きんぴら大根に秋のなみだ
冷気を逃がさないためじゃなくて暖気を閉じ込めるためにドアを確認したとき、秋の香りがした。金木犀の甘いにおいじゃなくて、秋雨前線のじっとりしたにおいじゃなくて、自分だけが気がつく秋の香り。ああ、秋だ。だれにも伝わらない香りを噛みしめて、木枯らし色のブーツに足を入れた。
第六感、っていうのは結構あなどれないものだと思う。幽霊とかスピリチュアルとか占いとかそういうのじゃなくて、自分の勘のほう。今日はうまくいきそうだな。このお店よさそう。こっちの道から行ってみよう。こういう良い勘は