2023年2月、スーツ大手のパンフレット比較~AOKI~

洋服の青山は「レディース=ピンク/メンズ=青」から脱却しましたが、AOKIは…


2種のパンフレットと1つのクーポン、いずれも、紙面がハッキリメンズとレディースに分かれており、青とピンクのイメージカラー。
AOKIパンフレット「First Suit Style Book」、「AOKI就活応援RECRUIT STYLE BOOK」、縦長のクーポン。

ハイ!バリバリ「レディース=ピンク/メンズ=青」ですね!


表紙には、メンズ、レディースそれぞれ1人ずつのモデル。青とピンクのイメージカラー。
AOKIパンフレット「AOKI就活応援RECRUIT STYLE BOOK」表紙。

男女二元論、やめてください。

そして、着こなし説明ページ。囲んであるところをご覧ください。あえて「レディース/メンズ」が交差するような色で囲んでみました。

面接で差をつける7つのポイント!と書いてあるページ。メンズとレディースに分かれ、細かく指南されている。詳細は以下の文章参照。
AOKIパンフレット「AOKI就活応援RECRUIT STYLE BOOK」開いて向かって右のページ。

・ボタン、なぜ「レディース」だけ問答無用で全部留めさせるんでしょうか?スカートスーツならまだしも、パンツスーツなら「メンズ」と同様でいいのではないですか?そこまでして体の凹凸を強調させたいのでしょうか。「レディース」の「着丈」が問答無用で短めになっているのも謎ですし、「ウエスト」のところにも、「後ろ姿をキレイに見せるには、ウエストのシェイプがポイント。」と書いてあってとても気持ち悪いです。ウエストがシェイプしている商品があってもいいですが、それを全「レディース」に適用させるのは、不適切ではないですか?「女性」を鑑賞物かなにかと勘違いしているのでしょうか?

・スーツ袖丈について、「メンズ」はシャツが出るように、「レディース」はシャツが出ないようにというのも意味が分かりません。スーツの着こなしとしては、シャツは少し出るようにというのは鉄板のはずですが、「女性」がその着こなしに準じることを何が何でも阻止したいのでしょうか?意地でも「メンズ」と同様の着こなしはさせない!という謎の意志を感じます。

・なぜ「レディース」のみ、ヒール付きの靴なのでしょうか。ヒール付きの靴を履く人がいてもよし、履かない人がいてもよし。なのに、こういう写真には100%ヒールの人ばかりですよね。シンプルに意味が分かりません。 #KuToo  


上段に青いイメージカラーのメンズアイテム、下段にピンクのイメージのレディースアイテム。詳細なポイント解説は下記の文章を参照。
AOKIパンフレット「AOKI就活応援RECRUIT STYLE BOOK」すべてのページを開いて向かって右端のページ。

こちらの商品ラインナップのページにも、「レディース」は、ヒールのない靴が一足もないし……そんなぁ!!一足くらい載せてくれたっていいじゃない!青山は載せてますよ。

「レディース」はストッキングが前提みたいになってること、あと、鞄も、男女二元論で分けられていることにも注目してくださいね。たかが鞄、されど鞄。「レディース」の鞄って、なんだか、シュッとして、肩掛けタイプで、「美しさ」を最優先に考えたような形をしていますよね。どこまで「女性」を鑑賞物にしたいんだろうか。鞄くらい自由に選ばせろ!


メンズ&レディース安心おまとめセット、お好きなコーディネートで選べる!と書いてある。左側にはメンズ8点セット、右側にはレディース5点セット。メンズは、メンズスーツ、ワイシャツ、ネクタイ、シューズまたはバッグ、ベルト、ハンカチ、ソックス、Tシャツまたはトランクス。レディースは、レディススーツ、シャツ、パンプス、バッグ、ストッキング。
AOKIパンフレット「AOKI就活応援RECRUIT STYLE BOOK」裏表紙。

しかも、こうやってセットで売られたら、選びようがないじゃん。「お好きなコーディネートで選べる!」って、選べねーじゃん。ボカシかけたところに「写真はイメージです」って書いてあるけど、例えば、「女性」とされる人が「ネクタイ選びたいです!」「ストッキングの代わりにソックス選びたいです!」「レディススーツじゃなくてメンズスーツ選びたいです!」って言っても、選べるんだろうか……?問い合わせてみようかな。
「強制なんかない!自分で選んでるんだろ!」論者の人たちは、こういうセット売りで、男女二元論に沿ってあるべきスタイルを「選ばされる」環境のことも知ってくださいね。


紙面左側は青いイメージカラーでメンズアイテムと書いてあり、右側にはピンクの配色でレディースアイテムと書いてある。
AOKIパンフレット「First Suit Style Book」中央のページ、見開き。

こちらも見事に男女二元論、偏見に満ちた配色ですね。
上のところに書いてあるキャッチコピーもなんだか偏見を感じる…メンズは「あなたにあった好印象アイテムを見つけよう!」レディースは「上手にコーディネートして、オシャレ度アップ!」と書いてあるけれど、メンズが「上手にコーディネートして、オシャレ度アップ!」でもよいのでは?
そしてなぜネクタイの結び方が「メンズ」セクションにあるのでしょうか。ネクタイはジェンダー問わず誰でも身に付けますが……


AOKIパンフレット「First Suit Style Book」中央のページ、見開き。

そしてこのページの中央。これ酷いですね。「シューズ」と「パンプス」って、カテゴリ名からして違うし。「女性」は鑑賞物として美しくあるべきなので、フラットな革靴は選択肢にない、と。カテゴリ名ですら、「シューズ」というカテゴリ名を与えてもらえない、と。本当に人を馬鹿にしていると思います。 #KuToo  

こちらのキャッチコピーも、比較してみて下さい。

レディーススーツのページ。2人の女性と思しきモデル。
AOKIパンフレット「First Suit Style Book」レディースページを1ページ開いたところ。
レディーススーツのページ。2人の男性と思しきモデル。
AOKIパンフレット「First Suit Style Book」メンズページを1ページ開いたところ。

「レディース」ページには、「新生活のスタートは可愛く華やかに♪」、そして、「メンズ」ページには、「新生活のスタートはスマートな着こなしでフレッシュに!」というキャッチコピー。これ、逆じゃダメですか?「メンズ」が可愛く華やかではダメなんでしょうか?「レディース」が、スマートな着こなしじゃダメなんでしょうか?

こちらも、同じコーナーの「レディース」「メンズ」の比較です。

AOKIパンフレット「First Suit Style Book」。

「バッグ選びのポイントは?」→A4サイズの書類が入ること、自立型がオススメ、という点は一致しているはずなのに、なぜか形が違う。なぜ。
そして、あからさまなのが、ここでも、靴のタイプですね。「シューズ選びのポイントは?」「パンプスの選び方は?」って、女性差別を隠す気なし。しかもご丁寧に、パンプスは、ヒールの高さが3~5cm位のものがオススメです、って。「メンズ」は、「クッション性の高いものがオススメ」って、身体の健康にとってゼロからプラスになることを言ってるのに、「レディース」は、「ヒールの高さが3~5cmのものがオススメ」って、身体の健康にとってゼロからマイナスになることしか言ってない。


AOKIパンフレット「First Suit Style Book」。

こちらの比較もご覧ください。本当に酷いですね。
・「レディース」の「ウエスト」のところ、見てください。「後ろ姿もキレイに見せるにはウエストのくびれがポイントです。」これ、なんで「メンズ」には書いてないんでしょうか?「メンズ」は、ウエストのくびれがポイントではないと?本当に気持ち悪いです。
・「レディース」がヒール前提なのも、「メンズ」と同じ袖丈にさせたくないのも、「ボタン」をすべて留めさせたいのも、「着丈」を短くさせたいのも、「女性」とされる人はすべて、鑑賞物として美しくあるべきという女性差別の表れですよね。なんでこんなに女性差別を隠そうともせず開陳できるんでしょうか。人を馬鹿にするのもいい加減にして頂きたいです。

これは、体験したことのある方は分かる感覚かと思うのですが、自分のジェンダーを一方的に決めつけられたり、「鑑賞物として美しくあれ」といわんばかりの規範を押し付けられたり。自分が自分でなくなるような気がしますよね。尊厳が奪われ、踏みにじられ、馬鹿にされたような気持ちになりますよね。でも、一方で、規範に従えない自分がおかしいんだと思ったり。

でも、これらは全部、明らかな差別です。服飾、アパレル産業、スーツ産業、就活産業に蔓延る差別です。気持ち悪いって思ってもいいし、怒ってもいいし、恨んでもいいし、悲しんでもいいと思います。尊厳を奪われて、踏みにじられたら、怒るのは当たり前です。

私たちは怒っています。こんな風に馬鹿にされて、尊厳を踏みにじられた経験を持つメンバーが集まっています。オンライン署名運動をやっていますが、署名をすることがリスクになる方は、決してご無理をなさらないでください。その代わり、周りに困っている方がいたらこの運動のことを話したり、ハッシュタグ #就活セクシズム をつけてSNSに投稿したりしてみてもいいと思います。でも、無理はなさらないでください。

こんなに不当なことで苦しんでいるのは自分だけじゃないと知るだけでも、生き延びられるかもしれません。

この問題において、学生は最も弱い立場にあります。学生は、何も悪くありません。変わるべきは、就活産業です。差別を今すぐやめるべきは、就活産業です。

P.S. 運動拡散用のチラシやカードもあるので、置いてくれる/周りに配ってくれる個人や団体の方は、下記よりご連絡ください(^ω^)


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