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コラム「新風」 祇園祭「山鉾建て」始まる
フォトグラファーの北山さとです。
「白石方一のとっておきの京都手帖」、編集・撮影を担当しています。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
光る匠の技
山鉾建てが7月10日早朝より始まった。
撮影取材のために7時前から長刀鉾保存会の前にいた。
私同様、撮影目的の人たちも徐々に集まりだした。
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その中を、マッチョな男衆が次々に登場。
鉾建ては、インターネットによれば7時からと書かれていた。
配達のワゴンカーが到着。
大きな榊を2つ、運ぶ。
「立派な榊ですね」
とお声掛けした。
「うちは祖父の代から、長刀鉾の榊を収めさせて頂いています。
奈良の山から仕入れました。
こんな立派な榊は最後かもしれません」
と語ってくださった。
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次に、福井ナンバーのワゴンカーから次々と縄が降ろされている。
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隣接県からも祇園祭を支える職人さんたちの姿が
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鉾の組み立てで、匠たちは、図面など持たない。
前祭23基のうち、今日から開始したのは、
長刀鉾、
函谷鉾、
鶏鉾、
菊水鉾、
月鉾
の5つだ。
匠らが釘を1本も使わずに、荒縄だけで骨組みの柱を固定する「縄絡み」を披露。
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黙々と縄絡みをする匠たち
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みなカラダが覚えているようだ。
美しくもある。
まさに、アートだ。
この光景を見るためだけに、昨夜から泊まりがけで来られている大阪の紳士と親しくなった。
「これだけ多くの方に支えられて、日本一の祇園祭があるんだなぁ」
と感心されていた。
この縄絡みは、懸装品と呼ばれる装飾が施されるともう見ることが出来ない。
隠れてしまうのだ。
釘を全く使わない匠の技が、山鉾の全てを支える。
巡行する鉾のうち、最大のものは12トンにも達するという。
昨日から開始された「山鉾建て」という組み立ては、後世に受け継がれていく「祇園祭」であるよう、心を込めた盤石な基礎作りだ。
「安全を約束されたものにする」ーー
職人さんたちの真剣な眼差しに、しばし暑さも忘れて見入ってしまった。
四条通りをはじめ、各山鉾町は、一気に祭ムードが高まっている。
匠の技に魅せられた私。
いつの間にやら、見る側よりも祇園祭を作り上げていく町衆の気持ちになっていた。
<(c)2024 文・撮影 北山さと 無断転載禁止>
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