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幸せな組織の4条件FINEとリーダーシップ理論とチームマネジメントの工夫 #予測不能の時代 まとめ2

本記事は、DX関連の個人的な学びのアウトプットです。

ある大手食品メーカーの経営企画の方から、今年の今の所の一番、と教えてもらった「予測不能の時代」を読み始めました。日立でずっとウェアラブルデバイスを用いたピープルアナリティクスをやられている矢野和男さんの著作。2020年7月についに、事業を分社化しハピネスプラネット社として「企業経営にハピネス・マネジメントを」届けることに取り組まれています。

前回のまとめ第1回では、「はじめに」から「第一章」で語られていた、予測不能の時代に企業が対応できなくなっている原因が、世界標準の経営理論で言うところのルーティンの理論で説明できるな、と思うそれについてまとめました。

第二章「新たな幸せの姿」では、いよいよ、著者の長年のウェアラブルセンサーから得られたデータをもとに明らかになった「幸せな組織の普遍的な特徴:FINE」についてが語られます。

幸せな組織の普遍的な特徴:FINE

著者は、名札型のウェアラブルセンサーを用いて、センサーを装着したもの同士の対面コミュニケーション、加速度センサーによる身体の動き(トータル5000人日以上)とCES-Dと呼ばれる質問紙で「人の主観的な幸/不幸」のデータを取得しました。

この結果、幸せはコミュニケーションの時間・頻度・人数とあまり相関しなかったと言います。一方で、幸せな組織にある普遍的な特徴として以下の頭文字をとってFINEと名付けられた4つの特徴が見出せたと言います。

<幸せな組織の普遍的な特徴:FINE>
Flat:人と人のつながりが特定の人に偏らず均等である
Improvised:5分から10分の短い会話が高頻度
Non-verbal:会話中に身体が同期してよく動く
Equal:発言権が平等である

これは、逆に幸せでない組織は「つながりに偏りがあり、短い会話が少なく、会話中に体の動きがなく、発言権に偏りのある組織」ということでもある、と言います。

こう書くと直感的にも、窮屈な組織に感じますね。

いわゆるピラミッド型の組織では、つながりを上司が独占しているため、不幸な組織になりやすい。逆に幸せで生産的な組織では、横や斜めとのコミュニケーションが均等に行わせれる。これも、直感的に確かにそうだよな、と思います。

Flatな組織と現代最強のリーダーシップのパターン

また「世界標準の経営理論/入山章栄」をもとに分析しますとこれはリーダーシップ理論に共通点があると思いました。2000年代から出てきた最新のリーダーシップ理論ではさらに、シェアード・リーダーシップという考え方が台頭してきています。グループの複数の人間が、時には全員がリーダーシップをとる、考え方です。

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これはまさに不幸な組織と幸せな組織でいうピラミッド型と、フラット型と符号すると思いました。また、シェアード・リーダーシップでは、メンバー全員が「これは自分のグループである」というアイデンティティを持ち易くなることで、知の交換が積極的に行われるようになることがイノベーションを起こりやすくすると考えられています。

世界標準の経営理論」の中では、このシェアード・リーダーシップとビジョン・啓蒙を重視するトランスフォーメーショナル・リーダーシップの組み合わせが、現代のリーダーシップにおける最強のパターンとしています。

トランスフォーメーショナル・リーダーシップは、明確にビジョンを掲げて、自社・自組織の仕事の魅力を部下に伝え、啓蒙し、新しいことを奨励し、学習・成長を重視するリーダーシップスタイルです。

くしくもここで、前回のまとめで登場した「変化や多様性に立ち向かうための4つの原則」の第1原則「実験と学習を繰り返す」というキーワードがリーダーシップの理論からも出てきたのは偶然ではないのでしょう。

FINEが見られる幸せで生産的な組織にするための4条件

著者は、FINEが見られる組織にしていくためには、以下4つの「とらわれがちなことを乗り越える」必要があるとしています。

1. 組織図にとらわれずにつながりあう
2. 予定表にとらわれないタイミングで会話しあう
3. 立場の違いにとらわれずに会話を身体で盛り上げる
4. 役職や権限にとらわれずに発言しあう

そして、これらを乗り越えることを阻むハードルを4つの心理的リスクとして、以下のようにまとめています。

リスク1. 組織図にとらわれずに人とつながるリスク
リスク2. 予定表にとらわれないタイミングで話しかけるリスク
リスク3. 立場の違いにとらわれずに会話を身体で盛り上げるリスク
リスク4. 役職や権限にとらわれずに発言するリスク

これらをのリスクを取り除くことが、予測不能な時代にマネジメントに求められる組織の基本となると第二章をしめくくっている。

私がトライしている心理的リスクを取り除く工夫

以前に、以下のnoteでチームメンバーが経験学習を増して成長することを手助けするための1on1ミーティングに取り組んでいる方法についてお話をしました。実はこれと合わせて、最近2ヶ月ほど実験していたことがあります。

それは、横1on1というものです。名前から想像できると思います。私の場合はチームメンバーが三人います。仮にAさん、Bさん、Cさん、とします。通常は私とAさん、私とBさん、私とCさんという1on1しか行いません。

ここに、AさんがBさんを、AさんがCさんを、BさんがAさんを、BさんがCさんを、CさんがAさんを、CさんがBさんをという横同士での1on1を実施してもらうようにしたのです。

予測不能の時代」のFINEで考えると、Flat(人と人のつながりが均等)とEqual(発言権が平等)を補正・補完する効果が横1on1にはあるのではないか、と思いました。

やり方は、それまでに、私との1on1でやっている通りです。頻度は隔週1hを目安に、順番だけは決めておいて、2ヶ月間でこの6パターンを2巡してもらいました。その後、みんなで横1on1の振り返り会を行いました。

横1on1の振り返り

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横1on1の振り返りは、事前に以下5つの項目のアンケートに答えてもらいそれを共有しあいながら、行いました。

Q1. 他メンバーへの理解が深まったか?
Q2. 横1on1による自身の経験学習は促進されたか?
Q3. 学習促進者側をやってみてどうだったか?
Q4. 横1on1で工夫したことはありますか?
Q5 横1on1をはじめる前と後で何か変わったことはありますか?

アンケートおよび振り返りの中ででた主なコメントは以下のようなものがありました。

・メンバーの理解が深まった
・雑談が減っていたのでいい機会になった
・情報や視点が異なることで応用の発想が得やすくなった
・異なる立場のロールプレイングが貴重な機会になった
・縦、横、逆1on1と2週間で3回何かしら1on1があるのは多い

基本的にはポジティブな意見が多かったですが、頻度が多い、というコメントもありました。確かに全部1hである必要はないのかもしれません。むしろ、本書のFINEにのっとれば、Inprovised(5分から10分の短い会話が高頻度)を仕組み化するのであれば、5~10分の1on1にトライするのもありかもしれません。また、チームで実験してみたいテーマが増えました。

おわりに

今回は「予測不能の時代」の第2章から「幸せな組織の普遍的な特徴:FINE」と「リーダーシップ理論」が整合しているな、という学びと、「FINEが見られる幸せで生産的な組織にするための4条件」から導きだされた心理的リスクを下げることにつながりそうな、私がチームマネジメントで行っている横1on1について記事としてまとめました。

本書のまとめ記事

予測不能の時代に企業の進化を阻む4大ルーティンとは #予測不能の時代 まとめ1
<本記事>幸せな組織の4条件FINEとリーダーシップ理論とチームマネジメントの工夫 #予測不能の時代 まとめ2
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自由・格差・エントロピー #予測不能の時代 まとめ7

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ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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