黒猫様のお楽しみ vol.10
〈芸術家フラット〉
猫の例に漏れず、フラットも箱が大好き。
ぴったりサイズでは寝るし、大きめサイズには飛び込むし、小さめサイズには……チャレンジ精神は弱めらしく、無理に入ろうとはしないけど興味は示す。
気に入って長らく入っていた箱は、あるとき突然、かじり出す。かみちぎってはポイッ、かみちぎってはポイッとして、箱がどんどん小さくなっていく。まるで形作っているようなので、私はこれを「芸術活動」と呼び、「お、芸術してるねー」と呼びかけるようにした。
さすがに飽きてかじりもしなくなったとき、作品は完成する。
で、人はそれを捨てます。フラットも気にしません。
芸術は儚い。
〈虐待じゃないよ〉
箱大好きフラットさん。
大きめの箱に入ったとき、足をしっかり踏ん張っているように見えたので、ちょっと悪戯で揺すってみた。と、箱の中でシュッと滑ることになるんだけど、どうやらそれを楽しんでいるご様子。
「よーし、じゃあ揺らそうか!」
箱をゆさゆさ。ぐるぐる回す。押して廊下をざーっと滑らせる。どうやら猫様は箱に張り付きながら、とても楽しんでいらっしゃる。
が、この遊び、人はものすごく疲れるんだな……重いし……腰もやられそう……。
(飽きたり嫌になったりしたら、いつでもぴょーんと飛び出す(飛び出せる)ので、この遊び、決して虐待ではございませんよ(動画を上げたらそう言われたことがあったので))
〈箱演奏会〉
段ボールで演奏する猫。って言っても意味わからないと思うんですけども。
あるとき、バツン、バツン、と音がしたんです。何だ? と思って振り返るとそこには箱に入ったフラットさん。
うまく説明できるかな……こう……箱のなかに座った状態で、段ボールの開いている部分を弾(はじ)いている。
バツン。バツン。バツン。バツン。
音が楽しいのか、それとも爪の感触が気持ちいいとかなのだろうか。
あるとき、私も一緒にやってみた。同じ箱の別のはじっこを爪で弾いてみたのだ。
タイミングを合わせて、バツン、バツン。フラットも理解したのか、続けてバツン、バツン。
一緒にバツン、バツン。バツン、バツン。うふふ、楽しいね。
猫と人の秘密の演奏会は、フラットの気が向いたときに行われます。
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