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集英社文庫の公式アカウントです。 書籍紹介やコラム、裏話、連載小説などを発信していきます。 読書の秋!新連載ぞくぞくスタート! 集英社文庫公式サイト:https://bunko.shueisha.co.jp/

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  • 本バカ一代記  ――花の版元・蔦屋重三郎――/吉川 永青

    江戸随一の出版バカ・蔦屋重三郎の生涯を描く、著者渾身の時代小説!

  • 雌鶏/楡 周平

    昭和29年、ナイトクラブ「ニュー・サボイ」で働く貴美子は、上客の鬼頭から京都で占い師として生計を立てないかとスカウトを受ける。服役の過去を持つ貴美子は、そこを足掛かりに次々と成り上がり……。昭和の政治と金を描く大長編。

  • 新 戦国太平記 信玄/海道龍一朗

    戦国の雄・武田信玄。緻密な検証から知られざる実像を明らかにしていく歴史巨編!

  • あなたの隣にある沖縄/澤宮優

    沖縄と県外各所や身近な話題とのリンクを紹介するルポ。より深く沖縄の歴史や文化を理解するヒントを提示。

  • 『梟の一族』続編連載中!/福田和代

    サイエンス×忍者エンターテインメント、新章開幕! 常人離れした身体能力と、眠らない特性を持つ〈梟〉の一族。かつては忍者として歴史の陰に暗躍したが、今や〈梟〉の里は失われ、一族の末裔である史奈も東京で大学生をしている。そんなある日、〈狗〉の一族を名乗る男が現れ――。

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読書の秋。新連載ぞくぞくスタート!

まだまだ残暑が厳しい……というより猛暑まっただなかですが、暦の上ではもう秋。 そう、読書の秋です! というわけで、集英社文庫noteでは小説・エッセイの新連載をぞくぞくスタート! 先行して連載を開始したのは、骨太なサスペンスを数多く生み出してきた福田和代さんのサイエンス×忍者小説『梟の胎動』。令和の忍者のスリリングな活躍をご覧ください! そして、血液のがんと闘いながら、長年あたためてきた構想をついに小説化した花村萬月さんの『海路歴程』。読み手をとらえて離さない中毒性の高い

    • 本バカ一代記 ――花の版元・蔦屋重三郎―― 第二話(下)

      【前回】         *  重三郎と喜三二、北尾の三人は、各々の妓楼を回って女郎たちを花に見立てていった。  武士の心をくすぐるための本ゆえ、見立ては喜三二が行なう。重三郎と北尾は、それが見当外れと思う時にのみ異を唱える。もっとも喜三二は本当の粋人ゆえ、二人の出番はないに等しかった。  喜三二が見立てた各々の花は、北尾の筆で活け花の体裁に描かれてゆく。これを版に彫って刷り上げ、綴じてゆく。  そして、五ヵ月ほどが過ぎた。  安永三年七月初旬、蔦屋耕書堂に本の包みが届く

      • noteにて連載スタート!「雌鶏」第一章~第四章はこちらから

        皆さんこんにちは。 web集英社文庫にて連載しておりました楡 周平さん「雌鶏」が noteにお引越し! バックナンバーは以前のページでお読みいただけます。 以下のリンクからご覧ください! 【第一章】 【第一章2】 【第一章3】 【第二章】 【第二章2】 【第三章】 【第三章2】 【第三章3】 【第四章】 今後の更新もお楽しみに!

        • 集英社文庫のWebサイトが新しくなりました!

          みなさんこんにちは。 集英社文庫noteです。 突然ですが先日、集英社文庫のWebサイトがリニューアルオープンしました! 以前のWeb集英社文庫に比べて見やすくなったり、新しい機能が増えたり。 いろいろとパワーアップしましたのでこちらの記事では詳しくご紹介させていただきます。 まずはTOPページから。 アクセスすると日めくりよまにゃや、各作品のバナーがお出迎え。 こちらは以前と同じくなのですが、サイズがUPして読みやすくなりました。 また、「新刊情報」にもアクセスしや

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        【期間限定公開】 なぜ「スプラッシュマウンテン」はリニューアルすることになったのか

        【第5回】セーヌ川通信――変わらないパリ、変わりゆくパリ パリ在住50年の翻訳家・吉田恒雄が綴るフランスでの日々

        こんにちは、集英社文庫編集部です。

        【第1回】セーヌ川通信――変わらないパリ、変わりゆくパリ パリ在住50年の翻訳家・吉田恒雄が綴るフランスでの日々

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        • 本バカ一代記  ――花の版元・蔦屋重三郎――/吉川 永青
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        • 雌鶏/楡 周平
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        • 新 戦国太平記 信玄/海道龍一朗
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        • あなたの隣にある沖縄/澤宮優
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        • 『梟の一族』続編連載中!/福田和代
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        • 営業担当のオススメ!
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          本バカ一代記 ――花の版元・蔦屋重三郎―― 第二話(中)

          【前回】         * 「ごめんよ。お父っつぁんに呼ばれて来たんだが」  重三郎は尾張屋の玄関で声を上げた。すぐに見世の若い者が出て来る。 「こりゃ重三郎さん。旦那、もう部屋でお待ちですよ」 「そうかい。ああ、案内はいらないよ」  大門の外、次郎兵衛の茶屋で寝起きしているが、ここは勝手を知った実家である。玄関から上がってすぐの帳場を抜け、八間(一間は約一・八メートル)ほどの廊下を進めば養父・利兵衛の使う一室であった。 「お父っつぁん。重三郎です」 「おお、入んな」

          本バカ一代記 ――花の版元・蔦屋重三郎―― 第二話(中)

          新刊のご案内【集英社文庫11月刊】

          みなさんこんにちは。 集英社文庫noteです。 いよいよ本格的に寒さが増し、冬の到来ですね。 各地ではイルミネーションなども始まり、もうそんな時期?!と驚くばかり。 でも、この季節の街の雰囲気はなんだか楽しそうです。 寒さに負けず、みなさんもご自愛ください。 さて、11月17日に集英社文庫の11月刊が刊行されました。 今月は10作品。 心温まる作品から、ワクワクするような作品、命と向き合うことを考えさせられる作品まで。 盛りだくさんなラインナップです! こちらの記事では、

          新刊のご案内【集英社文庫11月刊】

          新 戦国太平記 信玄 第七章 新波到来(しんぱとうらい)7 (下)/海道龍一朗

           一方、先に館を出ていた飯富昌景は、元城屋町の屋敷で叔父と対峙していた。 「叔父上、夜分遅くにお訪ねし、申し訳ござりませぬ」 「どうせ、眠れぬ夜を過ごしていたのだ。構わぬ」  飯富虎昌は俯き加減で力なく笑う。 「源四郎、そなたがかような時刻に来たということは、すでに御屋形様へすべてを打ち明けてしまったということであるな?」 「さようにござりまする」  昌景は胸元から何かを取り出し、叔父に差し出す。  錦袋に包まれた短刀だった。 「叔父上、この身を裏切者とお思いになるのならば、

          新 戦国太平記 信玄 第七章 新波到来(しんぱとうらい)7 (下)/海道龍一朗

          新 戦国太平記 信玄 第七章 新波到来(しんぱとうらい)7 (上)/海道龍一朗

             八十五    三好一派が公方、足利 義輝を弑逆。  その耳を疑うような一報は、躑躅ヶ崎館にも届いていた。  ――義輝殿が三好に御所巻されたか……。  信玄は半眼の相で灯火を見つめながら思案にくれる。  ――新第招待の御教書もこちらに届いており、そろそろ上洛を考える頃合いかと思うていたが、当人の首が落ちてしまったのでは、御披露目どころの騒ぎではあるまい。確か、義輝殿には僧籍にはいった実弟がいたはずだが、無事なのであろうか。ともかく、三好が次に誰を担ぎ上げるつもりかも含め

          新 戦国太平記 信玄 第七章 新波到来(しんぱとうらい)7 (上)/海道龍一朗

          あなたの隣にある沖縄 第9回 海の底にいる子供たちへ~「対馬丸事件」を追う~/澤宮 優

           今も不明な点だらけの対馬丸事件  那覇港に近い那覇市若狭(わかさ)に巨大な白い船をイメージした2階建ての建物がある。これが昭和19年8月に米軍潜水艦によって撃沈され多くの子供たちが犠牲になった疎開船「対馬丸事件」の記念館である。ここには乗船した人の遺品や写真、関係資料が展示されている。この記念館は事件から60年経った平成16年に、犠牲者の鎮魂と、事件を正しく後世へ伝えるため、子供たちに平和と命の尊さを伝え、未来に継承するために開館された。  対馬丸は学童疎開船のイメージが強

          あなたの隣にある沖縄 第9回 海の底にいる子供たちへ~「対馬丸事件」を追う~/澤宮 優

          『春、戻る』(瀬尾まいこ/著)をオススメ!

          「僕の妹の名前は望月さくら。三十六歳、誕生日は十二月二十七日だ。冬生まれなのにさくらって名前なんだよね。すごく音痴で、牛乳が飲めない。僕は妹のこと、こんなに覚えてる。お兄ちゃんの名前くらいそろそろ思い出したっていいだろう?」「さくら、結婚のこと何も言ってくれないだろう。それの文句を言いにきたんだ」  年下で見ず知らずの24歳男子が突然現れ、自分の兄だと名乗り、個人情報や好き嫌い、果ては結婚することまで何故か知っている。あり得ない場面から物語はスタートします。「もしや?」と思

          『春、戻る』(瀬尾まいこ/著)をオススメ!

          本バカ一代記 ――花の版元・蔦屋重三郎―― 第二話(上)

           吉原には大小合わせて二百ほどの妓楼があった。重三郎が本を貸す客は、そこに暮らす女郎や若い男衆である。全てが遊里の中にいるため貸し歩きはしやすいが、その分だけ一日で回る見世も多くなりがちである。 「やれやれ。つい遅くなっちまった」  貸し歩きを終えて戻る道中であった、安永二年(一七七三)正月十五日、新春の日はまだそこまで長くない。各々の妓楼からは既に明かりが漏れているし、見世先の灯籠にも火が入り始めている。少し南から浅草 寺の鐘が渡り、暮れ六つの正刻(十八時)を報せた。 「い

          本バカ一代記 ――花の版元・蔦屋重三郎―― 第二話(上)

          noteにお引越し!「新 戦国太平記 信玄」バックナンバーはこちらから

          皆さんこんにちは。 Web集英社文庫にて連載しておりました、海道龍一朗さん「新 戦国太平記 信玄」がnoteにお引越し! バックナンバーは以前のページでご覧いただけます。 各話へは以下から。 【第一章 初陣立志】 【第一章 初陣立志2】 【第一章 初陣立志3】 【第一章 初陣立志4】 【第一章 初陣立志5】 【第一章 初陣立志6】 【第一章 初陣立志7】 【第一章 初陣立志8】 【第一章 初陣立志9】 【第一章 初陣立志10】 【第一章 初陣立志11】

          noteにお引越し!「新 戦国太平記 信玄」バックナンバーはこちらから

          noteにお引越し!「あなたの隣にある沖縄」プロローグ~第8回まではこちら

          皆さんこんにちは。 Web集英社文庫にて連載しておりました、澤宮優さん「あなたの隣にある沖縄」がnoteにお引越し! プロローグから第8回までは以前のページでご覧いただけます。 各回へは以下から。 【プロローグ ブーゲンビリアと「星の砂」】 【1. ウルトラマンは沖縄からやってきた】 【2. 本土復帰はしたけれど ──二つの碑文に込められた思い】 【3.集団就職とがじゅまるの会】 【4.演劇「人類館事件」が訴えるもの】 【5.奪われた故郷──嘉手納飛行場にあった村

          noteにお引越し!「あなたの隣にある沖縄」プロローグ~第8回まではこちら

          海路歴程 第三回<下>/花村萬月

          .      *  目覚めると、顔の上に冷たい手拭いが載っていた。昨夜から女房がこまめに替えてくれていたのは、薄ぼんやり覚えている。  十右衛門は、起きあがった。  かろうじて陽の光の這入るあたりで女房が縫い物をしていた。 「兄貴は?」 「今日の荷は軽いはずだとか吐かして、ほいほい出てったよ」 「おいてけぼりか──」 「あんな乱暴者が好きかい?」 「はい」  間髪を容れず返事をした十右衛門を、女はじっと見つめると、吹きだした。 「笑うことは、ねえでしょう」 「そうだね、ごめ

          海路歴程 第三回<下>/花村萬月

          本バカ一代記 ――花の版元・蔦屋重三郎―― 第一話(下)

          【前回】         *  四日後、重三郎は北尾重政に連れられて鱗形屋を訪ねた。十畳敷きの応接間に通され、この版元の主・孫兵衛を待っている。  やがて障子の外の廊下に円やかな声が聞こえた。何やら指図しているらしい。それが消えると障子がすっと開き、五十絡みの丸顔がにこやかに入って来た。これが鱗形屋孫兵衛か。 「どうも北尾さん。お待たせしてすまないね」 「いえ。こっちこそ急にすみません」  二人が挨拶を交わす中で、丸顔と目が合った。重三郎が静かに会釈すると、向こうは少し怪

          本バカ一代記 ――花の版元・蔦屋重三郎―― 第一話(下)

          海路歴程 第三回<上>/花村萬月

          .      02    あったりき、  しゃりき、  くっるまひきぃ~。    煤で黒く染まって金気漂う建屋から、威勢のいい胴間声が響いた。  禁裏御鑄物師の大仰な幟がはためく真継家配下の鑄物師の仕事場である。  十右衛門は滋養が足りずに荒れ果て罅割れた唇を歪める。  俺は、その車力で車曳きだよ──と吐き棄てる。  いや、車曳きではない。  曳いてない。押しているだけだ。  車力の一番下っ端、後押にすぎない。  泥濘に足を取られつつ、自嘲気味に全力で力車を押す。  職人町を

          海路歴程 第三回<上>/花村萬月