マガジンのカバー画像

物語綴り

91
考えたショートショートを投稿していきます。
運営しているクリエイター

#物語

誰かの涙を想像して

誰かの涙を想像して

雨が窓を叩く。雨が降る日は気分も下がり気味。出かける気分にもなれない。

ぼーっと外を眺めなていた視線を手元の本に落とした。ちょうど雨の描写のシーン。今日みたいな日常シーンかと想像と現実を重ね合わせながら読み進める。

『雨は誰かの涙。』

この一文を読んだ瞬間、そういえば最近自分が涙を流さなくなったことに気がついた。読書を切り上げて、また外を眺める。庭の花から滴る雫もどこかで泣いてる誰かの涙かと

もっとみる
物語綴り

物語綴り

夜の闇に白く浮かぶ夜桜。
仕事終わりコンビニに立ち寄って買った、チューハイをひと口。あわせて買ったつまみを食べてひと呼吸。忙しさに忘れそうになる周りを見る余裕。明日は休みだから、ここらでひと休み。誰かと見る桜もいいけれど、一人でのんびり見る桜も風情がある。

明日もこの場所であいつ見る桜。きっとそれも特別な時間。仕事会えなかった時間を埋めるように甘えるのもありかもしれない。酔いがまわった思考回路に

もっとみる
幸せの連なり

幸せの連なり

部屋に入れば、「しー」とジェスチャーをするあなたがいて、そのまま視線を横にずらせばすごい寝相で眠るあの子の姿。

思わず笑顔になるくらい愛くるしい。すぐに体勢が変わってしまって、いつもの寝相に。写真に収められなかったのは残念だけど、心の方に焼き付けたあの姿。

あなたと笑顔で顔を見合わせた時間もひとつの幸せ。穏やかなこの幸せが永く続くこと願って私も隣に寝転んだ。

物語綴り〜手のひら〜

物語綴り〜手のひら〜

手のひらに顔を寄せる君。いつも唐突にやってくる甘えモード。ある時は膝に乗ってきたり、擦り寄ってきたり。
どこかの誰かを思うと甘えることができる君はとても素敵で、羨ましい。

こっちの気分を察してくるのか、こっちが弱ってるタイミングでそっと寄り添ってくれるところもずるいところ。

支えてるはずが支えられてる。お互い様なんだろうけど、そういう意識が生まれたころに、打ち消すようなことも起こる。不思議だよ

もっとみる
物語綴り

物語綴り

寒さで悴んだ手を見つめる。今までこの手で掴んだものはなんなのかと己に問う。その問いに即答することはできないものの、こぼれ落ちたものはなんだろうと逆の質問すれば答えが溢れだす。
ふと溢れでた思いは止まることを知らず、どんどん後悔の気持ちも膨れ上がる。

「足るを知る」「今あるものに目を向ける」
全くできていないことに、呆れさえするもののこの溢れでた想いに自分の押さえていた願いや想いに気付かされもする

もっとみる
物語綴り

物語綴り

あなたに会いにいこう

顔も、匂いもファッションだって知らない
ただの文字のやりとり
声のやりとり
それだけなんだけど
このやり取りをどれほど続けただろう

今この瞬間ふとよぎったこの考え
これを何も知らない人からしたら
危ないと思うのでしょう

だけれもやり取りをする中で
気持ちが一切湧かなかったのに
たった一つの言葉で
こんな気持ちになってしまったの

だから私はこの熱が冷めやらぬうちに
あな

もっとみる

物語綴り

ふと自分の言動で誰かがどうにかなってしまうのなら、自分なんて消えて仕舞えばいいなんて考えがふと過ぎる。
それは幸せ感じている瞬間に落雷のようによぎる時もあれば、自分が沈んでいる時にじわじわと侵食するかのようによぎることもある。
結局何も出来ずに気分や考えが上向きになるけれども、小さくなっているだけで、どこかの片隅に息を潜めているんだ。

物語綴り

物語綴り

煙草を吸い始めた理由は何だっただろう。
あの人に憧れたから?
興味があったから?
なんとなくだったかもしれない。

どれにしたっていいことなんてひとつもない、わかっているけれども止める気がなければきっとこのまま吸い続けるんだろう。

少し寒くなってきた風にあたりながら吸う煙草。
風がやめば身体に纏い付く紫煙。空を見上げればそこには月が。雲がかかったような朧月に見えるそれは、自分の吐いた紫煙が霞ませ

もっとみる
物語綴り

物語綴り

タバコ吸う姿に色気を感じる。いつからかそう思うようになった。

隣で吸うこの人はどことなく色っぽくて、気だるけな態度と合間って余計にそう感じるのかもしれない。
紫煙を纏う貴方の存在が月の光でより増しているようにも思う。

そんな貴方に魅了された私は、横になってぼんやりと紫煙が漂うのを眺めている。漂い、闇に溶けるそれはどことなく私に似ているような気がして、目で追ってしまう。そんな私に目をやって支度を

もっとみる
物語綴り

物語綴り

5分10分の会話。
それだけで心が癒された。
繰り返す毎日に疲弊するばかりで、何もなかったところに差し込んだ光。
それが崩れ去ったのは、ちょっとしたことでだった。
あれから時が経って知ったあの人の近況に心からおめでとうと言えたことに驚いた。私も前に進んでいたんだね。

特別な感情を教えてくれたあの人に感謝を。
そしてこれからの未来に期待を。

物語綴り

物語綴り

なんとなく声が聞きたいと思った。だけどスマホを手に取って固まった。
連絡してもいいのかという不安な気持ちと
連絡が来ないかな?という期待。

気持ちとは裏腹にスマホを伏せて、布団の中へ。

きっとこれは寒い夜に人恋しくなったせいだと納得させた。

素直になれないことが癖になったのはいつからかな。そんな疑問と一緒に微睡んだ。

物語綴り

心臓がバクバクいっている。耳の近くに心臓があるみたいにうるさい。
根っからのあがり症。特にここ1番の時にはガクガクと震え出すこともある。必死に押し殺してはいるけど、今にも震え出しそうな膝。

早く始まってくれ!心でそう叫びながら待つこの時間が1番緊張する。

さぁ準備はできた。
もうすぐ始まる。
ドキドキからワクワクに変わる瞬間。

It‘s show time!

物語綴り

物語綴り

窓際でソファを背もたれにしてコーヒーを飲んでいると
ローテーブルに置いているスマホに一件の通知

片手に持っていたコーヒーを置いて通知を見る
そこにはなてことないメッセージ

そのメッセージに思わず笑ってしまった

だけど理由もなく沈んでいた自分には
水の波紋が広がるように
気持ちを明るくしていく
それだけで今日は少しいい日になった感じ
「ありがとう」
心の中でお礼を言って
会話を紡いでいく

物語綴り

物語綴り

微睡む意識、だけれども意識はまだ眠っていたい。
目を瞑っているうちにまた沈む意識。
完全に目が覚めて時間を確かめると、思ったより昼寝の時間が長かった。
真っ暗になっていた外を見て、休みが終わることを悲しむというより、思ったより疲れていたことに考えがいく。
無駄に過ごしたと罪悪感を覚えず、こんな日も悪くない。こう思えるようになったのはいつからだろう。ゆっくり巡り始めた思考で考える。

また明日から頑

もっとみる