飯野 司瀬

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【小説】 超能力ノート (4)

 吉野は後悔の念に苛まれていた。テレパシーを使えるのに、中条教授の殺意を見抜くことができなかったからである。たしかに、あの日は何かが変だった。何かもやもやしてい…

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2年前
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【小説】 超能力ノート (3)

 事件の後、『日本の超能力者』は爆発的に売れた。  超能力に半信半疑だった人も、著者のみならず関係者が死んだことで、この本には危険な事実が書かれているのではない…

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2年前
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【小説】 超能力ノート (2)

 しかし、本が売れ始めた頃、世間を震撼させるような事件が起こった。  5月25日、金曜日の夕方、中条教授は埼玉県所沢市にある超心理学研究所に顔を見せ、研究所の職員…

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【小説】 超能力ノート (1)

「日本には多くの超能力者がいる」  有名私立大学で物理学を教えている中条教授が書いた『日本の超能力者』の内容は驚くべきもので、日本国内に住む超能力者の存在につい…

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【小説】 超能力ノート (4)

【小説】 超能力ノート (4)

 吉野は後悔の念に苛まれていた。テレパシーを使えるのに、中条教授の殺意を見抜くことができなかったからである。たしかに、あの日は何かが変だった。何かもやもやしていて、研究所に教授が現れた時は、灰色の海でも見ているような心地になった。寒々しく、茫洋としていて、むなしい感触だ。もしかしたら、ドミネーションにかけられた状態だとテレパシーが通用しないのかもしれない、と吉野は後になって考えた。

 捜査陣は超

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【小説】 超能力ノート (3)

【小説】 超能力ノート (3)

 事件の後、『日本の超能力者』は爆発的に売れた。

 超能力に半信半疑だった人も、著者のみならず関係者が死んだことで、この本には危険な事実が書かれているのではないかと考えるようになり、手に取り始めたのだ。

 マスコミはある可能性に期待を寄せていた。過去に研究所を訪れた超能力者たちが名乗り出ることである。彼もしくは彼女はどうしようか迷っているかもしれない。ある出版社は、個人の秘密を守ることを前提に

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【小説】 超能力ノート (2)

【小説】 超能力ノート (2)

 しかし、本が売れ始めた頃、世間を震撼させるような事件が起こった。

 5月25日、金曜日の夕方、中条教授は埼玉県所沢市にある超心理学研究所に顔を見せ、研究所の職員と共に、本が1万部売れたことを祝って乾杯をした。教授は2人の警備員にも「ぜひ一緒に」と声をかけた。その後、ビールやソフトドリンクを飲んだ全員が血を吐いて悶え苦しんだ。教授はそれを尻目にパソコンで作業した後、コピー用紙に「私がやりました。

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【小説】 超能力ノート (1)

【小説】 超能力ノート (1)

「日本には多くの超能力者がいる」

 有名私立大学で物理学を教えている中条教授が書いた『日本の超能力者』の内容は驚くべきもので、日本国内に住む超能力者の存在について、これまで存在したどの文献にも見られないほど具体的に記されていた。そのことがインフルエンサーたちによってSNSで紹介されると、大きな反響を呼んだ。

 教授は物理学者として活動するかたわら、35年前に超心理学研究所を設立し、超能力者たち

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