写楽斎

坂道グループから着想した、色んなものを書いています。 作品はpixivとPrivatt…

写楽斎

坂道グループから着想した、色んなものを書いています。 作品はpixivとPrivatter、X(Twitter)でも公開しています。 ちなみに最推しはPerfumeです。

マガジン

  • 1000文字以内シリーズ

    X(Twitter)に投稿した1000文字以内の短編をまとめました。

  • 中編まとめ

    中編をまとめています。

  • Squawk77

    鈴木絢音ちゃんを、絢音ちゃんも大好きな飛行機ネタで書いてみました。 文章の特性上、専門用語が多数出てきます。 飛行機をあまりよく知らないという方向けに、解説を用意しています。 一緒に見ながら、本編をお読みいただければ幸いです。

最近の記事

「良妻賢母」

『楽しかったねー!』 手を繋いで歩く、久々の2人っきりのデートの帰り道。 『ねぇ、晩ご飯、何にしようか?』 「うーん。何でもいいかなー」 『困るんだけど、そーいうーの』 ほっぺたを膨らませて怒る璃花。 正直、かわいいが先行してしまう。 「ごめんごめん。じゃあ、オムライスで。」 『わかった。いつものように作るね!』 俺の好きな甘めの味付け。 それは、近所の親戚に預けていた、 娘も同じ嗜好で。 『ご飯出来たよー!』 『はい、あーん』 娘にご飯を食べさせ

    • スヴェート

      「(1分)27秒315」 "もう少し削れるとは思うけど、ちょっとアンダー気味かなー" "あと、トラクションが思ったよりかからない" 「了解。2周後にピットインね」 2周後、ピットに白色のポルシェが帰ってきた。 サイドには、<99>のゼッケンナンバーとアニメのキャラクターが描かれている。 俺の好きな、というか 正確に言うと、俺の好きな声優さんが 生徒役の1人を務めているアニメだから、 コラボの話を会議で聞いた時は、 机の下で、こっそりガッツポーズしたのを覚え

      • ダ・カーポ

        『いただきまーす!』 2人で学食のランチを食べる。 凪紗は日替わりランチのAセット、オムライスとサラダ。 俺は、ラーメンと半チャーハンのセット。 2人、向かい合って席に座る。 「そういえばさ、凪紗って、いっつも日替わりランチ選ぶよね」 『だってほとんど毎日通うんだよ?』 『同じメニューだとつまんないじゃん』 「なに?それは毎回ラーメン選ぶ俺に対する当てつけ?」 『違うよ違うよ!好みの違いってだけ』 慌てて否定する凪紗。 「冗談だよ、冗談。わかってるって」

        • 「モチベーション」

          「おい…何だよこれ…」 美羽のテストに書かれた×の数々。 『しょうがないじゃーん。』 『これでも教えてもらったこと全部覚えたし』 「覚えても発揮できなきゃ意味無いんだよ」 「全く…」 「んで、補習の範囲、どこ?」 『えーと、ここからー』 俺は、大きくため息をついて、 美羽と一緒に、課題に向き合った。 大きく背伸びをする。 「やっと一息つけるな」 「ちょっと、飲み物とってくる」 テストで衝撃的な点数を叩き出すたびに いつも彼は、

        「良妻賢母」

        マガジン

        • 1000文字以内シリーズ
          22本
        • 中編まとめ
          20本
        • Squawk77
          2本

        記事

          最後の桜と、最初のサクラ。

          春。 それは、出会いと別れの季節。 その季節に、必ずと言っていいほど存在するのが <旅立ち>。 そして僕らにも、その季節がやってきた。 卒業式まで、あと数日。 このバス停から、2人で帰るのも あと何回あるか。 最終のバスを、 小さな待合室のベンチに並んで座り やってくるのを待つ。 暖かくなってきたとはいえ、 まだ夜風は冷たいはず。 でも、僕らの中には、 その寒さは、感じられなかった。 『ありがと』 玲が突然、口を開いた。 「え?」 『東京に

          最後の桜と、最初のサクラ。

          僕にとっての、パーフェクトスター

          "パーフェクトスター" 文化祭の舞台の上で、左手でマイクを持ち 右手の小指を立て、大きく上に掲げる理々杏。 そう。 僕にとっては 彼女は「パーフェクトなスター」だった。 表舞台に立てば、沢山の声援を浴びる。 どんなに辛い時でも笑顔を忘れないし、 影では地道な努力も欠かさない。 彼女の周りには、いつも人が溢れていた。 そんな彼女に、憧れや密かな想いを持つ人も 少なくなかった。 かくいう幼馴染の僕も、その1人だった。 僕も理々杏も、両親は柵の中で働いていて、 家

          僕にとっての、パーフェクトスター

          「初めての旅行」

          『ねぇ、ほんまにこの近くで合ってるん…?』 「うん…たぶん…」 『なんやねんその返し、不安になるやん』 僕たちは、迷っていた。 というか、地図アプリを信用できなかった。 瞳月の住む京都、僕が移り住んできた大阪から約3時間。 福岡は、初めての旅行先としては 悪くない選択肢だった。 観光地もあるが、何よりご飯がおいしい。 特に、ラーメンが大好物な瞳月にとって 福岡は、夢のような土地だったに違いない。 そんな僕らは、あるお店を探していた。 平日の真っ昼間とはい

          「初めての旅行」

          「願いを込めて」

          2人で一緒に、電車に揺られる。 僕らが目指すのは、学問で有名な総本宮。 それ故に、乗り換えた電車の中は、 制服を着た学生と、外国人でいっぱいだ。 すると、突然英語で優月に話しかけてくる人が。 どうやら、行き方を聞きたいらしい。 勉強のできない僕には、さっぱり理解できないが 流暢に話す優月は、流石だな、と思った。 電車を降り、駅を出ると 参道には多くの人が。 はぐれないよう、手を繋いで歩く。 名物の梅が枝餅を筆頭に、 沢山のお店が並んでいる。 『ねぇー

          「願いを込めて」

          「イメージチェンジ」

          今まで、ずっと黒髪ロングを貫き通してきた光莉。 その髪を大胆に切って、髪を染めた。 髪の毛を大きく切るのは 心境の変化、とよく言うけれど 光莉は、心境というより、 性格が変わった気がする。 これまでの光莉は、どちらかというと 大人しくて、温かくて、優しい印象だった。 でも今は、明るくなった。 しかも、温かさと、優しさを引き継いだまま。 「ねぇ、一緒に行こ!」 僕と光莉を繋ぐ手は、 静かについてくるのを引く方から 引かれる方に変わった。 けど、光莉の

          「イメージチェンジ」

          「たまに帰ってきた日には」

          「うわぁ…綺麗」 初めて見る福岡の風景は、気持ちいいものだった。 眼下に広がる、にぎやかな街並み。 少し見る方向を変えれば、穏やかな海が広がっている。 『ほら、あそこ!』 「ん?どこどこ?」 『あれだよ、あの小さな島』 祐希が指差したのは、陸続きの小さな島。 彼女の、故郷だ。 雨上がり故に、少し霞んで見えてしまっているのが残念だ。 「でも、来れて良かった」 『そう?嬉しい』 「でもさ、帰らなくて良かったの?実家」 『うん、別にいい』 『だって、実家

          「たまに帰ってきた日には」

          忘れない、ということ

          「やっほー」 「どう?そっちは?」 『相変わらず寒い。しかも昨日は雪もちらついたし』 「えー、そう言われると、帰るのおっくうになっちゃうなぁー」 『そんなこと言うなよ。俺達、何ヶ月会ってないよ』 『璃果が突然東京へ出向、ってなってから。』 「そうだけどさー」 『で、帰れるのはいつ頃?』 「んー、4月入ってからかなぁー」 『やっぱそっか。年度末だし流石に厳しいか…』 「うん…」 何とも言えない沈黙が流れる。 『まぁ、なるべく早く帰ってきな。』 「うん、わ

          忘れない、ということ

          「ベタカタ、ネギ多め」

          美青に連れられて入ったのは、 アーケードの中にある、カウンターだけのお店。 店内は、いかにも地元の人、といった感じの常連と 観光客が入り混じっている。 こういう風なお店は初めて。 知識のない俺が困惑していると 「替え玉は?いる?」 『うーん、今はいいかな』 「じゃ、700円」 美青にお金を渡すと スムーズな手つきで、券売機を操作する。 "ラーメン"と書かれた食券を美青から渡されると 『麺の硬さは?』 「硬めかな」 『わかった』 そう言って、美青は

          「ベタカタ、ネギ多め」

          「私のこだわり」

          私と彼のデートには、決め事がある。 デートする日の服は、事前に彼に目を通してもらう。 前日のLINEの締めは、「また明日」 手を繋ぐ時は、必ず私から。 デートのお金は、[お昼]を除いて 必ず折半。 そして、お昼は必ず、お寿司屋さん。 回らないお寿司屋さんに入る。 カウンターに二人、並んで座る。 頼むのは、特上握り。 そのお店の、一番だから。 運ばれてきたお寿司で 一番最初に食べるのは、光り物。 シャリの赤酢と、適度に脂の乗った身 爽やかな味わいが駆け抜

          「私のこだわり」

          「乗り越えて」

          「おはよ」 『おはよう、万理華』 付き合いたての頃とは違って 短い髪が長くなったのが 時の長さを感じさせる。 僕らの下にやってきた小さな生命は、 今、万理華の中で、健やかに育んでいる。 『万理華は、すっかりお母さんの顔だな』 「そうかな?」 そう言って万理華は、 キャンバスの上に、色を重ねていく。 『何書いてるの?』 「今の私、かな?」 キャンバスには、柔らかな表情をした 女性が1人。 その周りには、様々な色が彩られている。 「これはね、私の歴史。

          「乗り越えて」

          「女友達と俺の家で宅飲みをして」

          『うぅん…』 茉里乃は、こたつの上の机に突っ伏したまま、 浅い眠りについている。 茉里乃の横には、ハイボール缶が数本。 「全く…柄にもなくハイボールなんか飲むから…」 酒の弱い茉里乃だが、この日はよほどストレスが溜まっていたのか ハイペースで酒を煽っていたら、1時間でこの有様だ。 俺はため息をついて、茉里乃に連れられてやってきた陽世に 「なぁ、茉里乃を家まで送ってってくれないか?」 "えーやだよー。まりのんの家、ただでさえ遠いのに、 送ってったら終電なくなるじゃ

          「女友達と俺の家で宅飲みをして」

          「野生」

          「にゃー!」 仕事を終えて家に帰ってくると、 天が、黒猫になっていた。 『天、何やってんの?』 「だって、今日は猫の日だよ?」 「じゃあ、猫になるしかないじゃん!」 いや、何故そうなる。 「だからさぁー、今日はぁー」 「たっぷり甘えさせてね」 まぁ、振り回されるのはいつものことだ。 ここは、付き合ってあげよう。 「はい、じゃあこれつけて」 天の右手には、茶色い猫耳カチューシャが。 『え、本当に??』 「これでイチャイチャしようよぉ~」 「その方が、

          「野生」