこともあった。済まないんだ

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黒猫様のお楽しみ vol.3

黒猫様のお楽しみ vol.3

〈網戸事件〉
 フラットさんは身体が大きい。となると、力もそこそこ強い。
 換気のためにベランダへのガラス戸を開け、網戸だけにしていたときだった。
 カチャカチャカチャ、と音がする。見ればフラットが器用に網戸を開けようとしているではないか。
「だめー!」
 私が見ているなかでベランダに出るのはかまわないが、勝手に出ることを覚えられては困る。というか勝手に開けられては困る。虫も入るし。
 こういう対

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黒猫様のお楽しみ vol.2

黒猫様のお楽しみ vol.2

〈「ん?」って言う〉
 フラットの特徴。
 大きい。
 みっしりしている。
 尻尾が短い。
 鼻の頭にちょっと傷跡がある。
 ルーズスキンがお腹でふるふるしている。
 「ん?」って言う。
 最後のこれ。本当に、人間が「ん? 何?」って言うみたいに「ん?」って言うんです。最初に聞いたときは可愛すぎて身悶えした。
 何度聞いても可愛すぎて身悶えするんですけどね。
 でも「『ん?』って言ってー?」ってお

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黒猫様のお楽しみ vol.1

黒猫様のお楽しみ vol.1

〈行方不明事件〉
 ピンポーン。チャイムが鳴った。
 はいはーい。一人暮らしのつよーい味方、配送のお兄さんだね!
 いつもの通り荷物を受け取った。もちろん、フラットが出ちゃわないように気をつけて。
 ところが……。
 いない。さっきまでそこにいたのに。
「フラット?」
 返事をしたり、呼んでやってきたりするほどにはまだ慣れていない。
「どこ?」
 隠れる場所なんてないはずだ。ベッドの下は収納だし、

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黒猫様のお楽しみ 序文

黒猫様のお楽しみ 序文

黒猫フラットと暮らした日々のエピソードを綴っています。
突然いなくなってしまったあの子との何でもない日々の思い出たち。分かち合っていただければ幸いです。

 その子がやってきたのは、ある年の夏の夜だった。

 ――数日前、道端で行われていた猫の里親探しを「かわいいなあ」と思いながら眺めていた私は、「いかがですか」と声をかけられた。
 どうもこうもない。私はずっと猫を飼いたくて、暇さえあれば里親探し

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