【小説】 超能力ノート (4)
吉野は後悔の念に苛まれていた。テレパシーを使えるのに、中条教授の殺意を見抜くことができなかったからである。たしかに、あの日は何かが変だった。何かもやもやしていて、研究所に教授が現れた時は、灰色の海でも見ているような心地になった。寒々しく、茫洋としていて、むなしい感触だ。もしかしたら、ドミネーションにかけられた状態だとテレパシーが通用しないのかもしれない、と吉野は後になって考えた。
捜査陣は超能力者の関与について懐疑的だったが、300冊のノートを奪った者がいると仮定し、捜