白練

しろねり。

白練

しろねり。

最近の記事

少なくとも長所

2月17日(土) 5:30に部屋を出て、ピアノの練習に行った。先週の同じ時間より少し明るく、格段に暖かくなっていた。2時間ピアノを練習する。練習している曲の3分の2くらいをさらった。帰りに音源を聴くと、練習している速さより圧倒的に速かった。この答え合わせが好きだ。 午後、舞台を観に行く。映像と照明がリッチに使われていた。身体表現の取り扱いが好みだった。全体的に表現方法が興味深い舞台だった。 レコード店で、母が好きなバンドのレコードを発見した。そのバンドのレコードを探すよ

    • カウントダウン

      12月21日(木) まずい残業時間になっていることに気がついた。どうりで最近疲れているし、気が落ちているわけである。 夕食はしめじと冷凍餃子のスープ、ふりかけご飯のつもりだったが、包丁でしめじの石づきを切り落とすことさえ嫌だった。しかし、外出と皿洗いはできそうだった。したがって、母が送ってきた袋麺を食べることにした。 コンビニでチャーシューと煮卵を買う。メンマがなかったが、コンビニ内で最も立派なチャーシューを買うことで代わりとした。念のためアイスも買った。 麺を茹でな

      • 500文字の日記

        身体のあちこちで細い隙間風が吹いているようで、でもどこに隙間があるのかわからないから、塞げない。他人の言葉が欲しくて、SNSを見たり本を読んだり音楽やラジオを聴いたりしている。ある程度埋まる。でも少し経つと、また隙間風が吹き出す。ずっと眠っていたい。いつも昼休みの昼寝は20分くらいで目が覚めるのに、最近は30分以上眠ってしまう。いつも日曜の夜に食べるために買うアイスを、買ってその日のうちに食べてしまう。疲れているのか? 残業は減らしている方なんだけど。仕事がいつも不安だからか

        • 明滅

          最近1つ関係を失った。今はいろいろ考えていても、いずれ考えなくなる。思い出さなくなる。忘れることはないかもしれないが、思い出さなければ、なかったことと同じだ。どんなことも時間がならしていくとわかってしまってから、私は全然落ちこまなくなってしまった。地平線が見える荒野に突っ立って、時折吹く乾燥した風に目を細めるような。 関係を1つ失ったことにより、私は得難い分野の経験値を多く得た。したがって、今は小説を読むことが非常に楽しい。手持ちのすでに何度も読んでいる小説を一通り読み直し

        少なくとも長所

          愛しているだけ

          8月28日(月) 月曜朝の起き渋り。なんとかかんとかごみを出す。朝食は食べなかった。朝食は食べなくても平気だが、便秘になる。 大きめの平たい虫がなぜか網戸の内側に入ってきていた。なんとかかんとか外に逃がすことに成功した。虫を見つけても悲鳴も上げずに淡々と迅速に逃がすか殺すかできるようになって、大人になったものだと思う。 9月からさつまいものフラペチーノだよ、という通知が来た。スイカのフラペチーノを終わる前に飲んでみたい。全然スタバに寄る機会がない。 C-C-Bの『Lu

          愛しているだけ

          死ななきゃいい

          8月21日(月) 夏休み明け。どうせ起きられぬと昨夜から諦めていた。したがって、9時直前に起床即会社PC立ち上げと決めていた。変にのろのろするより、決め打ちで寝坊したほうが気持ちが良い。仕事も今日はゆるく~と決めていた。思いのほか仕事がなんとかなり、滑り出しはまずまずである。死ななきゃ、いい。 デラウェアを一粒一粒神妙に食べる。これは雑に食べることができない。枝豆は歯で豆を出すことでかろうじて雑に食べることができるが、デラウェアは万人が等しく丁寧にならなければならない。変

          死ななきゃいい

          終わっていく夏

          8月7日(月) 昼、外出しようとして玄関のドアを開けた。すると、通路の端に見慣れぬ物体が落ちているのを見た。茶色の羽毛の塊である。しばらく見ていても動かないし、随分毛羽立っていることから、死んだ鳩だと思われた。私は一度ドアを閉じた。落ち着く必要があった。まずは外出し、当初の予定を済ませ、帰宅してからしかるべき役所に連絡しよう。よし、と頷いてから再びドアを開けるとその死んだと思っていた鳩が突然飛び立ったので急いでもう一度ドアを閉めた。 夜、外出から戻ってきて自宅へ続く通路(

          終わっていく夏

          生活していく

          6月19日(月) 桜桃忌。 傷つけないように慎重に言葉と語気を選んで励まされながら仕事を催促された。そっちがその気なら3時間睡眠でやってやるよ。 6月20日(火) 結局5時間寝た。 昼食はコンビニでも行こうと思っていたが、全然外に出る気にならなかった。冷凍うどんを温め、醤油をふた回しくらいかけてみた。一応冷凍うどんの袋には讃岐うどんだと書いてある。なるほど、醤油はだし醤油のほうがよい。冷蔵庫に寿司用のだし醤油の小袋が1つあるので、明日はそれを試してみる。 定時を過

          生活していく

          好きな人だけ

          6月12日(月) 丸一日雨で、洗濯物が乾かなかった。 私にとって話している内容が全然わからない人がいて、今日もその人が何を話しているのか全然わからなかった。話の組み立て方がたぶん私と真逆なのだと思う。 なすびの煮浸しを作った。煮る前に多めの油で皮目から焼くことでなすびがとろとろになり、おいしかった。 飛行機が高いところを飛んでいく音がした。この部屋は静かだ。 6月13日(火) 昨日のなすびの煮浸しとその汁を冷やしうどんにかけて食べた。これをすると夏が来たと思う。梅

          好きな人だけ

          伊豆日記

          これは私と恋人が2泊3日で伊豆半島の東側を旅した日記である。 3月18日(土) 恋人と伊豆半島に出かけた。熱海駅で降りると、その人の多さに引いた。我々は並ぶ根性が一切ない。熱海駅周辺で適当に昼食とする予定だったが、適当に蒸したての温泉まんじゅうを食べるにとどまった。黒糖味でおいしかった。 レンタカーでどんどん南下した。伊豆半島の南端付近が目的地だった。ずっと海岸沿いを走った。砂浜のところもあれば岩場のところもあり、それはすなわち、平坦な道と山道が交互に現れることを意味し

          伊豆日記

          うっすら幸せ

          3月12日(日) デコポンがあまりにおいしくて、どうして……? と思いながら食べていた。どうもこうもないけど、なんかちょっともう、わからないくらいおいしかった。 今日観た映画:『東南角部屋二階の女』2008年 引き当てた、と思った。いつもAmazon Primeで適当な映画を探すのだが、好ましい映画を見つけるまでに15分かそれ以上かかる。なお面白くないときもざらにある。今日観た映画は、したがって大変な幸運を噛みしめることになった。長いインスタレーションのような映画だった。

          うっすら幸せ

          慎ましくあれ

          3月5日(日) いつもより目が覚める時間が1時間遅かった。起き抜けに恐ろしいことを思い出した。もうどうしようもないことで、あとは運次第だ。思い出しては心臓がヒュッと縮まった。運の良し悪しは月曜日の朝に判明する。 11時くらいまで布団にくるまり、眠ったりSNSを見たりした。このようなことはたまにある。疲れているのだろうと思った。しかしこの疲れは昨日までの楽しさによるものだから、気分は悪くなかった。昨日は友達と全力で遊んで、全力で楽しんだ。その証明の今日だった。寝転がりながら

          慎ましくあれ

          手紙

           冬の花が好きで、先日新宿御苑に水仙を見に行きました。よくそこらに咲いている、中心が黄色の二ホンスイセンと、ペーパーホワイトという青白い水仙がありました。どちらも見ごろで、茎の先端に花が四つも五つも咲いていて、毬のようでした。  近所にも水仙がいくつか咲いています。花はいつも懸命にお日様を追いかけているので、花に対して北側にある自室の窓からは花の背中を見ることになります。朝、その水仙たちを見るのが好きです。昼、吹きすさぶ寒風に煽られ、夕方には斜めになってうなだれていても、どう

          ずるずる

          1月2日(月) 就職してから、祖母と会話をすると必ず「家庭を持ち、子どもを育てよ」と言う話に帰着するようになってしまった。精神的にも肉体的にもできないことではない。私はできることをしないことで、好きな人の願いを捨てなければならない。「大切なものが多すぎる」というセリフがとある映画に出てくる。男は多くの大切なものに目がくらんで、信じられず、失くしてから、それがとりわけ大切だったのだと気づく。私には大切なものが多すぎる。何か1つここに捨てていかなければならないが、捨てられるべき

          ずるずる

          また始まる

          12月26日(月) また地獄を見ている。 ビルのロビーに飾られていたクリスマスツリーが跡形もなく消えていた。代わりに自動ドアの両側に門松が置かれていた。クリスマスツリーの豪奢からすると、あまりに質素で拍子抜けした。ししおどしを連想するほどひっそりしている。まだ樹木のイルミネーションはぴかぴかしている。あの光は救いだ。あの光は救いだ、と言い聞かせている。 昨日久しぶりに見た玉川上水の衝撃がいまだ身体の中に残っていて、帰りの電車の中で何度もざわりとした。故郷で玉川上水を夢見

          また始まる

          クリスマス、太宰治と

          太宰治に会いに行こうと思った。 セーターとジーンズを着ようと思って、やめた。私が持ち得る限りの女らしいワンピースを引っ張り出して着た。もっと上等で私に似合うワンピースを買うべきだ。それに靴も。ローファーが欲しい。化粧をし、イヤリングと指輪を選び、香水をつけた。できる限りの女らしさをかき集めた。デートと同じ準備だ。 太宰治の墓参りに行くのは6年ぶり2度目である。緊張はしなかった。そこは私の心のよりどころではない。太宰治が確かにこの世に存在していたことを確かめるためだ。この世

          クリスマス、太宰治と