「2日違い」
『はい、これ。』
『誕生日、おめでとう。』
「じゃあ俺からも。」
「誕生日おめでとう。怜奈。」
生年月日が2日違いの俺達は、
俺の誕生日に、こうやって
お互いの誕生日を一緒に祝うのが習慣だ。
プレゼントも、事前に聞き合った
お互いの欲しいものを交換する。
付き合いたての頃は、
日付通りにケーキを食べたり、
お祝いをしていたけど
『もう、面倒くさいから一緒にしない?』
『1日置きにケーキ食べるのも、正直、胃がもたれるし』
という怜奈の一声で、そうなった。
怜奈は変なところでドライというか、
頭が良い故に、効率を求める所がある。
まぁ、本人が満足しているなら
問題はないけど。
でも正直、不安はあった。
だから、思い切ってぶつけてみることにした。
「怜奈ってさ、クールなところがあるじゃん?」
『まぁ、確かに。』
「昔は違ったけどさ、恋愛に対して、ガッとならなくなったっていうか」
「そういうのを表に出さなくなったじゃん」
「だからさ、不安にならないのかなって」
『何が?』
「もしもだよ、もしも。」
「互いにそういうのを出さなくなって、気持ちが離れたりするかも、とか思ったことないのかなーって。」
『うーん。』
怜奈はしばらく考えて、
『ないかな。』
「なんで?」
『もちろん、お互いに恋することは大事だと思うよ、私も。』
『でもさ、私はサステナブルな関係性であり続ける方がいいな。』
「サステナブル?」
「持続可能、ってこと?」
『そう。』
『例えば』
『燃え上がるような一瞬の恋より、焚き火のようにゆっくりと続く、永遠の愛。』
『選ぶとしたら、私は後者の方がいいな。』
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