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幸せのスキルと新事業開発って似てるんだな #予測不能の時代 まとめ4

本記事は、DX関連の個人的な学びのアウトプットです。

ある大手食品メーカーの経営企画の方から、今年の今の所の一番、と教えてもらった「予測不能の時代」を読み始めました。日立でずっとウェアラブルデバイスを用いたピープルアナリティクスをやられている矢野和男さんの著作。2020年7月についに、事業を分社化しハピネスプラネット社として「企業経営にハピネス・マネジメントを」届けることに取り組まれています。

これまでの本書のまとめ

予測不能の時代に企業の進化を阻む4大ルーティンとは #予測不能の時代 まとめ1
幸せな組織の4条件FINEとリーダーシップ理論とチームマネジメントの工夫 #予測不能の時代 まとめ2
対話におけるうなずきって大切なんだなぁ #予測不能の時代 まとめ3
<本記事>幸せのスキルと新事業開発って似てるんだな #予測不能の時代 まとめ4
心の資本を高める簡単習慣3good #予測不能の時代 まとめ5
予測不能の時代のシナリオプランニング  #予測不能の時代 まとめ6
自由・格差・エントロピー #予測不能の時代 まとめ7

前回は、会話のときに身体の動きで相手に反応する、相手にうなずきや笑顔を返すことで幸せの循環に貢献でき、組織の幸福度が上がっていくという話をまとめました。

幸せとはスキルである

ここから第四章「幸せとはスキルである」に突入します。

ソニア・リュボミアスキー教授の研究(参考書籍「幸せがずっと続く12の行動習慣」)から幸せの3つの時間軸(持続時間)における3つの分類を紹介します。

1. 遺伝や幼児体験に影響を受けるもの。(50%)
2. 一方的な環境変化の後の享楽的な高揚感(10%)
3. 努力や学習によって変えられるもの(40%)
*%は幸せへの影響

リュボミアスキー教授の書籍の表紙にもあるように、「自分で変えられる40%に集中しよう」ということですね。

幸せを高める能力「心の資本=HERO」

組織行動学の権威、フレッド・ルーサンス教授が「こころの資本」でまとめている「持続的で学習可能な幸せを表す尺度」である以下の4つの力を取り上げます。

幸せを高める能力「心の資本=HERO」
1. Hope:自ら進む道を見つける力
2. Efficacy:現実を受けとめて行動を起こす力
3. Resilience:困難に立ち向かう力
4. Optimism:前向きな物語を生み出す力

これら4つを合わせてルーセンス教授は「心の資本」や「内なるHERO(HERO within)」と呼ぶそうです。

また、幸せの研究で有名な慶應大の前野隆史教授の以下、「幸せの4因子」とも整合していると言います(参考書籍「幸せのメカニズム 実践・幸福学入門」)。

幸せの4因子
1. 「やってみよう」因子(自己実現と成長の因子)
2. 「ありのままに」因子(独立と自分らしさの因子)
3. 「なんとかなる」因子(前向きと楽観の因子)
4. 「ありがとう」因子(つながりと感謝の因子)

以下のまとめは味わいがあります。

幸せで生産的な組織とは、互いに相手の「心の資本」を高めあう組織であり、すなわち、互いに相手を「HERO」にする組織

矢野氏が半導体撤退で直面したキャリア危機

この後、矢野氏が44歳のときに、日立が半導体事業から撤退し、20年に渡って培ってきたキャリアがリセットされた。そこから現在に至るまでを振り返り、不安の中どのようにHOPEを実践したのかのストーリーは非常に示唆深いものでした。これは、ぜひ、書籍を読んでいただきたい!

中でも、私がチームマネジメントという観点で非常に示唆が大きかったのが、矢野さんが新しいキャリアを構築していく中で直面したプロジェクトへの考え方・行動の変化です。以下のようにまとめられています。

Before
・十分に事前検討した計画に基づき実行する
・与えられた仕事の役割や権限の範囲で責任を果たす
・自分の専門性の範囲内で卓越した仕事をする
・目的達成に必要な資源や準備をと整えてから始める

After
・既に持っているもので始める
・検討はほどほどにして行動(実験と学習)する
・仕事の資源と権限は、実績によって獲得する
・自分の役割は自分で決める

プロフィールのページにも書いていますが、私自身、2015年に、これまでの通信事業者向けの営業・販促という業務から飛び出して、新規事業開発を担う部門に異動しました。そこから現在に至るまで、というか今現在も上記に書かれていることは、自分自身が直面していることってこういうことだったんだな、と感じました。

矢野さんの考え方はリーンスタートアップそのもの

新事業開発の教科書ともいえるリーンスタートアップの考え方は、実験と学習です。以下は、私のnoteでたびたび出しているものですが再掲します。フィードバックループともいいますが、私はBMLサイクルと口では言うことが多いです。成果を測定するパラメーターを決めて、小さな実験を行い、科学的なアプローチで不確実性を減らしていくという考え方です。

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BMLはBuild(構築)-Measure(計測)-Learn(学習)の頭文字です。アイデアを元に仮説を立て(Build)、実験してデータを得て(Measure)、学びから次のアイデアを得る(Learn)そして、仮説を立て直す(Build)。

この時のポイントは、最初に何を学びたいかを考えて、そのための実験を計画して、その実験をするために必要最低限な機能のみを備えたMVP(Minimum Viable Product)と呼ばれる「製品」を作って実験をします。このBMLのサイクルを小さく高速で回し続けることによって不確実性を下げて行きながら意思決定をして行きます。まさに「検討はほどほどにして行動(実験と学習)する」です。

この最初に「何を学びたいか」という出発点は、矢野氏のいう「既に持っているもので始める」と通じると思います。この実験を通して得た学びを元手として、必要なリソースを獲得していきます。リアルなスタートアップの場合は、ベンチャーキャピタルから、資金を調達します。まさに「仕事の資源と権限は、実績によって獲得する」です。

自分の役割は自分で決める」というのは、書籍の中では、新しいことに取り組むときは、メンバーがみなプロジェクトの成功に必要と思われることをなんでもやってみる必要が出てきます。そのため「与えられた仕事の責任を果たす」のではなく「自分の役割を見つけ貢献する」ことが始まった、という表現をしています。

そもそも新事業開発では、一人とか二人とかで、あるテーマについて追う感じから始まるので、役割分担なんて概念がない感じになります。営業の頃だったら、製品サービスの細かな仕様などに関しては、製品部隊にお願いしていればOKでした。

しかし新規事業開発では、ときに、AIのアルゴリズムがどういう仕組みで動いているのかを、研究者や技術者に教えてもらい、それをもとに、解こうと思っている課題がその技術で解けそうなのかあたりをつけつつ、顧客と対話できるところまで自分を引き上げない、そこまで自分がやらないと、このプロジェクトは進まない、と考えるからそう言う行動をとります、これこそが「自分の役割を自分で決める」だと思います。

多分、このときは、自分は技術的なところまえ理解したい、と思ったからやったのだと思います。それがムリだと思えば、別のアプローチを考えたのだと思います。

また、センスメイキング的でもある

そしてこのようなアプローチは、経営理論のレイヤーで見るとセンスメイキング理論的でもあると感じました。センスメイキング理論については、最近書いた以下の記事の中で、カーボンニュートラルとイーロン・マスク氏のマスタープランと絡めて書いてみたので、よかったら覗いてみてください。

おわりに

今回はの矢野さんの幸せになるスキルとご自身のキャリアリセットから今までの振り返りで得た仕事術と私自身の新規事業開発での経験が非常に重なる部分が多く、とても共感できる内容でした。

DXについての記事や私のマネージャーとしての学びをまとめた記事は以下の「DXのマガジン」と「新任マネージャーの心得のマガジン」にストックしてますので、併せて覗いてみてください。フォローや「スキ」を押してもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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